【中3数学】三平方の定理とは?公式・斜辺の求め方・逆の定理を例題で解説
「三平方の定理って、結局どんなときに使うの?」と疑問に感じていませんか。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは、直角三角形の3辺の長さに成り立つ関係を表した定理です。公式を覚えるだけでなく、斜辺の見分け方や使い方を理解すると、図形問題にも応用しやすくなります。
この記事では、高校時代に数学オリンピック本選に出場し、学習塾に通わず東大へ現役合格した永田耕作さん監修のもと、三平方の定理の意味から使い方、特別な直角三角形、逆の定理、証明までわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
永田耕作
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08
目次
三平方の定理とは?

三平方の定理は、直角三角形の辺の長さを求めるときに使う定理です。まずは公式と、どの辺をどの文字に当てはめるのかを確認しましょう。
公式は a²+b²=c²

三平方の定理を数式で表すと、次のようになります。
a²+b²=c²
ここで、aとbは直角をはさんでいる2つの辺、cは直角の向かい側にある「斜辺」を表します。
「平方」とは、同じ数を2回かけることです。3²なら3×3=9、4²なら4×4=16となります。
a=3、b=4の場合は、次のように計算します。
3²+4²=c²
9+16=c²
25=c²
c=5
辺の長さは正の数なので、この場合は「-5」を考える必要はありません。
三平方の定理では、直角三角形の2辺がわかれば、残りの1辺を求められます。
永田先生のアドバイス
「平方」の意味を理解しないまま、公式の名前だけ覚えても、使えるようにはなりません。「平方=同じ数を2回かける」としっかり覚えておきましょう。
平方根の計算に不安がある場合は、先に平方根の基本を確認しておくと理解しやすくなります。
直角三角形の3つの辺には特別な関係がある
三平方の定理は、どんな三角形でも使えるわけではありません。基本的に直角三角形であることが前提です。
直角をはさんでいる2辺をa、b、直角の向かい側の辺をcとすると、a²+b²=c²が成り立ちます。このcが「斜辺」です。斜辺は、直角三角形の3辺の中で最も長い辺でもあります。
図の向きが変わっても、斜辺の位置は変わりません。「斜めに見える辺」を探すのではなく、直角の向かい側にある辺を探すことが大切です。
永田先生のアドバイス
文字だけで覚えようとせず、「どの辺が斜辺、つまりcなのか」を図で確認することが大切です。直角三角形の図と一緒にイメージすることで、公式も定着しやすくなります。
三平方の定理を使う問題では、公式を書き始める前に直角の位置を確認しましょう。そのうえで斜辺を見つけると、a・b・cを取り違えにくくなります。
三平方の定理の使い方

三平方の定理では、「どの辺を求めるか」によって計算の進め方が少し変わります。斜辺を求める場合と、斜辺以外を求める場合の両方を押さえておきましょう。
斜辺の長さを求める
直角をはさんでいる2辺の長さがわかっている場合は、それぞれを2乗して足します。
a=6cm、b=8cmの直角三角形を考えると、三平方の定理から次の式が成り立ちます。
6²+8²=c²
36+64=c²
100=c²
したがって、c=10cmです。
斜辺を求めるときは、「2辺の平方を足し、最後に平方根をとる」と考えると整理しやすくなります。
答えが整数になるとは限りません。a=2、b=3なら、2²+3²=13となるため、斜辺は√13です。ルートが残っても、それだけで計算ミスとは限らない点を覚えておきましょう。
斜辺以外の辺の長さを求める
斜辺ともう1辺の長さがわかっている場合は、三平方の定理を変形して求めます。
斜辺c=13cm、a=5cmとして、bを求める場合は次の通りです。
5²+b²=13²
25+b²=169
b²=144
b=12
したがって、残りの辺は12cmです。
斜辺以外を求めるときは、「斜辺の平方から、わかっている辺の平方を引く」と整理できます。
ただし、「斜辺なら足し算」「それ以外なら引き算」と別々の公式として暗記する必要はありません。毎回a²+b²=c²を書き、そこから式を変形するほうが間違いを減らせます。
三平方の定理を使うときは直角三角形を見つける
三平方の定理を使ううえでは、計算力だけでなく、図の中から直角三角形を見つける力も重要です。応用問題では、最初から直角三角形が大きく描かれているとは限りません。
正方形や長方形、円、立体などの中に直角三角形が隠れている場合もあります。図の中に直角三角形が見当たらなければ、補助線を引いて作れないか考えてみましょう。
「直角三角形を見つける、または作る」が三平方の定理を使うための第一歩です。
正方形に対角線を引くと、正方形は2つの直角三角形に分かれます。このように、三平方の定理は「公式を当てはめる問題」ではなく、「直角三角形を利用する問題」と捉えると応用しやすくなります。
三平方の定理で覚えておきたい特別な直角三角形

