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【高2数学】相加相乗平均とは?いつ使うかの判断基準から解き方まで東大卒ライターが伝授

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大学受験
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「相加相乗平均って、何のための公式?」と悩んでいませんか?

相加平均とは2つの正の数を足して2で割った平均です。相乗平均は2つの正の数をかけてルートをとった平均をさします。そして、2つの数が正のとき、相加平均は常に相乗平均以上になる、という大小関係が成り立ちます。

これが相加相乗平均の不等式です。高校数学Ⅱの「式と証明」で登場する単元です。

この記事では、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場、学習塾に入らずに東大へ現役合格し、現在はカルぺ・ディエムでさまざまな講演活動を行っている永田耕作さん監修のもと、相加相乗平均の意味・公式・使い方・等号成立条件・よくあるミスを、初学者にもわかるよう一つひとつ丁寧に解説します。

読み終えるころには、「いつ使うか」の判断から「どう解くか」の手順まで、自信を持って問題に取り組めるようになっているはずです。

塾選ジャーナル編集部

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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

永田耕作

監修者

永田耕作

2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08

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目次

相加相乗平均とは?定義と意味をわかりやすく解説

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相加平均は「2つの正の数の和をとって2で割る」、いわば「和の平均」です。一方、相乗平均は「2つの正の数の積をとり、その平方根をとる」、いわば「積の平均」です。

それぞれ異なる計算方法で求める平均ですが、この2つの間には、相加平均が必ず相乗平均以上になるという大小関係が成り立ちます。これが相加相乗平均の不等式です。

ここでは、その定義・公式・直感的な意味を順番に確認します。

2つの正の数 a、b があるとき、それぞれ次のように定義されます。

  • 相加平均:(a + b) / 2
  • 相乗平均:√(ab)

相加相乗平均の定義

具体的な数字で確認してみましょう。a = 2、b = 8 のときは、次のようになります。

  • 相加平均:(2 + 8) / 2 = 5
  • 相乗平均:√(2 × 8) = √16 = 4

このように、相加平均(5)が相乗平均(4)より大きくなっています。これは偶然ではなく、a > 0、b > 0 であれば必ずこの大小関係が成り立ちます。

a > 0、b > 0 のとき、次の不等式が成り立ちます。

(a + b) / 2 ≥ √(ab)

相加相乗平均の大小関係①

つまり「2つの正の数において、相加平均は相乗平均以上になる」ということです。

なお、実際に問題を解くときはこの式の両辺を2倍した次の形をよく使います。

a + b ≥ 2√(ab)

相加相乗平均の大小関係②

「2つの正の数の和は、積のルートの2倍以上になる」という意味です。どちらも同じ不等式を表していますが、この形のほうが計算に使いやすいため、こちらも併せて覚えておきましょう。

なお、「≥」は「以上」であるため、等しくなる(= になる)場合もあります。それが a = b のときです。

相加相乗平均の等号成立

たとえば a = 4、b = 4 なら、相加平均も相乗平均もどちらも 4 になります。a ≠ b のときは必ず相加平均のほうが大きくなります。

永田先生のアドバイス

相加相乗平均の不等式は、便利ではありますが、使う機会があまり多くないため、存在を忘れてしまいがちです。定期的に復習して、忘れないようにしましょう。

相加相乗平均の等号成立条件とは?なぜa=bになるのか

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相加相乗平均を使って最小値を求めるとき、「等号が成り立つ条件」を確認することが必須です。最小値の値を正しく求められても、等号成立条件を書き忘れると答えとして不完全になります。

ここでは、そもそも等号成立条件とは何か、なぜ確認が必要なのか、そしてなぜ a = b のときに等号が成り立つのかを順番に確認します。

「以上」は最小値の保証ではない

「≥(以上)」という不等式は、「より大きい」場合と「等しい」場合の両方を含んでいます。これだけでは、実際にその値まで小さくなるかどうかがわかりません。

たとえば「Aさんは5教科のテストすべてで90点以上をとった」という情報だけでは、「Aさんの最低点は90点」とは言えません。全教科100点だったとしても、この文章は成り立つからです。最低点が90点だと言い切るには、実際に90点をとった教科があることを確認する必要があります。

