指定校推薦に落ちることはある?不合格になる理由・確率・その後の対応策まで詳しく解説

指定校推薦に向けて準備を進めている中で、「もし落ちたらどうしよう」と、不安や焦りを感じている人も多いのではないでしょうか。
指定校推薦とは、大学が特定の高校に「推薦枠(指定校枠)」を設け、その枠を利用して選ばれた生徒だけが出願できる入試制度です。校内選考を通過し、推薦されたうえで受験するため、合格率は非常に高いのが大きな特徴です。
しかし、校内選考で落選するケースや、大学側の選考で不合格となるケースもゼロではありません。
この記事では、指定校推薦で落ちてしまう具体的な原因やよくあるケースをわかりやすく解説。万が一落ちた場合の進路選択や、今すぐに取るべき行動についても紹介しますので、焦らず冷静に今後の戦略を立てていきましょう。

編集部
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指定校推薦に落ちることはある?
指定校推薦は「出願=合格」といわれるほど高い合格率を誇る入試方式です。しかし、だからといって100%確実に合格できる制度ではないという点には注意が必要です。
ここでは、指定校推薦の仕組みと、実際に落ちてしまう可能性があるケースについて解説します。
指定校推薦は高い合格率を誇るが、落ちることはある
指定校推薦は、大学と高校の間で築かれた強固な信頼関係に基づく入試制度です。大学は毎年、信頼できる高校に推薦枠(指定校枠)を提供し、高校側はその枠にふさわしい生徒を校内選考によって厳選します。
このように、大学側の出願基準をクリアし、なおかつ校内での評価を受けた生徒だけが出願を許されるため、実際の合格率は非常に高く、ほぼ100%に近いといわれています。
しかし、それでも不合格になるケースがまったくないわけではありません。以下のような状況では、指定校推薦でも落ちてしまう可能性があります。
- 医学・看護・芸術系の学部に挑戦する
- 高校を留年してしまう
- 試験当日の遅刻・欠席 など
このように、制度上は高い合格率を誇っていても、「指定校推薦だから絶対に安心」と油断するのは禁物です。推薦されたからこそ、万全の準備と誠意ある態度が求められるのが指定校推薦だといえるでしょう。
指定校推薦で落ちてしまうケースについては、後ほど詳しく解説します。
指定校推薦で落ちる確率は、一部の学部を除けば限りなく0パーセント!ただし……
繰り返しになりますが、指定校推薦は、出願できた時点で合格率はほぼ100%に近いとされています。これは、すでに高校内での厳しい校内選考を経て、大学が定める基準をすべて満たした生徒のみが推薦されているためです。
そのため、一般的には「指定校推薦で落ちる確率」は限りなくゼロに近いといえるでしょう。
しかし、医学部・看護学部・芸術系学部など一部の学部では、指定校推薦であっても不合格となるケースが珍しくありません。
特に医学部では、指定校推薦であっても倍率が2.0〜3.0倍になることがあり、他学部とは異なる厳格な審査が行われるのが特徴です。
大学名 | 志望者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
獨協医科大学(地域枠除く) | 68 | 23 | 約34% |
埼玉医科大学 | 18 | 5 | 約28% |
北里大学医学部 | 64 | 35 | 約55% |
金沢医科大学 | 13 | 5 | 約39% |
ご覧のとおり、一般的な指定校推薦の「ほぼ合格確実」というイメージとは大きく異なり、合格率が30〜50%台と低水準にとどまっています。
これらの学部を志望する場合は、「指定校推薦=安全圏」とは考えず、十分な対策と併願校の検討を行うことが重要です。特に医療・看護・芸術分野では、実技・面接・適性評価への備えが不可欠となります。
指定校推薦の校内選考に落ちるケースも
指定校推薦の最終選考で落ちる可能性はほぼゼロですが、実はその前段階にある校内選考が最大の関門ともいわれています。
高校ごとに与えられる指定校推薦の枠は非常に限られており、人気の大学・学部には複数の希望者が集まることも少なくありません。つまり、出願前の「校内選考」で落ちる可能性は十分にあるのです。