三平方の定理の問題には、辺の比を知っておくと計算を省ける直角三角形があります。定期テストや高校入試でも使う場面が多いため、代表的なものを押さえておきましょう。
代表的な直角三角形の辺の比をまとめると、次の通りです。
| 直角三角形 | 辺の比 | 覚えておきたいポイント |
|---|---|---|
| 3・4・5の三角形 | 3:4:5 | 3²+4²=5² |
| 45°・45°・90° | 1:1:√2 | 直角二等辺三角形 |
| 30°・60°・90° | 1:√3:2 | 斜辺は比が2の辺 |
この3種類は、中学校の図形問題で特によく使われます。ただし、比だけを暗記するのではなく、どの辺が斜辺なのかもセットで確認しましょう。
ピタゴラス数「3:4:5」を覚えておく
三平方の定理を満たす整数の組み合わせを、ピタゴラス数と呼びます。最も基本的なのが「3・4・5」です。
3²+4²=5²
9+16=25
となるため、3、4、5を3辺とする三角形は直角三角形になります。
ほかにも「5・12・13」「8・15・17」などがありますが、最初からすべて覚える必要はありません。
まずは「3:4:5」を確実に覚えることが大切です。
永田先生のアドバイス
問題で何度も繰り返し同じピタゴラス数が出てくるうちに、だんだんと頭に入ってきます。最初は「3:4:5」だけ何度か頭で計算して覚えたら、あとは問題を解きながら少しずつ覚えていきましょう。
「3:4:5の三角形」の存在を覚えることは三平方の定理の理解を深める第一歩です。問題を解くとき、「この数の組み合わせなら、直角三角形だ!」とすぐに気づけるようにしておきましょう。
「1:1:√2」の45°・45°・90°の直角三角形
2つの鋭角がどちらも45°の直角三角形は、直角二等辺三角形です。2つの短い辺の長さが等しく、3辺の比は1:1:√2になります。
短い辺が3cmなら、斜辺は3√2cmです。この比は三平方の定理からも確認できます。短い2辺を1とすると、1²+1²=c²より、c=√2となります。
45°・45°・90°の直角三角形を見つけたら、「1:1:√2」を思い出しましょう。
正方形の対角線を求める問題でも、この関係をそのまま利用できます。
「1:√3:2」の30°・60°・90°の直角三角形
角度が30°・60°・90°の直角三角形では、3辺の比が1:√3:2になります。
30°の向かい側の辺を1とすると、60°の向かい側が√3、斜辺が2です。30°の向かい側の辺が4cmなら、斜辺は8cm、残りの辺は4√3cmと求められます。
この形は、正三角形に高さを引いたときにも現れます。正三角形を高さで半分にすると、30°・60°・90°の直角三角形が2つできるためです。
30°や60°が図に出てきたら、「1:√3:2」を使えないか確認しましょう。
三平方の定理の逆とは?

