上智大学総合グローバル学部・推薦入試合格者に聞く、"正解探しでは受からない" 自分の言葉で勝ち取る合格戦略
学力試験だけでは測れない個人の資質や志望動機の強さを重視する、上智大学の推薦入試(公募制)。
これからのグローバル社会で活躍できる、個性的で優秀な人材を募集する学校推薦型選抜入試です。
本記事では、総合グローバル学部が打ち出す「グローバルとローカルな視点」に向き合い、見事現役合格を果たした金沢 芽依さんの受験体験をレポート。
現在は、洋々メンターとして受験生を支える金沢さんの話には、合格の鍵を握る入試対策のヒントがたくさん詰まっていました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
清水信朗
「総合型選抜の個別指導塾 洋々」代表・GM。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。共著書に『採点者の心をつかむ 合格する総合型選抜・学校推薦型選抜』(2023年、洋々 著/かんき出版)。
監修者
洋々
洋々は将来に亘って社会で活躍できる人材を育てる、総合型選抜専門塾。総合型選抜の塾の総本山として、特に慶應義塾大学、早稲田大学をはじめ、数多くの名門大学への合格実績を誇る。
目次
<お話を伺った人>
総合型選抜の個別指導塾 洋々メンター
金沢 芽依(かなざわ めい)さん

大学:上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科
入学年月日:2023年4月(現役合格) 現3年生
合格した受験方式:推薦入試(公募制)
出身高校:森村学園高等部
高校2年生の8月から翌年6月まで、交換留学生としてアメリカ・ニューヨークで生活。ホストファミリーと暮らしながら、現地校に通学していた海外経験を持つ。国際系学部を目指し、高校1年生から洋々に通塾。現在は、上智大学志望の受講生を中心にメンターとしてサポートするほか、「洋トピア(メンター在中型自習室)」で、担当外の受講生の相談役としても活躍している。
上智大学 総合グローバル学部 推薦入試(公募制)では、何が評価されるのか?
金沢さんが上智大学 総合グローバル学部を志したきっかけ
ー金沢さんは、高校2年生の8月から翌年の6月までNYに留学されていますよね。どのようなご経験が、海外に目を向けるきっかけでしたか?
金沢 芽依さん(以下、金沢):中学3年生のときに、修学旅行でニュージーランドに1週間行ったことです。まだ英語は全然できませんでしたが、現地の方と触れ合ったり、新しい発見をしたりすることが楽しくて。それで、高校1年生のときに交換留学生としてニューヨークに行くことを決めたんです。
当時(2020年)はコロナ禍で閉塞感のある時期だったので、新しいことへのチャレンジをしたいという気持ちもありました。
ー大学進学以降の進路を考えるうえで、海外留学のご経験が転機となったのでしょうか?
金沢:以前から多様な学生を受け入れている国際的な大学に憧れていましたが、留学経験を経て自分のやりたいことがより明確になりました。上智大学の総合グローバル学部を受験しようと決めたのは、海外で生活した経験から移民問題というグローバルな課題に本気で取り組みたいと考えるようになったためです。
ー受験方式として、いわゆる一般入試ではなく学校推薦型選抜を選んだ理由もお伺いできますか?
金沢:当時、学校推薦型選抜を選んだ理由は2つありました。
1つ目は、高校3年生の6月に帰国してからでは一般入試の勉強が間に合わないと考えたこと。
2つ目は、所定の評定や英語資格の要件を満たしていたことです。さらに、中高で真剣に取り組んだテニスや海外留学の経験が課外活動として評価され、自分の強みとして生かせるのではないかと考えました。
ー受験方式を決めたのは、いつのタイミングでしたか?
金沢:高校1年生の終わりから2年生の春頃なので、留学する前ですね。洋々での面談を通して、自分の興味関心を整理しながら進学先を検討し、上智・慶應の総合型・学校推薦型選抜を受けるという目星をつけていきました。
上智大学総合グローバル学部の推薦入試(公募制)では、何が重視される?