具体的に、校内選考で落ちてしまう主な原因は以下のとおりです。
- 評定平均が大学の基準に届いていない
- 応募者の中でほかの生徒の成績や実績が優れている
- 志望理由書や面接で熱意・適性が伝わらなかった
- 欠席や遅刻が多く、生活態度に不安がある
- 部活動や委員会などでの実績が乏しい など
指定校推薦の校内選考については、以下の記事で詳しく解説しています。
指定校推薦で落ちてしまう主な原因
ここでは、大学側の本選考で指定校推薦に不合格となる具体的なケースを解説します。
高校を留年して卒業できなかった
大学の入学資格には「高等学校の卒業」が必須条件として定められているため、卒業できなかった場合は、たとえ指定校推薦で合格していても入学は認められません。これはどの大学にも共通する厳格なルールです。
指定校推薦は「現役での高校卒業」が前提の制度であり、最終学年での成績不振や欠席の多さによる留年が発生すれば、合格そのものが取り消されるおそれがあります。
成績面での注意点
- 合格後も安心せず、一定の学力水準を維持する必要があります。
- トップの成績を取り続ける必要はありませんが、留年ラインを下回らないよう注意が必要です。
- 高校によっては補習や課題の追加で対応可能な場合もありますが、自己管理が非常に重要です。
出席日数に関する注意点
- 出席日数が不足すると、成績以上に深刻な問題となります。
- 補習でカバーできる成績と違い、欠席日数の多さは高校側でもリカバリーが困難です。
- 「生活態度の評価」にも直結するため、日頃から出席と体調管理には十分に気を配りましょう。
指定校推薦は「卒業見込み」での合格となるため、油断せずに最後まで責任ある学校生活を送ることが大切です。合格を勝ち取った後も、高校生活の集大成としての意識を持ち続けましょう。
試験当日に遅刻・欠席してしまった
指定校推薦の試験当日に遅刻や欠席をしてしまうと、それだけで不合格になるおそれがあります。これは、学力以前に「時間を守る」「責任を持つ」といった基本的な姿勢が欠けているとみなされるためです。
特に指定校推薦は、学力試験だけでなく面接や志望理由書などを通じて人間性や意欲を評価する入試方式です。試験当日の遅刻や欠席は、「大学で学ぶ意欲がない」「常識がない」と判断され、人物評価で大きなマイナスとなってしまいます。
対策として、以下のような点を徹底しましょう。
- 大学までのアクセスルートは事前に調べておく
- 開場時刻よりも早めに到着するように行動する
- 大学構内の試験会場マップも前もって確認しておく
遅刻や欠席は「うっかり」では済まされません。指定校推薦で合格を目指すのであれば、試験当日まで含めて責任ある行動を意識することが大切です。
面接の態度が著しく悪かった
指定校推薦の選考では、学力だけでなく人物評価や素行が非常に重視されます。特に面接では、その人の人柄や意欲、大学にふさわしい態度を持っているかが見られます。
例えば以下のような態度は、面接官に強く悪印象を与える原因になります。
- 面接官にタメ口で話す、または失礼な言葉遣いをする
- ピアス・派手なアクセサリーをつけている
- 制服や服装が乱れている、清潔感がない
- 視線を合わせず一言も話さない
- 椅子に浅く座る、姿勢が悪い
逆にいえば、ここまで極端にマナーを欠いた振る舞いをしない限り、指定校推薦で面接が理由で落ちることはほとんどありません。それだけに、常識や礼儀に欠けた態度は致命的になり得るのです。
対策としては、必ず事前に高校の先生と模擬面接を行い、言葉遣いや所作、服装などをチェックしてもらいましょう。客観的なフィードバックをもとに改善することで、本番でも安心して臨めます。
面接は「自分の印象を伝えるチャンス」であると同時に、「落ちる可能性を生む場面」にもなり得ます。基本的なマナーを守るだけで、不合格のリスクを大きく減らすことができるのです。
小論文などのテストをほぼ白紙で提出した
指定校推薦は合格率の高い入試形式ですが、試験や小論文の内容があまりにも不適切な場合は、不合格になる可能性があります。
例えば以下のようなケースは、大学側からの評価を大きく下げてしまう要因になります。
- 回答欄がほとんど白紙で提出されている