三平方の定理には「逆」もあります。三平方の定理が直角三角形から辺の関係を導くものなのに対し、逆では3辺の長さから直角三角形かどうかを判断します。
「a²+b²=c²」なら直角三角形と判断できる
三角形の3辺の長さがわかっているとき、最も長い辺をcとします。残りの2辺をa、bとして、a²+b²=c²が成り立つなら、その三角形は直角三角形です。
これが「三平方の定理の逆」です。
辺の長さが5cm、12cm、13cmの三角形では、最も長い辺は13cmです。
5²+12²=25+144=169
13²=169
両者が等しいため、この三角形は直角三角形だとわかります。
三平方の定理の逆では、最も長い辺をcにすることが重要です。
a、b、cを適当に決めてしまうと、正しく判定できません。
三平方の定理の逆を例題で確認する
3辺の長さが4cm、5cm、6cmの三角形について考えます。最も長い辺は6cmなので、c=6です。
残りの2辺を使うと、
4²+5²=16+25=41
となります。一方、6²=36です。
41と36は等しくないため、この三角形ではa²+b²=c²が成り立ちません。したがって、直角三角形ではないと判断できます。
3辺の長さが与えられたら、「最も長い辺の平方」と「残り2辺の平方の和」を比べましょう。
三平方の定理と逆の定理は似ていますが、目的は異なります。辺の長さを求めるなら三平方の定理、直角三角形かどうか判定するなら逆を使う、と整理しておくと迷いにくくなります。
三平方の定理を例題で確認しよう

ここまで学んだ三平方の定理を、実際の問題で確認してみましょう。基本問題では、計算を始める前に直角と斜辺を確認することが大切です。
斜辺を求める基本問題
短い2つの辺が3cmと4cmの直角三角形があります。斜辺の長さを求めてみましょう。
斜辺をcとすると、三平方の定理より、
3²+4²=c²
9+16=c²
25=c²
c=5
となります。したがって、斜辺の長さは5cmです。
斜辺を求める問題では、直角をはさんでいる2辺の平方を足します。
永田先生のアドバイス
公式をなんとなく当てはめるのではなく、「なぜその式を使うのか」をきちんと説明できるようにしておくことが大切です。また、問題を解いたあと、どの辺がa、b、cなのかを確認するくせをつけておきましょう。ミスを防ぐために大切なプロセスです。
斜辺以外の辺を求める基本問題
次は、斜辺が10cm、もう1辺が6cmの直角三角形です。残りの辺をxとします。
三平方の定理より、
6²+x²=10²
36+x²=100
x²=64
x=8
となるため、残りの辺は8cmです。
斜辺以外を求める場合も、まずa²+b²=c²を書いてから計算すると安全です。
最初から別の公式として覚える必要はありません。1つの公式を使い、必要に応じて式を変形できれば十分です。
補助線を引いて直角三角形を作る問題
三平方の定理の応用では、直角三角形がそのまま描かれていないことがあります。その場合は、補助線を引いて直角三角形を作れないか考えましょう。
一辺が6cmの正三角形の高さを求める場合、頂点から底辺へ垂直に線を引きます。すると、正三角形は2つの直角三角形に分かれます。
底辺6cmは半分になるため、直角三角形の1辺は3cmです。高さをhとすると、
3²+h²=6²
9+h²=36
h²=27
h=3√3
となります。したがって、正三角形の高さは3√3cmです。
図の中に直角三角形が見えないときは、補助線を引いて作れないか考えてみましょう。

この問題は、30°・60°・90°の辺の比を使って解くこともできます。複数の解き方を知っておくと、問題に応じて計算しやすい方法を選べるようになります。
三平方の定理は何に使う?

