医学部 志望理由書はどう書く?例文と型を使って評価される書き方を解説
医学部合格を目指して志望理由書を考えるとき、「何を書けばいいのかわからない」と悩んでいませんか。ありきたりな内容になっていないか、不合格になるのではないかと不安になりますよね。
医学部の志望理由書は、<志望理由・将来像・学びたいこと・大学の志望理由>の構造で書くことで、合格レベルに近づきます。特別な才能がなくても、この基本構成に沿って具体的に書けば評価される文章は作れます。
この記事では、医系専門予備校メディカルラボの知見をもとに監修のもと、志望理由書の正しい書き方を例文やNG例と一緒にわかりやすく解説します。書けない人でも自分の志望動機を整理できるテンプレートや、提出前のチェックポイントまで網羅しているので、最後まで読んで自信を持って志望理由書を仕上げられるようになりましょう。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
中村聡(なかむら さとし)
メディカルラボ所属。主に名古屋校で「面接、小論文、そして志望理由書」の指導を行っている。日々、医学部の情報を収集し、さらに、毎年多くの大学の個別ブースの相談会に出席して、医学部の特徴や入試制度の情報をチェックしている。 そして、それらの情報を受験生に還元し、大学入試で活用できるように指導している。
目次
医学部における志望理由書の役割
志望理由書は、医師を目指す理由や将来像、大学を志望する理由を文章にまとめた出願書類です。総合型選抜や学校推薦型選抜では提出が必須となる大学が多く、一般選抜でも提出を求める大学があります。
また、志望理由書が入試で直接点数化されるケースは多くありません。必要以上に気負わず、自分の言葉で丁寧に仕上げることを意識しましょう。
医学部の入試において、志望理由書は単なる書類提出にとどまりません。大学側は志望理由書を通じて、受験生が医師としての適性や意欲を持っているかを確認します。また、すべての医学部で実施される面接では、志望理由書の内容をもとに質問が行われるため、面接対策の土台にもなります。
つまり、志望理由書は「自分がどんな医師になりたいか」を伝える最初の場であり、面接を含めた入試全体に影響する重要な書類です。だからこそ、書き方の基本を押さえたうえで、自分の言葉で丁寧に仕上げる必要があります。
医学部の志望理由書、受かる人と落ちる人で何が違う?


医学部の志望理由書には、評価される文章とされない文章に明確な違いがあります。
医学部の志望理由書では、「なぜ医師なのか」「なぜこの大学なのか」を具体的な体験をもとに書くことが重要です。一方、落ちる志望理由書は、誰にでも当てはまる抽象的な内容にとどまりがちです。「この受験生だからこそ」という説得力があるかどうかが、評価を分けるポイントになります。
まずは合格例と不合格例を読み比べてみましょう。両者の違いを知ることが、自分の志望理由書を書く第一歩になります。
【合格レベル】受かる志望理由書の例(400字)
以下は、評価されやすい志望理由書の例文です。
<パソコンでの入力を想定>

【PCで書く際の留意点】
- 無段落で書くのか、改行できるのかを事前にチェックする
- 改行は何行までできるのかチェックする
- 字数が何字になっているのか、常にチェックして作成していく
この例文には、評価される志望理由書に共通する4つのポイントが含まれています。
①医師を志す理由が個人的な体験に基づいている
「祖父の闘病」「主治医の対応」という具体的なエピソードがあるため、動機に説得力が生まれています。
②将来像が具体的
「総合診療医」や「予防や治療」、さらには「介護」まで、医師としてどのように医療に関与していきたいかが明確に示されています。
③大学で取り組みたいことが書かれている
「早い段階から地域医療の現場に出て」と、将来像から逆算した学びの姿勢が伝わります。
④大学を選んだ理由が明確
「早期体験プログラム」という具体的なカリキュラムに触れることで、「この大学でなければならない理由」が伝わります。