相加相乗平均も同じです。x + 4/x ≥ 4 とわかっても、それだけでは「最小値が4」とは言えません。実際に x + 4/x = 4 になる x が存在することを確認して初めて、4 が最小値だと言えます。その確認が「等号成立条件」です。

永田先生のアドバイス

これは相加相乗平均の問題ではありませんが、例えば「x^2+5>=4」の不等式は常に成り立ちますよね。しかし、だからといって「x^2+5」の最小値は4ではなく、5です。このように、不等式が成り立つからといって、最小値がその値であるとは限らないのです。

等号が成り立つのは a = b のときだけ

等号が成り立つ、つまり相加平均と相乗平均がぴったり一致するのは、2つの数が等しい(a = b)ときだけです。

たとえば a = 4、b = 4 なら、相加平均 = (4 + 4) / 2 = 4、相乗平均 = √(4 × 4) = 4 となり、確かに一致します。一方、a ≠ b であれば必ず相加平均のほうが大きくなります。

問題を解くときは、足し算の左右の項が等しくなる x の値を求めます。たとえば x + 4/x に使った場合、x = 4/x を解いて x = 2(x > 0 より)が等号成立条件です。この x の値を使って最小値を確認し、「x = 2 のとき最小値 4」という形で答えをまとめます。

永田先生のアドバイス

不等式が成り立つからといって最小値がその値であるとは限らない。だから、等号成立条件を使って実際に最小値を取れるかどうかを確認しなければなりません。解答に忘れず付け加えることを意識しましょう。

相加相乗平均を使える3つの条件

相加相乗平均を使える3つの条件

相加相乗平均は「使えそうな気がする」だけで使ってしまうと、正しい答えが出ないことがあります。

そこで覚えておきたいのが、使えるかどうかを判断するための条件です。問題を見たときに次の3つの条件を素早くチェックできるようになると、ミスが大きく減ります。

条件① 式に足し算が含まれている

相加相乗平均は「和(足し算)」に対して使う公式です。式の中に足し算が見えたら、まず相加相乗平均が使えないか考えてみましょう。

たとえば x + 3/x のような形が見えたら相加相乗平均を疑います。「何かと何かを足している」という構造が、使えるかどうかの最初のサインです。

逆に、式が積(掛け算)だけで構成されているときは相加相乗平均は使いにくいことが多いです。あくまでも「足し算の式の最小値を求めたい」という場面で登場する公式だと覚えておきましょう。

永田先生のアドバイス

相加相乗平均が役に立つのは、足し算を評価(大小関係を把握すること)したいとき。足し算があるかないかだけではなく、その大小関係や最小値を考える必要があるかも、大切になってきます。

条件② かけると定数になる組み合わせがある

和の形が確認できたら、次に「2つの項をかけ合わせたとき、積が定数(固定された数)になるか」を確認します。相加相乗平均の右辺は √(ab) という積の形なので、2つの項の積が一定になっていることで、最小値や最大値を求めやすくなるのです。

たとえば x + 4/x という式を見たとき、一見バラバラに見えますが、x × 4/x = 4 と、かけ合わせると積が 4 に固定されます。こうすれば、最小値が定まって計算しやすいですね。

積が一定でない場合でも、式を変形することで積を作れることがあります。分母に文字がある分数の形(1/x、3/x など)が出てきたら、「掛けると何になるか」を確認する習慣をつけましょう。

永田先生のアドバイス

変数を消すために掛け算を使うというのは、代数ではよく使われる手法です。相加相乗平均だけの考え方ではないので、覚えておきましょう。

条件③ 文字の範囲が正(x > 0)である

相加相乗平均が使えるのは、a > 0、b > 0 のときだけです。相加相乗平均の不等式は、証明の過程で a > 0、b > 0 を前提としているため、この条件が満たされない場合は不等式自体が成り立たないことがあります。