三平方の定理は、教科書に出てくる直角三角形だけに使うものではありません。対角線や高さ、距離など、直接測りにくい長さを求める場面にも利用できます。
正方形や長方形の対角線を求める
正方形や長方形に対角線を引くと、図形の中に直角三角形ができます。
一辺が5cmの正方形なら、対角線をdとして、
5²+5²=d²
50=d²
となるため、d=5√2です。
正方形の対角線は、三平方の定理を利用する代表的な問題です。
45°・45°・90°の直角三角形なので、1:1:√2の比から求めることもできます。長方形でも考え方は同じで、縦と横を直角をはさむ2辺として計算します。
高さや2点間の距離を求める
三平方の定理は、直接測りにくい高さや距離を求めるときにも利用できます。
建物と地面が垂直なら、建物の高さ、地面上の距離、屋上までの距離によって直角三角形ができます。3つのうち2つがわかれば、残り1つを三平方の定理で求められます。
座標平面上の2点間の距離も同じ考え方です。横方向の差と縦方向の差を2辺とする直角三角形を作れば、2点を結ぶ距離を斜辺として求められます。
三平方の定理は、「直接測れない長さを直角三角形に置き換えて求める」ために役立ちます。
高校数学でも座標やベクトルなどにつながる考え方なので、中学校のうちに図と公式を結び付けて理解しておきましょう。
平面図形や立体の問題に利用する
高校入試では、三平方の定理がほかの図形分野と組み合わされることがあります。円や相似を利用して一部の辺を求めた後、三平方の定理で残りの長さを出す問題などです。
立体では、直方体の対角線や円錐の高さを求める場面でも使われます。一見すると直角三角形に見えない図でも、一部分を切り出すと直角三角形が見つかることがあります。
応用問題では、「どこに直角三角形があるか」を探すことが重要です。
すぐに計算を始めるのではなく、直角を示す記号や図形の性質を確認しましょう。相似や円の性質と組み合わせられるようになると、解ける問題の幅も広がります。
三平方の定理をかんたんに証明【5分でマスター!】

三平方の定理は、公式だけ覚えても計算できます。しかし、正方形の面積を利用して「なぜa²+b²=c²になるのか」を理解すると、公式も定着しやすくなります。
ステップ1 正方形を使って考えてみる
まず、一辺の長さがa+bの大きな正方形を考えます。その中に、辺の長さがa、b、cの同じ直角三角形を4つ並べます。

4つの直角三角形を角に配置すると、中央に小さな正方形ができます。この中央の正方形の一辺は、それぞれの直角三角形の斜辺cです。
つまり、大きな正方形の中には「4つの直角三角形」と「一辺cの正方形」が入っています。
同じ大きな正方形の面積を2通りで表すことが、証明のポイントです。
永田先生のアドバイス
「証明」というと計算を思い浮かべがちですが、三平方の定理は「図の中に隠れた面積の関係」を見つけるだけで理解できます。まずは直角三角形をしきつめてできあがった図を脳裏に焼きつけましょう。
ステップ2 面積の関係から導く
大きな正方形の一辺はa+bなので、面積は(a+b)²です。展開すると、a²+2ab+b²となります。
次に、「4つの直角三角形」と「中央の正方形」の面積から考えます。直角三角形1つの面積はab÷2なので、4つでは2abです。中央の正方形の面積はc²となります。

したがって、大きな正方形の面積は、
2ab+c²
とも表せます。
同じ正方形の面積なので、
a²+2ab+b²=2ab+c²
が成り立ちます。両辺から2abを引くと、
a²+b²=c²
が残ります。
「同じ面積を2通りで表す」と考えれば、証明の流れを理解しやすくなります。
永田先生のアドバイス
式をそのまま覚えられる人はそれでもいいですが、覚えにくいと感じている人は、図から式を導けるようにしておきましょう。
証明をすべて暗記する必要はありません。公式を忘れたときに、直角三角形と正方形の関係を思い出せる程度まで理解しておくとよいでしょう。
まとめ 三平方の定理の基本を整理しよう

三平方の定理は、単に「a²+b²=c²」を覚えるための単元ではありません。大切なのは、図の中から直角三角形を見つけ、どの辺が斜辺なのかを判断したうえで公式を使うことです。
まずは、斜辺を求める基本問題と斜辺以外を求める問題を自力で解いてみましょう。慣れてきたら、3:4:5や1:1:√2、1:√3:2にも注目すると、計算を短くできる場面が増えてきます。
さらに、正方形や正三角形などでは、「補助線を引けば直角三角形を作れないか」と考えることが応用への第一歩です。三平方の定理で迷ったときは、公式だけを見直すのではなく、図に戻って直角と斜辺を確認してください。
永田先生のアドバイス
三平方の定理は「計算の公式」ではなく、「図形の性質を表すルール」です。丸暗記するのではなく、図を見て「なぜその式が成り立つのか」を理解することで、ミスなく応用できるはずです。わからなくなったら、証明に立ち返って確認してみましょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08
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