- 指示されたテーマや設問から大きく外れた内容を書いている
- 字数不足が極端にひどく、論理構成が成立していない
特に小論文は、大学での思考力・表現力・問題解決力の土台を見極める材料です。内容が明らかに不十分であったり、まったく対策していないような答案では、「この学生を推薦して本当に大丈夫か?」と不安視され、合格を見送られることがあります。
逆にいえば、ここまで対策不足だったり、常識を逸脱した答案を出さない限り、指定校推薦で落ちることは極めてまれです。
とはいえ、気を抜いて白紙提出してしまうようなことがあれば、本来もらえるはずだった合格を逃すことにもなりかねません。必ず事前に過去問や練習問題で準備をし、学校の先生や塾の講師に添削してもらうなどして、万全の状態で臨むようにしましょう。
期日までに提出すべき事前課題を忘れた
指定校推薦で合格した後も、大学が定める「事前課題」の提出が入学の条件になっているケースがあります。
これらの提出課題を期日までに出さなかった場合、合格が取り消されてしまう可能性があるため要注意です。せっかく校内選考を勝ち抜き、倍率の高い枠をつかんでも、こうした基本的なミスで入学できなくなるのは非常にもったいないことです。
事前課題の提出漏れは、「自己管理ができない人物」と評価されるリスクにもつながります。指定校推薦での入学はゴールではなくスタートです。合格後も気を抜かず、必要な手続きや課題提出を着実にこなすことが、スムーズな進学への第一歩になります。
出願書類に不備があった
指定校推薦の出願に必要な書類に不備があると、最悪の場合は不合格となる可能性もあります。
書類不備とは、例えば記入漏れ・押印忘れ・必要書類の添付忘れ・期限超過などが該当します。特に志望理由書や調査書、推薦書などは提出書類のなかでも重要度が高く、些細な不備でも大学側からマイナス評価を受けることがあります。
もちろん、すぐに修正や再提出が許されるケースもありますが、大学ごとに対応は異なり、ミスを理由に「受理されない」可能性もゼロではありません。つまり、事務的なミスが“命取り”になる場合もあるということです。
出願前には、家族や学校の先生と一緒にダブルチェックを行い、ミスのない完璧な状態で提出できるように準備しましょう。指定校推薦は合格率が非常に高い入試方式ですが、それだけに書類不備という「うっかりミス」で落ちてしまうのは極めて惜しい結果になってしまいます。
合格後の入学手続きを忘れてしまった
指定校推薦で合格しても、入学手続きの締切を過ぎてしまうと、合格が取り消されてしまうケースがあります。
例えば、入学金の納入を忘れていたり、大学指定の提出書類を出し忘れていたりすると、「辞退」と見なされてしまい、合格が無効になることもあります。これは学力や人物評価とは無関係の、いわば「事務的な理由」での不合格ですが、決して軽視してはいけません。
特に注意したいのは、「合格して安心してしまった結果、手続きを後回しにしてしまう」パターンです。せっかく校内選考を通過し、貴重な推薦枠を勝ち取ったにもかかわらず、入学手続きの不備で入学できなくなるのは非常にもったいないことです。
合格通知が届いたらすぐに、親や担任の先生と情報を共有し、期日・手続き内容・必要書類をチェックリスト化するのがおすすめです。安心せず、最後まで気を抜かずにしっかりと対応しましょう。
犯罪行為をしてしまった
これは極めて稀なケースではありますが、指定校推薦で合格していても、犯罪行為を起こしてしまった場合は合格が取り消されるおそれがあります。
例えば、窃盗や暴行などの刑事事件を起こした場合、大学としても「教育機関としての責任」が問われるため、たとえ高校からの推薦があったとしても、そのまま入学させるわけにはいきません。
また、刑事事件に至らなかった場合でも、SNSでの不適切な発言や、重大な校内トラブル・素行不良などが発覚した場合は、大学側が推薦を取り下げるケースもあります。
指定校推薦は、学力だけでなく、「人物評価」や「生活態度」も重視される入試方式です。そのため、合格が決まった後も、普段の行動には十分注意し、「浮かれすぎない」ことが大切です。
一度の軽率な行動が、将来を大きく左右することもあると認識しておきましょう。
指定校推薦で落ちないようにするためには?