たとえば a = -2、b = -2 のとき、相加平均は (-2 + (-2)) / 2 = -2 ですが、相乗平均は √((-2)×(-2)) = 2 となり、相加平均 < 相乗平均 となって不等式が逆転してしまいます。問題文に「x > 0」などの条件が明示されているかを必ず確認してから使いましょう。

永田先生のアドバイス

見た目が足し算と掛け算で、相加相乗平均が使えそうでも、2つの数が正でないと使うことはできません。変数だとルートを取っても違和感が生まれにくく、気づきにくいものです。必ず範囲を確認してから使う癖をつけましょう。

相加相乗平均はいつ使う?すぐ気づきたい典型パターン3つ

相加相乗平均を使う3つの典型パターン

3つの条件を覚えたら、次は「見た瞬間に使う」と判断できる典型パターンを押さえておきましょう。以下の形が出てきたら、迷わず相加相乗平均を疑います。

① 分母と分子に同じ文字がある足し算

これは見た瞬間に相加相乗平均です。なぜかというと、x と 1/x のように分母と分子に同じ文字がある項どうしをかけ合わせると、x × 1/x = 1 と文字が消えて定数になるからです。x > 0 の条件さえあれば3つの条件がすべてそろいます。

1/x の部分が 2/x や 4/x になっていても同様です。

たとえば x + 4/x なら x × 4/x = 4 と積が固定されるので、同じように使えます。「分母に x がある分数と足し算になっている」という形が見えたら、まずかけ合わせて文字が消えるか確認する習慣をつけましょう。

実際に x + 4/x に使うと、

x + 4/x ≥ 2√(x × 4/x) = 2√4 = 4

と、最小値の候補がすぐに求まります。

永田先生のアドバイス

掛け合わせたときに、定数が出てくると、相加相乗平均の不等式を使って評価がしやすくなります。実際に問題を解いてみると、使いやすさに気づくと思うので、まずは練習してみましょう。

②和が一定のとき積の最大値を求めたい場合

「a + b の最小値を求めよ」ではなく、「a + b の値が一定のとき、ab の最大値を求めよ」という形の問題があります。これは相加相乗平均を逆向きに使うパターンです。

相加相乗平均 (a + b) / 2 ≥ √(ab) の両辺を2乗すると、((a + b) / 2)² ≥ ab となります。つまり「積 ab は、相加平均の2乗以下」ということです。

たとえば a > 0、b > 0、a + b = 6 のとき、ab の最大値を求めるとします。

相加相乗平均より、

√(ab) ≤ (a + b) / 2 = 6 / 2 = 3

両辺を2乗して、ab ≤ 9

等号が成り立つのは a = b のとき、a + b = 6 より a = b = 3 のときです。よって ab の最大値は 9 です。

「和が一定なら積を最大にしたい→相加相乗平均を逆向きに使う」という発想を持っておくと、こうした問題に出会ったときにすぐ対処できます。最初は①のパターンに慣れてから、このパターンにも挑戦してみましょう。

永田先生のアドバイス

逆向きに使う、という発想は難しく、初見では思いつかないかもしれません。これをきっかけに覚えておきましょう。いずれにせよ、足し算と掛け算のセットが出てきたら、相加相乗平均を疑うことを忘れずに。

③ a と 1/a のように対になっている式

a + b + 1/a + 1/b のように、a と 1/a、b と 1/b のように「ある文字」と「その逆数」がセットで登場する式も典型パターンです。

この式に一度に相加相乗平均を使おうとしても、4つの項をすべてかけ合わせると a × b × 1/a × 1/b = 1 となり積は固定されますが、等号成立条件が a = b = 1/a = 1/b となってしまい不自然です。