ーここで改めて、上智大学総合グローバル学部の推薦入試(公募制)の選考方法について教えてください。
金沢:高校からの推薦と「自己推薦書」「レポート等特定課題」といった出願書類、そして面接・小論文によって総合的に合否判定が行われます。
また、出願要件として
- 高校の成績で全体の学習成績の状況4.0以上
- 指定された外国語検定試験の基準をいずれか1つ取得
が挙げられます。
ー金沢さんご自身では、どのような点が合格に結びついた要因であると考えますか?
金沢:実際の評価は想像するしかないのですが、自分が一番うまくいったと思うのは面接です。私が面接に臨むうえで重視していたのは、変に身構えすぎずに、教授とコミュニケーションを取ること。正しい答え・綺麗な言葉を話そうとするのではなく、自分の考えを述べながら教授の意見も聞く。そんな対話式のコミュニケーションを心がけました。
実は小論文のほうは、個人的には出来がよくなかったんです。思わず、小論文を見ていただいていた先生に「こんなことを書いてしまったけど、よくないですよね!?」と連絡してしまったほど(笑)。
「全然大丈夫。まだ挽回できるよ」という先生のメッセージを励みに、面接までの1時間半でなんとか立て直しました。
ー小論文から面接までの時間では、どのようにして立て直しを図ったのですか?
金沢:上智大学の面接は、出願書類として提出したレポート、または小論文に記載した内容から質問されるといわれています。なので、待ち時間は小論文で書いたことに対して「このような質問があればこう答えよう」と考える時間に充てました。
レポートに対する面接準備は事前にしっかりしていたので、そこまで落ち込まずに集中して次の一手を考えることができたのかなと思います。
ーご自身の受験体験から、大学側が重視していると感じたポイントはありますか?
金沢:総合型・学校推薦型選抜は、学力テストのように目に見える評価点があるわけではないので難しいですね。ただ、上智大学に限らず「一貫性があること」は、大事なポイントだと思います。
自分が書いた書類に対してどれだけ深掘りできていて、どれだけ自分の軸を持った言葉で語れるか。それに尽きるのではないでしょうか。
今は、私が受験をした頃よりも塾の数や情報量が増え、AIも発達しています。洋々の塾生たちを見ていても、早い段階でとても質の高い書類を出してくることが多いです。そういった時代の変化はすばらしいことですが、だからこそ自分の言葉が意味を持つともいえます。
- 自分の本当に伝えたいことは何か
- 伝えたいことの軸にあるのは何か
- そこに自分はどれだけパッションを持っているのか
これらを見いだし、書類から面接まで一貫して「自分の言葉で語れるようになること」が、何より大切だと考えています。
参考:2026年度 推薦入学試験(公募制)の概要
※総合グローバル学部に該当する内容のみを抜粋
【募集人員】
| 総合グローバル学部 | 60名 |
|---|
【入試内容】
| 入試概要 | 高等学校在学中の学習成績、課外活動、社会活動など、1回限りの学力試験では評価しがたい資質・能力を調査書や自己推薦書、レポート等特定課題などで判断するとともに、学科試問や面接によって、志望動機の強さならびに学力到達度や学科への適性を判定。推薦を受ける高校は特定せず、全国から幅広く優秀かつ個性的な人材を募集する。 |
|---|---|
| 出願資格(一部抜粋) | ・現役のみ ・全体の学習成績の状況4.0以上であること ・外国語検定試験の基準をいずれか1つを満たすこと (以下は一部抜粋) 英検:2級A TOEFL:iBT 55 TOEIC:L&R 650およびS&W 250 国連英検:B級 IELTS:4.5 TEAP:270(各65) TEAP CBT:445 GTEC:1050 ケンブリッジ英検:147 独検:準1級 仏検:2級 |
| 出願書類 | ◆学校が用意する推薦書類 ・高等学校長の推薦状(所定用紙) ・高等学校調査書 ◆志願者本人が用意する書類 ・自己推薦書(所定用紙) 「志望動機」「学力」「学業成績以外の卓越した能力」「課外活動・社会活動の実績」「特技」等を記述し、自己を推薦する内容であること ※A4用紙 1枚以内 ・レポート等特定課題 学科の指定するテーマについて記述する ※A4用紙 2000 字程度 ・外国語検定試験の試験結果を証明する書類 志望学科への出願要件となる試験成績を証明する公式スコア、もしくは、合格を証明する書類をいずれか1つ |
| 書類以外の選考科目 | ・学科試問:小論文(90分) 課題文を読んで800字以内で回答する形式 ・面接 |
【2026年度入試日程】
| 出願期間 | 2025年11月1日(土)~11月6日(木) |
|---|---|
| 学科試問・面接 | 2025年11月29日(土) |
| 合格発表日 | 2025年12月11日(木) |
| 入学手続締切日 | 2026年1月9日(金) |
参照:「2026年度 上智大学 入学試験要項 推薦入学試験(公募制) 」
詳細および最新情報は、必ず最新の入試要項を確認してください。
上智大学 総合グローバル学部 推薦入試(公募制)に向けて取り組んだこと
自己分析で「強みの軸」を定め、一貫性のある書類をつくり上げる
ー金沢さんは、高校1年生から洋々に通塾されていたとのこと。周りの同級生と比べて、大学受験の準備は早いほうでしたか?