では、指定校推薦で落ちないようにするためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは具体的な対策について解説します。
校内選考に通っても浮かれないようにする
指定校推薦で最も大きな関門は「校内選考」ですが、それを突破したからといって油断してはいけません。校内選考を通過した後の行動次第では、推薦が取り消されるおそれもあるため注意が必要です。
特に、以下の点は合格後も評価対象として見られていることを忘れないようにしましょう。
- 授業への取り組み姿勢
- 成績や提出物の状況
- 出席日数や遅刻・欠席の有無
- 校内外での素行やSNSの使い方
指定校推薦は「高校からの推薦」である以上、推薦された生徒としての自覚ある行動が求められます。
また、周囲への配慮も大切です。校内選考に落ちて悔しい思いをした人、一般入試に向けて努力を続けている人など、さまざまな立場の同級生がいます。選ばれたことへの感謝と謙虚な姿勢を忘れず、学校生活を最後まで丁寧に過ごすことが重要です。
出願書類をしっかりと確認しておく
指定校推薦の出願書類に不備があると、最悪の場合は不合格になることもあります。どれだけ校内選考を完璧に突破していても、書類に不備やミスがあると大学側の評価は大きく下がってしまいます。
必要書類の提出忘れや、締切日の勘違いなどには十分注意しましょう。出願書類は、必ず家族や先生と一緒に最終チェックをすること。余裕を持って準備を進め、提出直前にも再確認を行うことが大切です。
小論文の対策や面接の練習をする
指定校推薦では、書類選考だけでなく小論文や面接が課されるケースも多くあります。
特に私立大学では、志望理由の明確さや人間性、将来への展望などを面接や小論文でしっかり評価されるため、事前の対策は必須です。
小論文や面接は、「自分ではできているつもり」でも、客観的に見ると課題があるということがよくあります。誤字脱字や論理構成のズレ、質問に対する的外れな答えなど、自分ひとりではなかなか気づけないポイントも多いものです。
そのため、学校の先生や塾の講師に添削や面接練習を依頼するのがおすすめです。「第三者の目線」でしっかりと対策しましょう。
学科試験の対策をしておく
指定校推薦でも、大学によっては学科試験が課されることがあります。
指定校推薦の学科試験は、一般入試ほどの難易度ではないことが多いものの、明らかな知識不足や白紙解答では「大学での学習に支障が出る」と判断されてしまうおそれがあります。
「志望大学の指定校推薦に学科試験があるかどうか」「高校側に過去問の記録が残っていないかどうか」といった点を確認しておくようにしましょう。
試験当日は落ち着いて行動する
指定校推薦の試験当日は、受験生の「人物評価」が特に重視される場面です。
たとえ学力に自信があっても、遅刻や欠席をしてしまえば評価は一気にマイナスになります。これは大学側に「常識や責任感に欠ける人物」という印象を与えかねません。
前日までには持ち物をすべて準備し、夜はしっかりと睡眠をとって体調を整えておくことが大切です。また、当日は電車の遅延や交通渋滞などのトラブルも想定し、時間に余裕を持って早めに出発するようにしましょう。試験会場となる大学構内の建物や教室の場所も事前に確認しておくと安心です。
指定校推薦は合格の可能性が非常に高いチャンスだからこそ、こうした小さな油断で評価を落としてしまうのはもったいないことです。当日を万全の状態で迎えることが、合格を確実なものにするための最後のポイントになります。
合格後も生活態度に気をつける
指定校推薦の場合、一般的には12月前後に合格発表があり、ほかの受験生よりも早い段階で進路が確定します。しかし、合格したからといって油断は禁物です。合格発表後から高校卒業まではまだ数ヶ月あり、その期間中の生活態度や行動によっては、合格が取り消されるケースも存在します。
指定校推薦での合格者が問題行動を起こした場合、その影響が次年度以降の推薦枠にまで及ぶことも。高校の信頼が損なわれ、最悪の場合はその大学の推薦枠が減らされたり、完全に撤廃されてしまったりすることもあるのです。つまり、自分一人の問題にとどまらず、後輩や学校全体に影響を与えてしまうリスクがあるということです。
だからこそ、指定校推薦で合格したあとは、「高校の代表として推薦された」という自覚と責任を持ち、卒業までの学校生活を誠実に過ごすことが求められます。合格後も気を抜かず、模範的な態度を維持することが、大学生活への最良のスタートにつながります。
指定校推薦に落ちたら、どんな進路が考えられる?