そこで「a と 1/a のペア」「b と 1/b のペア」に分けて、それぞれに相加相乗平均を使います。

a > 0 より、a + 1/a ≥ 2√(a × 1/a) = 2 b > 0 より、b + 1/b ≥ 2√(b × 1/b) = 2

この2つを足し合わせると、次のようになります。

a + 1/a + b + 1/b ≥ 4

等号が成り立つのは a = 1/a かつ b = 1/b、つまり a = b = 1 のときです。

「対になっている式が見えたらペアに分けて2回使う」というイメージを持っておくと、こうした問題に出会ったときに迷わず対処できます。

永田先生のアドバイス

相加相乗平均に限らず、対称な形が見えたらセットとして扱うことを考えるのは鉄則です。これを機に、他の問題でも意識してみてください。

相加相乗平均の使い方!最小値や証明に使おう

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相加相乗平均は、最小値を求める問題と不等式の証明問題、大きく2つの場面で登場します。どちらも使い方の流れは同じで、この3ステップを繰り返すだけです。手順を体に染み込ませてしまえば、初見の問題でも迷わず対処できます。

基本の解き方(手順)

相加相乗平均を使った解法は、次の3ステップで完結します。

STEP1 形を整える 

式が「和の形」になっているかを確認し、必要であれば変形します。x > 0 などの条件も忘れずチェックします。

STEP2 相加相乗平均を適用する 

(a + b) / 2 ≥ √(ab) の不等式を当てはめ、最小値(または最大値)を求めます。このとき、右辺の √(ab) の値が答えの候補になります。

STEP3 等号成立条件を確認する 

等号が成り立つのは a = b のときだけです。その条件を満たす x の値を求め、「x = ○○ のとき最小値 ○○」という形で答えをまとめます。等号成立条件を書かないと、答えとして不完全になるので注意しましょう。

なお、証明問題の場合も流れは同じです。「和の形を確認する→積が固定されるか確認する→相加相乗平均を適用する→等号成立条件を示す」という手順で証明を完成させます。「a + b ≥ ○○ を証明せよ」という形の問題では、相加相乗平均を適用することで右辺の値を導けます。

永田先生のアドバイス

一番つまずきやすいポイントは、やはり2つの数が正かどうかを確認しそびれる点でしょう。相加相乗平均の不等式が成り立つ前提条件なので、絶対に忘れないように気をつけてください。

例題① 最小値問題(基本)

【問題】x > 0 のとき、x + 4/x の最小値を求めよ。

【解説】

まず式を見ると、x と 4/x の和になっています。和の形なので相加相乗平均を使うことを疑いましょう。

次に積を確認すると、x × 4/x = 4 と、積が 4 に固定されています。条件も x > 0 なので、3つの条件がすべてそろっています。相加相乗平均を使いましょう。

相加相乗平均より、

x + 4/x ≥ 2√(x × 4/x) = 2√4 = 4

等号が成り立つのは x = 4/x のとき、つまり x² = 4、x > 0 より x = 2 のときです。

x = 2 のとき、x + 4/x = 2 + 2 = 4 となり、確かに最小値と一致しています。

答え:x = 2 のとき、最小値 4

例題② 証明問題

【問題】a > 0、b > 0 のとき、a/b + b/a ≥ 2 を証明せよ。

【解説】

まず式を見ると、a/b と b/a の和になっています。和の形なので相加相乗平均を疑いましょう。

積を確認すると、(a/b) × (b/a) = 1 と固定されています。a > 0、b > 0 より a/b > 0、b/a > 0 なので、3つの条件がそろっています。

a>0, b>0から、相加相乗平均より、

a/b + b/a ≥ 2√(a/b × b/a) = 2√1 = 2

等号が成り立つのは a/b = b/a のとき、つまり a² = b²、a > 0、b > 0 より a = b のときです。(証明終わり)

永田先生のアドバイス

証明を書く際、前提条件である「2つの数が正」を必ず示してから、相加相乗平均の不等式を使うようにしましょう。これを書かないと前提条件を無視していると考えられ、減点されてしまいかねません。