医師を志望する動機から将来像、学びの計画、大学選びまでが一本の線でつながっている点が、評価のポイントです。参考までに原稿用紙に書く場合の記述例も紹介します。
<原稿用紙への記述を想定> ※傍線部は4つのポイントに該当する部分です。

【原稿用紙に書く際の留意点】
- 400字の場合、最低二段落で書き上げる
- 各段落の初めは、一マス空欄にする
- 各空欄も字数として数える
- 最後の文章で400字になった場合、最後の「。」は同じマスに記入しても401字として認識されるので注意
なお原稿用紙・手書きの基本ルールについては、こちらの記事で確認できます。
\段落の正しいルールを例文と合わせて解説/
【NG例】落ちる志望理由書の例(400字)
次に、評価されにくい志望理由書の例文です。
<パソコンでの入力を想定>
将来は多くの患者さんを助けられる医師になりたいと考えています。病気やけがで苦しむ人々に寄り添い、③一人でも多くの方を笑顔にすることが私の目標です。大学では医学の知識や技術をしっかり学び、医師として必要な力を身につけたいです。実習にも積極的に取り組み、充実した学生生活を送りたいと思います。
④貴学は歴史と伝統があり、優れた教育環境が整っていると聞いています。多くの優秀な医師を輩出してきた貴学で学べば、立派な医師になれると確信しています。医学の勉強は大変だと思いますが、⑤努力を惜しまず頑張ります。貴学で学んだことを活かし、社会に貢献できる医師を目指します。
この例文には、落ちる志望理由書に共通する問題点があります。
まず、医師を志す理由に具体性がありません。①「人の役に立ちたい」②「命を救える職業」という表現は、医師でなくても当てはまります。看護師や薬剤師との違いが見えず、「なぜ医師なのか」が伝わりません。
次に、将来像があいまいです。③「多くの患者さんを笑顔にしたい」だけでは、どんな医師になりたいのか具体的にイメージできません。⑤「努力を惜しまず頑張ります」という決意表明だけで終わっているのも、評価を下げる原因になります。
さらに、大学を選んだ理由が表面的です。④「歴史と伝統」「優れた教育環境」はどの大学にも使える言葉です。その大学のカリキュラムや教育方針に踏み込んでいないため、「どこでもいいのでは」と思われてしまいます。

上述2つの例文から、受かる志望理由書のポイントは「具体性」と「一貫性」の2点であることがわかると思います。
次の章では、医学部の志望理由書で差がつくポイントをさらに詳しく解説します。
医学部の志望理由書で差がつく、もう2つの視点
4つのポイントを押さえたうえで、さらに評価を高めるために意識したい視点が2つあります。
- 志望理由書全体の一貫性
- 医師に必要な視点
この2つです。この2つは例文の表面からは見えにくいですが、大学側が無意識に判断している重要なポイントです。
① 一貫性のある志望理由
医師を志望する動機・将来像・大学選びの方向性が、一本の軸でつながっていることが重要です。
たとえば、志望動機で「地域医療に貢献したい」と書いているのに、将来像で「最先端の研究がしたい」と書いてしまうと、読み手にちぐはぐな印象を与えます。書き始める前に、自分の軸を一言で決めておくと一貫性を保ちやすくなります。
軸の例としては「過疎地における医療の充実化に貢献したい」「バイオベンチャー企業で難病の治療研究に携わりたい」のように、方向性が明確なものが理想です。志望動機から将来像、大学選びまでがこの軸に沿っているか、書き終えたあとに全体を通して確認しましょう。
中村先生
作成者は「自分のこと」を書いているわけですから、当然「一貫性のある志望理由書が書けた!」と思っているでしょう。しかし、初めてその志望理由書を読む「読み手」の立場で一読したとき、本当にそう自信をもって言えますか?ポイントはエピソードを書きすぎないこと。そして、書き終わったら必ず「はじめ(導入)」と「終わり(結論)」だけをつなげて読んでください。はじめと終わりに矛盾がないか、ズレがないかを確認することが大切です。
② 医師に必要な視点
医療に対する考え方や姿勢も評価の対象です。押さえておきたい視点が3つあります。
患者視点