万が一、指定校推薦に落ちてしまった場合でも、進路の選択肢がなくなるわけではありません。ここでは、指定校推薦で不合格になったあとの代表的な進路について詳しく解説します。
一般選抜に切り替える
指定校推薦に不合格となった場合、多くの受験生が選ぶ進路は「一般選抜」への切り替えです。特に私立大学では、一般入試の枠が大きく用意されているため、十分にチャンスがあります。
それまで指定校推薦の準備と並行して、一般選抜に向けた勉強も継続してきた場合は、そのままの流れで対策を加速させましょう。落ち込む暇はありません。むしろ本番に向けてギアを一段上げる絶好のタイミングです。
もし一般選抜の対策が手薄だったとしても、諦めるのは早すぎます。まずは現在の学力や苦手分野を冷静に把握し、優先順位をつけて学習計画を立てましょう。無理なく継続できるスケジュールを作ることで、着実な学力アップが期待できます。
国公立大学の一般選抜では、大学入学共通テスト(共通テスト)を含む5教科7科目の対策が必要です。試験範囲が広いため、効率的な時間配分と戦略的な学習が不可欠になります。
私立大学の多くは、英語・国語・地歴(または数学)など、2~3科目で受験できるケースが一般的です。ただし、出題傾向や難易度は大学・学部によって異なるため、志望校の過去問演習を通じて傾向をつかむことが合格への近道です。
指定校推薦に落ちた直後は、ショックで気持ちが切り替えられないかもしれません。しかし、その悔しさをバネにすることで、一般選抜に向けた取り組みはより強固なものになります。落ちた理由を振り返り、改善点を明確にすることが、次の成功への第一歩です。
他大学の総合型・推薦型に再挑戦する
指定校推薦に落ちてしまったとしても、そこで全ての選択肢が閉ざされるわけではありません。タイミングによっては、後期の総合型選抜(旧AO入試)や公募推薦入試にまだ間に合う可能性があります。
まずは、志望校や気になる大学の募集要項・出願状況を公式サイトで確認しましょう。特に私立大学の中には、11月〜12月以降にも募集を実施している学部・学科があります。日程や出願条件は大学によって大きく異なるため、早めの情報収集が肝心です。
希望する大学が見つかったら、必要書類・評価基準・出願資格(評定平均・資格・活動実績など)を丁寧に確認しましょう。提出書類の作成には時間がかかるため、間に合わせるには早めの着手が不可欠です。
再挑戦の際は、前回の受験経験をしっかりと振り返りましょう。小論文の書き方、面接の受け答え、自己PRの構成など、改善点は必ずあるはずです。失敗を単なる挫折で終わらせず、「成長の材料」として活かすことが、次の合格への鍵となります。
浪人・進路変更を検討する
指定校推薦で不合格になり、さらに一般選抜にもチャレンジしたものの、思うような結果が得られなかった——。そんなとき、浪人して再チャレンジするという進路も選択肢の一つです。
「どうしても行きたい大学がある」「納得のいく結果を出したい」と強く思うのであれば、自分の意思で浪人を選ぶことは前向きな決断といえます。浪人生活には精神的な負担や経済的コストも伴いますが、明確な目標を持って過ごせば、その1年は決して無駄にはなりません。
浪人する際は、予備校や学習塾を活用して学習環境を整えるとともに、生活習慣や学習ペースの見直しも大切です。自己管理が必要になるため、モチベーション維持やスケジュール管理能力も問われます。現役時の失敗を分析し、原因を明確にして改善に取り組むことが合格への近道となります。
なお、指定校推薦は原則として現役生のみが対象です。浪人生として再び指定校推薦で出願することはできません。浪人して同じ大学に再挑戦する場合は、一般選抜(一般入試)での受験が基本となるため、あらためて学力試験への対策が必要になります。
指定校推薦に落ちたら、いつ何をすればいい?