相加相乗平均の証明

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相加相乗平均がなぜ成り立つのか、証明を確認しておきましょう。出発点は「2乗は必ず0以上になる」という性質です。

a > 0、b > 0 のとき、(a - b)² ≥ 0 が成り立ちます。左辺を展開すると、

a² - 2ab + b² ≥ 0

両辺に 4ab を加えると、次のようになります。

a² + 2ab + b² ≥ 4ab

左辺は (a + b)² と因数分解できるので、

(a + b)² ≥ 4ab

a > 0、b > 0 より a + b > 0、また ab > 0 なので、両辺の正の平方根をとると、 a + b ≥ 2√(ab)

a + b ≥ 2√(ab)

両辺を 2 で割って、

(a + b) / 2 ≥ √(ab)

これが相加相乗平均の不等式です。

等号が成り立つのは (a - b)² = 0、つまり a = b のときです。

永田先生のアドバイス

証明を読んだ人は、なぜ「2つの数が正」でなければならないかピンと来たかと思います。√abが実数の範囲で定義でき、√(a + b)²をa+bと変形できる必要があるから、a+b>0、ab>0の2つの条件より、「a>0、b>0」の前提条件が出てくるのです。

相加相乗平均でよくあるミスと使えないケース

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相加相乗平均は使い方を誤ると、正しい答えが出ないだけでなく、そもそも使えない場面で使ってしまうケースもあります。ここでは特に多いミスを3つ取り上げます。

負の数で使ってしまうミス

x > 0 の条件がないまま相加相乗平均を適用するのは誤りです。たとえば x < 0 の場合、x + 4/x < 0 になるため、相加相乗平均で求めた 4 は最小値になりません。問題文に「x > 0」などの条件が明示されているかを必ず確認してから使いましょう。

等号成立条件を見落とすミス

x + 4/x ≥ 4 を示しただけで「最小値は4」と答えるのは不十分です。不等式が成り立つだけでは、実際に4まで小さくなるかどうかがわかりません。x = 4/x を解いて x = 2 のとき等号が成り立つことを確認し、「x = 2 のとき最小値4」という形で答えましょう。

無理に相加相乗平均を使おうとするケース

積が定数に固定されない式にそのまま適用するのは避けましょう。たとえば x + x² は、x × x² = x³ となり積が x に依存するため相加相乗平均だけで最小値を出すのは難しいです。和の形に見えても積が固定されない場合は、微分など別の解法を検討しましょう。

永田先生のアドバイス

もちろん、答えを求められる場合もあるのですが、基本的には積が定数となるパターンに適用するのがおすすめです。

3つの数に拡張した相加相乗平均【発展】

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ここまで扱ってきた相加相乗平均は2つの数 a、b に関するものでした。実はこれを3つの数に拡張した公式も存在します。入試で登場することもある発展的な内容なので確認しておきましょう。

a > 0、b > 0、c > 0 のとき、次の不等式が成り立ちます。

(a + b + c) / 3 ≥ ³√(abc)

左辺は3つの数を足して3で割った平均(相加平均)、右辺は3つの数をかけてから3乗根をとった平均(相乗平均)です。2つの場合と同様に、等号が成り立つのは a = b = c のときだけです。

よく出る形としては、a + b + c の最小値を求める問題です。

たとえば a > 0、b > 0、c > 0、abc = 8 のとき、a + b + c の最小値を求めよ、という問題では、

a + b + c ≥ 3 × ³√(abc) = 3 × ³√8 = 3 × 2 = 6

等号成立は a = b = c のとき、abc = 8 より a = b = c = 2 のとき最小値 6 となります。

2つの場合と使い方の流れは同じです。「和の形・積が一定・文字が正」の3条件を確認してから適用しましょう。

永田先生のアドバイス

発展的な内容ですが、2つのときとあまり大きくは変わりません。2つであろうと3つであろうと、「相加平均>=相乗平均」なのです。

相加相乗平均の練習問題

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ここまで学んだ内容を実際の問題で確認しましょう。「条件を確認する→相加相乗平均を適用する→等号成立条件を確認する」の3ステップを意識しながら解いてみてください。

基本問題

【問題1】x > 0 のとき、x + 9/x の最小値を求めよ。

【解説】

x と 9/x の和の形なので相加相乗平均を疑います。積を確認すると、x × 9/x = 9 と固定されています。x > 0 の条件もそろっているので相加相乗平均を適用します。