金沢:私立の中高一貫校で1年生の頃から受験を意識したカリキュラムとなっていたこともあり、周りと比べて早くに受験準備を始めた意識はなかったですね。総合型選抜や一般入試に向けて通塾をしている同級生も多く、むしろ自分は受験の準備をあまりしていなかったほうだと思います。
ー準備を進める中で、どのようなことに不安がありましたか?
金沢:上智大学の前に併願校の受験があったため、準備期間が短かったことです。書類を無事に書き終えることができるか、根本的なところに不安を感じていました。
ー併願校と上智大学で準備として重複する部分はあったのでしょうか?
金沢:提出書類の形式やテーマが異なるので、かぶる部分はなく使いまわすことは一切できませんでした。ただ、併願校の準備を進める中で取り組んだ自己分析や文章の推敲によって、思考力・文章力は上がっていったと思います。これらは、上智大学の提出書類や小論文に臨む際にも役立つスキルとなりました。
ー書類作成で文章を書くにあたって、重視したポイントがあれば教えてください。
金沢:私がこだわりを持っていたのは、自分らしさを出すことです。内容的には完璧を目指しながらも、型にはめすぎずにキャッチーさを残すことを意識しました。
書類は、基本的に一読しかされないものですよね。そう考えたときに、わかりやすく、かつ心に残る文章を書きたかったんです。
ー文章において「自分らしさ」を出すコツは、どんなところにあると思いますか?
金沢:無理に自分らしさを出そうとするよりも、自分を知ることが大事だと思います。過去の経験や思いを見直して、「自分はどのような人なんだろう」ということを考え、強みを見つけることが第一歩です。
例えば、私の場合は「コミュニケーション能力」「チャレンジ精神」「粘り強さ」の3つを自己アピールの軸として常に意識して、一貫性を持たせるようにしていましたね。
ー自分の強みを見つけるために、どのようなことに取り組みましたか?
金沢:まず「○○で賞をとった」「英検準1級をとった」「留学に行った」というような自分の経歴をすべて書き出すことから始めました。
それらの経歴を「これはコミュニケーション能力を生かしたからこそ実現できたことだな」「これは粘り強さがないとできなかったな」と、いくつかの共通項で結びつけることで、自分の強みの軸を決めていった感じです。
ーなるほど。まずは自分の経験してきたことをひも解くことからスタートしたのですね。
金沢:もちろん提出書類には文字数制限があるので、すべてを記載することはできません。そこで自分の強みを証明してくれる事柄や志望理由に結びつく内容だけピックアップして、「自己推薦書」の構成を組み立てていきました。
【参考】「自己推薦書」構成の主軸
■将来の目標
・移民問題を解決するために国際機関で働くこと、あるいは現地で支援を行うこと
■将来の目標を持つに至った自身の体験
・交換留学で渡米した際に通学したスクールで、英語ができない移民に対する現地の対応が充実しているのを見て、日本の対応との差異に気がついた ・世界共通のラインがないことが、移民問題を引き起こす一因なのではないかと考えるようになった
■目標達成のために生かせる自分の強み
・チャレンジ精神や粘り強く頑張る力 ・これまでの経験で培ってきたコミュニケーション能力・英語力
■目標達成のために上智大学総合グローバル学部を志望する理由
・カリキュラムにある国際関係論系の分野で学びたい学習計画を持っていること
ー「レポート等特定課題」では、どのような課題が提示されましたか?