病気を治す技術だけでなく、患者さんの不安や生活背景にも目を向けられるかが問われます。「患者さんに寄り添いたい」だけでは抽象的です。どんな場面で何を感じ、どう寄り添いたいと思ったのかまで踏み込んで書きましょう。
倫理観
医療倫理に対する意識も見られるポイントの一つです。専門的な知識は不要ですが、終末期医療やインフォームドコンセント(患者さんへの十分な説明と同意)などについて、自分なりに考えた経験があれば素直に書きましょう。正解を書くことよりも、自分の頭で考えている姿勢を見せることが大切です。
地域医療
特に地方の国公立大学では、地域医療に貢献する人材を求めていることが多く、アドミッションポリシー(大学が求める学生像)に明記されている場合もあります。「地域医療に貢献したい」だけでなく、なぜ関心を持ったのか、きっかけとなった体験や問題意識を具体的に示すことで、ありきたりな内容との差がつきます。
中村先生
医師に必要な視点は、受験生が最も苦手とするところです。その理由はこの視点で考えることが、普段あまりないからです。志望理由書を書くときは、「患者さんは何をどう医師に望んでいるのか」を考えてから「どのようなことを書けばよいのか」を考えましょう。ポイントは具体的に考えること。「患者さんに信頼される医師」だけでは読み手は理解できません。どうすれば、信頼される医師なのかを具体的に考えて文章化しましょう。
医学部の志望理由書、字数・形式は大学ごとに違う
医学部の志望理由書は、大学や入試区分によって字数や形式が大きく異なります。「自筆」「所定様式」「字数指定なし」など要件もさまざまです。出願準備の前に、志望校の最新の学生募集要項で必ず確認しましょう。
ここでは、主要医学部の2026年度入試における志望理由書の概要を一覧で紹介します。
| 大学名 | 入試区分 | 字数 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 東京大学 | 一般選抜 | 400字 | 医学を志す理由・自己評価を記入 ※面接当日提出のアンケート。出願書類ではない |
| 横浜市立大学 | 一般選抜 | A4指定用紙・2枚 | 医学を志望する理由と、医師や医学研究者として目指す目標についても記入 |
| 名古屋市立大学 | 学校推薦型選抜B (地域枠・中部圏活躍型等 |
500字以内 | 該当学部学科の学校推薦型選抜に志願した理由について記述 |
| 九州大学 | 一般選抜 | A4指定用紙・1枚 | なぜ志願するのか、将来像も交えて記入 |
| 東京医科大学 | 学校推薦型選抜 | 800字以内 | 本学志望の動機、本学入学後の抱負を自筆 |
| 藤田医科大学 | 総合型選抜 | A4指定用紙・1枚 | 課題レポート |
| 東海大学 | 総合型選抜 | 300字以内 | 本学医学科を志望する理由 |
※東京大学は「志望理由書」の提出を出願書類として求めていません。面接試験当日に、医学を志す理由や自己評価等を400字以内で記入するアンケートへの記述が求められます。
※上記の情報は2026年度入試の学生募集要項に基づきます。最新かつ正確な情報は、必ず各大学の公式サイトで確認してください。
このように、同じ医学部でも字数は「数百字」から「A4指定用紙・1枚」「指定なし」など幅があり、形式もさまざまです。志望理由書は、各大学が「どのような学生を求めているか」を反映した重要な書類です。志望校の要項を早めに確認し、字数・形式に合った内容で準備を進めましょう。
医学部の志望理由書、書き始める前にやるべき6つの準備

志望理由書をいきなり書き始めると、途中で手が止まったり、内容がまとまらなかったりすることがよくあります。これは文章力の問題ではなく、書く前の準備が足りていないことが原因です。
志望理由書の質は、書き始める前の準備でほぼ決まります。自分の考えを整理し、必要な情報を集めたうえで書くことで、説得力のある文章に仕上がります。ここでは、実際に書き始める前にやっておくべき6つの準備を順番に解説します。
まずは志望校のアドミッションポリシーを確認する