指定校推薦に落ちてしまった後、「次に何をすれば良いのかわからない」と戸惑う受験生は少なくありません。しかし、受験チャンスはまだ残されています。重要なのは、気持ちを切り替えて、計画的に次のステップへ進むことです。
ここでは、指定校推薦に不合格となった後にやるべきことを、時期ごとに整理して紹介します。今の状況に合わせて、適切な行動を取りましょう。
スケジュール | やるべきこと |
---|---|
~12月 | 出願できる大学を探しつつ一般選抜対策 |
12月〜1月 | 志望校の出題傾向を把握する 出願に必要な書類やスケジュール管理も同時並行で進める |
1月~ | 出願先が決まったら、二次試験の出題傾向に沿った問題演習や記述対策に集中 |
~12月:出願できる大学を探しつつ一般選抜対策
指定校推薦の合否結果は、多くの場合12月以降に判明します。この段階で落ちてしまった場合、すぐに出願できる大学があるかどうかを確認することが第一歩です。
あわせて、一般選抜に向けた対策もスタートさせる必要があります。共通テスト対策、私大の個別試験の過去問演習、苦手分野の克服など、優先順位をつけて取り組むことが大切です。
特にこの時期は、「第一志望を変えるべきか」「私立一本でいくか、国公立も受けるか」といった進路再設計の判断を迫られることもあります。
その場合は、担任の先生や塾の講師、保護者としっかり相談しましょう。自分一人で決めようとせず、現実的な選択肢を検討することが大切です。
落ち込んだままでいる時間が長いほど、次の準備が遅れてしまいます。今できることに集中し、少しずつでも前に進んでいくことが、合格への第一歩になります。
12月〜1月:一般選抜に向けて対策を進める
指定校推薦に落ちてしまった後の12月〜1月は、一般選抜(一般入試)に向けた対策を本格化させる大切な時期です。この時期の過ごし方次第で、合否を大きく左右することになります。
まずやるべきは、志望校の出題傾向をしっかりと把握することです。出題範囲、出題形式、配点比率を確認し、効率よく得点に結びつく範囲に集中して学習しましょう。私立大学の場合は2〜3科目に絞られるケースが多いため、試験科目の完成度を高めることが合格のカギです。
共通テストを利用する予定がある人は、時間配分やマークミス防止のトレーニングも欠かせません。本番同様の模試形式で練習し、焦らず実力を出し切れるようシミュレーションを重ねておくと安心です。
特に共通テストは「スピードと処理力」が求められる試験なので、過去問演習や予想問題の反復が実践力アップにつながります。
この時期は学習に集中したい時期ですが、出願に必要な書類やスケジュール管理も同時並行で進める必要があります。大学ごとに必要書類や出願方法が異なるため、提出ミスや記入漏れがないように事前にチェックリストを作成しておくと安心です。
締切間際のバタバタを防ぐためにも、「いつ・どの大学に・どんな方法で出願するのか」をあらかじめ整理しておきましょう。
12月〜1月は、精神的にもプレッシャーがかかりやすい時期です。しかし、焦りすぎると計画が乱れたり、学習効率が下がったりすることもあります。やるべきことを一つずつ確実にこなしていく姿勢が、結果的に合格への近道になります。
1月~:二次試験対策・個別試験対策に向けて最終仕上げ
1月以降は、いよいよ入試本番に向けた最終調整の時期に入ります。
国公立大学を志望する場合は、共通テストの自己採点結果をふまえて、出願先の調整や変更を検討することもあります。出願先が決まったら、二次試験の出題傾向に沿った問題演習や記述対策に集中しましょう。
私立大学を志望する人は、2月に実施される個別試験に向けた過去問演習や得点源科目の強化が中心となります。出題傾向の確認はもちろん、答案の質や時間配分にも意識を向け、実戦力を仕上げていきましょう。
主なスケジュールは次のとおりです。
- 国公立大学:1月中旬に共通テスト、2月下旬に二次試験
- 私立大学:一般的に2月に個別試験を実施
この時期は、心身ともに疲れがたまりやすくなるタイミングです。無理な追い込みや夜更かしは禁物。集中力や記憶力を維持するためにも、十分な睡眠とバランスの取れた食事、適度な休憩を心がけましょう。
試験直前に体調を崩してしまっては、それまでの努力が台無しになるリスクもあります。万全のコンディションで本番に臨めるよう、生活リズムを整えることも「最後の対策」の一つです。
指定校推薦で落ちたとき、まだ出願できる入試方式・大学はある?