金沢:「あなたの興味のある社会課題を一つ挙げ、その理解と解決に向けてグローバルな視点とローカルな視点からどのように考察することができるか述べよ」という内容だったと記憶しています。
上智大学総合グローバル学部の「レポート等特定課題」では、必ず「グローバルな視点とローカルな視点」を踏まえた論述が必要とされていました。そこをうまく取り込めているのか? という点は、悩みどころでしたね。
非常に自由度が高いため、何をどのように設定するかを自分で決めなければなりません。私の場合は当時もっとも強い関心を持ち、多くを語れる移民問題を社会課題に設定し、論述していきました。
【参考】2026年度 総合グローバル学部の「レポート等特定課題」
以下の 4 冊の中から 1 冊を選び、その内容を理解したうえで、あなたが総合グローバル学部で取り組みたい研究テーマや関心のある問題と関連づけながら、本のどの部分が特に興味深かったかを具体的に説明しなさい。
<指定図書>
・川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書 276)岩波書店、1996 年
・鶴見良行『バナナと日本人』(岩波新書黄版 199)岩波書店、1982 年
・平賀緑『食べものから学ぶ現代社会:私たちを動かす資本主義のカラクリ』(岩波ジュ ニア新書 980)岩波書店、2024 年
・松元雅和『平和主義とは何か:政治哲学で考える戦争と平和』(中公新書 2207)中央 公論新社、2013 年

面接は"対話"を意識。小論文は論理力と時事知識で備える
ー面接対策としては、どのようなことに取り組みましたか?
金沢:併願校の受験準備のときから、洋々で面接の練習を重ねてきました。上智の入試前には、「自己推薦書」と「レポート等特定課題」に記した言葉について、一言一句すべて説明できるようにしましたね。
例えば、「自己推薦書」に「忍耐力を鍛える」と書いていたら「忍耐力って何?」というような質問をしてもらったり。
「レポート等特定課題」のほうでは、書いた内容に派生して聞かれそうな問いを150個ほど書き出して、調べて答えを準備していきました。どちらも、すごく地道でタフなプロセスです。
ー仮の問答集は、ご自身で準備していたのですか?
金沢:はい。自分で準備したうえで、その内容は明かさずに学校の先生や洋々のメンター、親など不特定多数の人に面接官の役になってもらって。準備したことを答える練習というよりも、想定外の質問をもらう機会をつくるようにしていました。
ー面接の練習相手もあえて変えていたのですね。
金沢:高校生って、そもそも知らない大人と話す機会が少ないですよね。本番の面接で緊張しないためにも、さまざまなタイプの大人との対話に慣れておきたくて、あえて人を変えて練習に付き合ってもらいました。
また同じ質問でも、相手の聞き方によって答え方のトーンやニュアンスを変えることも大事かなと思っていて。単に暗記した答えを言うのではなく、場の雰囲気に合わせたコミュニケーションを取ることを目指しました。
ー本番の面接の長さと、実際に聞かれた質問事項について教えてください。
金沢:長さは15〜20分程度だったと思います。私の場合は、提出したレポートに記載していた移民問題についての質問がメインでしたね。
例えば、「現地ではどのようなサポートが行われていたの?」「日本における課題と解決方法は何だと思う?」などです。
面接では、本当に本人が書いた書類なのか、書いた内容に対して知識・考察をどれだけ持っているかを問われている印象を受けました。
ー小論文については、どのような準備が大切になるのでしょうか?