相加相乗平均より、

x + 9/x ≥ 2√(x × 9/x) = 2√9 = 6

等号が成り立つのは x = 9/x のとき、つまり x² = 9、x > 0 より x = 3 のときです。

答え:x = 3 のとき、最小値 6

【問題2】x > 0 のとき、(x + 4)²/x の最小値を求めよ。

【解説】

このままでは和の形が見えにくいので、まず式を展開して整理します。

(x + 4)²/x = (x² + 8x + 16)/x = x + 8 + 16/x

x + 16/x の部分に注目すると、積は x × 16/x = 16 と固定されています。x > 0 の条件もそろっているので相加相乗平均を適用します。

x + 16/x ≥ 2√(x × 16/x) = 2√16 = 8 

両辺に 8 を加えると、 x + 8 + 16/x ≥ 8 + 8 = 16

等号が成り立つのは x = 16/x のとき、つまり x² = 16、x > 0 より x = 4 のときです。

答え:x = 4 のとき、最小値 16

標準問題

【問題3】a > 0、b > 0 のとき、a/b + b/a ≥ 2 を証明せよ。

【解説】

a > 0、b > 0 より、a/b > 0、b/a > 0 が成り立ちます。また、(a/b) × (b/a) = 1 と積が固定されているので、相加相乗平均が使えます。

相加相乗平均より、

a/b + b/a ≥ 2√(a/b × b/a) = 2√1 = 2

等号が成り立つのは a/b = b/a のとき、つまり a² = b²、a > 0、b > 0 より a = b のときです。(証明終わり)

【問題4】a > 0、b > 0 のとき、(a + b)(1/a + 1/b) ≥ 4 を証明せよ。

【解説】

このままでは相加相乗平均を使いにくいので、まず左辺を展開して整理します。

(a + b)(1/a + 1/b) = 1 + a/b + b/a + 1 = a/b + b/a + 2

a > 0、b > 0 より a/b > 0、b/a > 0 なので、相加相乗平均より、

a/b + b/a ≥ 2√(a/b × b/a) = 2

よって、(a + b)(1/a + 1/b) = a/b + b/a + 2 ≥ 2 + 2 = 4

等号が成り立つのは a/b = b/a、つまり a = b のときです。(証明終わり)

応用問題

【問題5】a > 0、b > 0、c > 0、abc = 8 のとき、a + b + c の最小値を求めよ。

【解説】

a > 0、b > 0、c > 0 なので、3つの場合の相加相乗平均が使えます。

相加相乗平均より、

a + b + c ≥ 3³√(abc) = 3³√8 = 3 × 2 = 6

等号が成り立つのは a = b = c のとき、abc = 8 より a = b = c = 2 のときです。

答え:a = b = c = 2 のとき、最小値 6

まとめ 相加相乗平均を使って最小値も証明問題もスッキリ解こう

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相加相乗平均は、正しく理解すれば最小値問題も不等式の証明問題も同じ流れで解ける、非常に使い勝手のよい道具です。

ただし、使えるかどうかの判断が肝心です。「和の形になっているか」「積が定数に固定されるか」「文字が正の数か」の3条件を確認する習慣を身につけることが、ミスをなくす最短ルートです。

公式を覚えるだけでなく、等号成立条件の意味まで理解しておくことで、答えの最後の一行まで自信を持って書けるようになります。まずは練習問題を繰り返し解いて、「この形が見えたら相加相乗平均」と反射的に気づけるレベルを目指しましょう。

永田先生のアドバイス

最初はいつ使えばいいのかわからなかったり、なぜこの形で最小値が出るの? と疑問に思ったりすることでしょう。ですが、たくさんの証明方法に触れ、条件の見極め方に慣れてくると、徐々に使える武器になっていきます。できるだけ多くの問題を解いて、少しずつ慣れていきましょう。

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株式会社カルペ・ディエム所属 東京大学教育学部卒ライター
永田耕作

2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08

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