指定校推薦で不合格になってしまったとしても、受験のチャンスはまだ残されています。落ち込む気持ちはわかりますが、重要なのはその後の行動です。
12月以降でも出願可能な大学や選抜方式は多数あります。ここでは、今からでも出願できる入試方式や、受験チャンスが残されている大学について詳しく解説します。
受験戦略を柔軟に切り替え、自分に合った進路を見つけていきましょう。
公募推薦や総合型選抜を視野に入れる
指定校推薦に落ちてしまった場合は、公募推薦や総合型選抜を視野に入れることが大切です。
公募推薦では、面接や小論文を課す大学が多いです。特に12月〜1月にかけて2期・後期募集を行う大学も多く、まだ間に合うケースが十分にあります。
指定校推薦で校内選考を突破した実績があるなら、公募推薦でも通用する可能性は十分あります。小論文や面接練習など、これまでの準備を活かしながら対策を進めていきましょう。
一部の私立大学では、12月以降にも総合型選抜を実施しているケースがあります。自己推薦型や課題提出型など、選考方法が多様であるため、自分の得意分野を活かした受験が可能です。
また、大学によっては出願条件がゆるやかで、評定平均や学力テストの有無が問われないこともあります。
出願スケジュールや選抜方式は大学によって異なるため、各大学の公式サイトや入試要項をこまめにチェックすることが不可欠です。
過去の対策は次のチャレンジにも必ず役立ちます。今の努力を無駄にしないためにも、早めに行動を起こしましょう。
私立大の一般選抜(1月〜2月)は選択肢が豊富
私立大学では、1月後半から2月にかけて一般選抜の入試が集中しています。この時期は、指定校推薦で不合格となった人にとっても多くのチャンスが残されているタイミングです。
私立大学の一般選抜は、学部・学科ごとに出願受付期間や試験日が異なるため、早めに出願スケジュールを確認しておくことが不可欠です。大学ごとの募集要項や公式サイトをチェックし、見落としがないように準備を進めましょう。
指定校推薦で不合格になった大学に、一般選抜で再チャレンジすることも可能です。さらに、多くの私立大学では複数校への併願が可能なため、受験機会を広げて合格の可能性を高めることができます。
注意したいのは、試験日程の重なりです。併願校を決める際は、試験日や発表日・入学手続き締切日が被らないようにスケジューリングしましょう。
国公立大学なども視野に入れる
私立大学の一般選抜に照準を合わせていても、大学入学共通テストの出願を済ませていれば、国公立大学への出願も可能です。指定校推薦で不合格になってしまった場合でも、選択肢を広げるために国公立大学も視野に入れておくことは非常に有効です。
ただし、国公立大学の入試は、共通テストの成績が出願条件となります。出願時期(例年9月下旬〜10月上旬)に共通テストの出願を済ませていなければ、たとえ受験の意思があっても出願できません。「後からチャンスが来たときに備えて、共通テストには出願しておく」というのが、安全な戦略です。
また、国公立大学の試験は前期・後期日程に分かれており、前期で不合格となった場合でも後期に挑戦できる仕組みになっています。後期日程は募集人数が少なく倍率が高くなる傾向にありますが、それでも「最後まであきらめない姿勢」が合格の鍵になります。
共通テストは「基礎力を測る試験」として設計されているため、日々の授業や定期テストの積み重ねが得点に直結します。直前期に慌てるのではなく、早めの対策・出願準備が合格への第一歩です。
なお、共通テストの具体的な対策方法や学習スケジュールについては、以下の記事で詳しく解説しています。受験戦略の参考に、ぜひご覧ください。
指定校推薦の不合格についてよくある質問(FAQ)
ここでは、指定校推薦と不合格の関係についてよくある質問を解説します。
指定校推薦の落とし穴・デメリットは何ですか?