金沢:上智大学の小論文には、決まった出題傾向はないといわれています。実際に私が受験したときも前年度とはまったく異なるトピックが取り上げられていました。
そこで、洋々の小論文サポートを受けて「論理的に述べる方法」を重点的に学び、どのようなテーマであっても論述できるよう準備を進めました。練習のために、過去問も何度も解きましたね。
あとは、出題傾向の高そうな領域のニュースや時事問題を幅広くチェックしておくことも大切だと思います。

この推薦入試を通して成長できたこと
ー入試対策の段階から、しっかり意思を持って準備をされてきた様子がうかがえました。一連の受験体験を通して、ご自身で成長を実感していることはありますか?
金沢:一番成長したなと思うのは、自分の意見・考えをちゃんと持てるようになったことです。それまでは、心のどこかで決められた答えを探していた部分がありました。でも、社会課題というものには答えがありません。だからこそ、自分でその答えを探しにいくものなのだと考えるようになりました。
また、入試に向けて書類をブラッシュアップしたり、多くの人と対話したりする中で、「文章力」と「コミュニケーション力」を磨くことができたと思います。
ー入試のために伴走してくれたメンターや先生に指導を受ける中で、特に印象に残っているアドバイスはありますか?
金沢:私の担当メンターは、とても博識な方だったんです。議論では常に多角的な視点で話をしてくださいましたが、考えを押しつけてくるようなところはありませんでした。「芽依ちゃんが生み出した答えが正解で、合格につながることなんだよ」といつも私の意見を尊重してくださったことは、今も心に残っています。
担当メンターに限らず周りのサポートがなければ、受験の壁を乗り越えるのは難しかったと思います。書類作成も面接の練習も、ただ添削してもらうのではなく、さまざまな意見をもらいながら、ディスカッションできたことが私の成長の後押しになりました。
上智大学 総合グローバル学部の推薦入試(公募制)に向けた伴走支援のポイント
金沢さんがメンターとして受講生と向き合ううえで大切にしていること
ーここからは、金沢さんがメンターとしてどのようなサポートをしているのかお話を聞いていきます。上智大学の推薦入試(公募制)に挑む受講生は、どのような悩みを抱えていることが多いですか?
金沢:「うまくできるだろうか」という漠然とした不安の中に、個々の課題が隠れていることが多いです。
例えば、人と話すのが苦手だから、面接が怖いという子もいれば、書類を書くにあたって、興味があることが見つからない子もいます。特に最初の頃は、それぞれが思っている自分の弱点が、入試における悩みになっているケースをよく聞きますね。
このような不安の原点は、中高生時代にこのような試験を受けたことがないことにあると思います。やったことがないから、「できない」と思い込んでしまうんです。
実際に「文章が書けない」と言っていた受講生が、いざ書類を書いてみたらとても上手だったり。「話すことが苦手」と言いながら、はっきりと自分の意見を述べられる子もいました。
ーいわゆる先入観であることが多いのですね。
金沢:ええ。私が初期のサポートで大切にしているのは、受講生の「自己に対する誤解」をどうやって解くかです。その子が持つポテンシャルを引き出すために、自信を持ってもらうことを意識しながら対話をしています。
ー具体的に、受講生とのコミュニケーションで工夫している点はありますか?
金沢:すぐに本題に入るのではなく、まず近況を聞くことです。特に初めての面談では、気さくに話して距離を縮めることを重視しますね。一人ひとりが持っている長所を理解し言葉にすることで、「その子らしさ」や「強み」が浮き彫りになってくるからです。
ー自分の思いを言語化するのが苦手な子に対して、効果的なアプローチはあるでしょうか?
金沢:あまり話せない場合、頭の中に考えていることがあってもシャイで言えないのか、本当に言葉にできないのかを見極める必要があると考えます。
以前、すごくシャイで話せない受講生がいて、具体的な質問をどんどん投げかけるアプローチが効果的でした。回数を重ねるうちに、徐々に自分の考えを口に出すことに慣れていきました。
ーもし時間をかけても変化が見られない場合には、どのように声をかけますか?
金沢:私だけではなく、多くの人に話を聞くことを勧めます。さまざまな観点で意見をもらうことで、新たな発見がきっとあるはず。心に響くことがあれば、一気によい方向に変化することもあり得ます。
また、完璧主義であるゆえにアウトプットを躊躇することも。以前、面談ではすごく内容の濃いディスカッションをするのに、なかなか文章化に進めない子がいました。完璧な状態になるまで書けないと思っているようだったので、「誰も答えを持ってないから」と話すと、次からは宿題をやってくれるようになったんです。
表面的に「何が起きているか」だけを見るのではなく、一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、適切なアプローチをするよう心がけています。

上智大学 総合グローバル学部 推薦入試(公募制)に挑む受験生が押さえておきたいポイント3つ
ー最後に、これから上智大学の推薦入試(公募制)に挑戦する受験生が押さえておくべきポイントを3つに絞り、アドバイスをお願いします。
大学が提示するテーマの"真意"を読み解く
金沢:「こういう書類を用意してください」と掲げられている“お題”の中には、大学側の真意が隠されています。言葉の意味を熟考し、求められていることが何かを理解することから始めましょう。

どんなによい文章でも、自分の言いたいことだけを書いて、相手の知りたいことが書かれていなければ読んでもらえません。一人で考えるより、意見や立場が異なる人とディスカッションを重ねて、双方向的な視点を育むことが大切です。
正解を探さず、自分らしさを軸に据える
金沢:模範的な回答にとどめると、自分の個性が見えづらくなります。ほかの受験生と差別化するためには、自分らしさをどれだけ出せるかが重要です。
正解を探してそれを覚えようとするのではなく、何を聞かれても自分の考えを答えられるよう、充分に書類を作り込み、面接前に読み込みましょう。
書類にも面接にも、パッションを乗せて伝えきる
金沢:書類・面接、どちらにも共通することですが、特に面接の場面においては絶対に嘘は見抜かれると思います。
過去の経験や今の思いが、大学入学後のやりたいことに本当につながっているか? 出願前に自問自答し、それでも行きたいと思うのであれば心の中に情熱があるはずです。その思いを、後悔のないように自分の言葉で伝えてください。
上記の3つのポイントは、たくさんの人とディスカッションをすることで、一層磨き上げることができます。一人で頑張ろうと抱え込むのではなく、柔軟に周囲を頼る姿勢も忘れずにいたいですね。
清水GMが語る、上智大学 総合グローバル学部 推薦入試(公募制)合格に必要な視点と準備

清水GM:上智大学の推薦入試(公募制)は上智大学のすべての学部学科で行われます。
学部学科ごとに評定および外国語資格の細かい出願要件は変わりますが、全体4.0以上、英検2級以上、というのが標準的な形になっています。一般選抜でのレベルの高さを考えると要件を満たすのはそこまで難しくないといえるでしょう。
また学校長の推薦が必要で、合格したら必ず入学しなければいけない試験なので、早稲田、慶應を目指している人が見送ることもあり、倍率はそこまで高くなりません。2025年度、全学部学科の平均倍率は2.5倍でした。
ただし、まだ高くないとはいえ、10年前の1.6倍からはじわじわと高まりつつあります。選考は出願書類、学科ごとの個別テスト、面接を通して行われます。2段階選抜ではなく志願者全員が会場での試験を受けることになります。
これまでの洋々の受講生を見ていても、何かに飛び抜けている人よりも出願書類、小論文、面接、いずれもそつなくバランスよくまとめている人が合格している印象があります。
金沢さんが言うところの「自分の軸」をしっかりつくって書類を作成し、面接に臨むことが重要になります。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
「総合型選抜の個別指導塾 洋々」代表・GM。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。共著書に『採点者の心をつかむ 合格する総合型選抜・学校推薦型選抜』(2023年、洋々 著/かんき出版)。
監修者プロフィール
洋々は将来に亘って社会で活躍できる人材を育てる、総合型選抜専門塾。総合型選抜の塾の総本山として、特に慶應義塾大学、早稲田大学をはじめ、数多くの名門大学への合格実績を誇る。
注目の塾
PR