指定校推薦は「合格しやすい入試」として人気ですが、メリットばかりではありません。制度の特性上、事前に把握しておくべき落とし穴やデメリットもいくつか存在します。
代表的な注意点は以下のとおりです。
- 校内選考を突破するのが難しい
- 指定校推薦枠がなければ受験できない
- 専願のため、他大学を受験できない
- 入学後の学習に苦労するおそれがある
- 国公立大学は基本的に受験できない
- 人間関係・評判に影響することもある
指定校推薦の落とし穴やデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
指定校推薦は何回の欠席で不利になりますか?
指定校推薦において、欠席回数は重要な評価項目の一つです。なぜなら、指定校推薦は「学力」だけでなく「生活態度」や「出席状況」など、総合的な人物評価に基づいて選考されるからです。
一般的には、高校3年間で欠席が10日以内であれば、評価に大きな影響を与えることは少ないとされています。しかし、これはあくまで目安であり、実際の基準は高校や推薦を出す大学によって異なるため注意が必要です。
また、同じような学力・実績を持つ生徒が複数いる場合、欠席日数が少ないほうが有利になることもあります。やむを得ない理由(病気・家庭の事情など)がある場合は、事前に担任や進路指導の先生に相談しておくと安心です。
欠席が多めの人は、提出物や態度、内申点などでカバーする努力も大切です。出席日数に不安がある人は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
指定校推薦対策に塾は必要ですか?
指定校推薦での合格を目指すうえで、塾を活用することは非常に有効な選択肢となります。特に以下のようなケースでは、塾のサポートが大きな効果を発揮します。
まず、評定平均アップのための定期テスト対策です。指定校推薦では、高1〜高3の成績が大きく影響します。定期テストの点数が内申点(評定平均)に直結するため、学校の進度に合わせたテスト対策を行ってくれる塾に通うことで、安定して高成績を維持しやすくなります。
次に、小論文や面接対策です。指定校推薦では、大学ごとに異なる小論文課題や面接試験が課されることが多く、論理構成・表現力・話し方などをプロの目で添削・指導してもらえる点は大きなメリットです。自分では気づきにくい文章のクセや曖昧な表現も、第三者からのフィードバックで改善しやすくなります。
ただし、すべての受験生が必ずしも塾に通う必要があるわけではありません。学校の先生に質問しやすく、添削や面接練習のサポートが受けられる環境であれば、塾に頼らずとも十分な対策は可能です。
大切なのは、「どこが不安か」「どこを強化したいか」を客観的に把握し、それを補う手段として塾をうまく活用すること。
定期テスト対策・小論文添削・面接練習・志望理由書の指導など、自分にとって必要なサポートを見極めて、最適な準備環境を整えることが、指定校推薦合格への近道です。
おすすめの塾については、以下の記事をご覧ください。
まとめ|指定校推薦に落ちないために、最後まで誠実な準備を
指定校推薦は、高校と大学の信頼関係に基づく特別な入試方式であり、一般的には高い合格率を誇ります。しかし、校内選考で落ちたり、大学の本選考で不合格になる可能性がゼロではないということも事実です。
特に医学・看護・芸術系の学部では、通常の指定校推薦とは異なる厳しさがある場合もあります。また、書類不備・遅刻・面接態度・生活態度の乱れなど、受験生自身の不注意が不合格の原因になることもあるため、「絶対に受かる」とは思い込まずに、最後まで丁寧な準備と慎重な行動が必要です。
万が一落ちてしまったとしても、一般選抜や総合型選抜、公募推薦などのほかの選択肢はまだ残っています。気持ちを切り替えて、次の目標に向かって前進することが大切です。
指定校推薦は「合格を確実にするための選択肢」ではありますが、慢心せずに取り組むことが成功への鍵となります。ルールや期限をしっかり守り、自覚と責任を持って受験に臨みましょう。
執筆者プロフィール

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