アドミッションポリシーとは、大学が「どんな学生を求めているか」を示した方針です。志望理由書を書く前に、必ず志望校のアドミッションポリシーを確認しましょう。
なぜなら、志望理由書は「自分が書きたいこと」を書く場ではなく、「大学が求める人物像に自分が合っていること」を伝える場だからです。アドミッションポリシーを読まずに書くと、大学の求める方向性とずれた内容になってしまうリスクがあります。
確認の方法はシンプルです。志望校の公式サイトで「アドミッションポリシー」や「入学者受入れの方針」を検索してください。多くの大学では、医学部のページや入試情報のページに掲載されています。
確認するときは、特に「地域医療」「研究」「国際性」「倫理観」といったキーワードに注目しましょう。たとえば「地域医療に貢献する意欲のある学生」と書かれていれば、志望理由書にも地域医療への関心を盛り込む必要があります。
テンプレートで自己分析を進める
志望理由書を書く前に、自分の考えを整理する自己分析の時間を取りましょう。頭の中だけで考えていると情報が散らばり、何を書けばいいのかわからなくなりがちです。
自己分析には、以下のようなテンプレートを使うと効率的に進められます。
| 項目 | 書き出す内容 |
|---|---|
| 医師を志したきっかけ | いつ、どんな体験がきっかけだったか |
| そのとき感じたこと | どんな感情を抱いたか、何に心を動かされたか |
| なぜ医師でなければならないのか | 看護師や薬剤師ではなく医師を選ぶ理由 |
| 将来なりたい医師像 | どの分野で、どんな場所で、どんな医療を提供したいか |
| その大学を選ぶ理由 | カリキュラム・実習・教育方針など具体的な魅力 |
| 大学で取り組みたいこと | 学びたいこと、参加したいプログラムなど |
すべての欄を完璧に埋める必要はありません。まずは思いつくことを書き出してみてください。書き出すことで、自分の考えが目に見える形になり、志望理由書に使える材料が見えてきます。
「なぜ医師か」を言葉にする
自己分析で書き出した内容をもとに、まずは「なぜ医師になりたいのか」を整理しましょう。ここが志望理由書の核になる部分です。

整理するときのポイントは、「体験→感情→決意」の順番で考えることです。まず、医師を志すきっかけになった体験を一つ選びます。次に、そのとき何を感じたかを思い出します。最後に、その感情がなぜ「医師になりたい」という決意につながったのかを言葉にしましょう。
ありがちな失敗は、きっかけの体験だけを書いて終わってしまうことです。「祖父が入院した」という事実だけでは動機になりません。「そのとき主治医の姿を見て何を感じたのか」「なぜ自分も同じように患者さんに向き合いたいと思ったのか」まで掘り下げることで、初めて説得力のある理由になります。
また、「なぜ医師でなければならないのか」という問いにも答えられるようにしておきましょう。「人を助けたい」だけでは他の医療職との違いが見えません。診断から治療方針の決定まで責任を持てること、患者さんの人生全体を長期的に支えられることなど、医師だからこそできることに着目すると整理しやすくなります。
「どんな医師になりたいか」を具体化する
次に、「どんな医師になりたいか」を具体的に整理します。将来像を考えるときは、「分野」「場所」「届けたい医療」の3つを軸にすると整理しやすくなります。
たとえば、「分野=総合診療」「場所=地方の過疎地域」「届けたい医療=予防から在宅まで一貫した医療」のように具体化します。3つすべてが明確でなくても、まずは方向性を決めるだけで内容に芯が通ります。
「なぜこの大学か」を掘り下げる
「なぜこの大学なのか」は、志望理由書の中でも差がつきやすい部分です。ここが弱いと、「どこの大学でもいいのでは」と受け取られてしまいます。
大学の志望理由を考えるときは、志望校の公式サイトやパンフレットから具体的な情報を集めましょう。注目すべきポイントは、カリキュラムの特徴、実習やプログラムの内容、教育方針、研究分野などです。
ただし、情報をそのまま並べるだけでは不十分です。大切なのは、「その特徴が自分の目標とどう結びつくか」を示すことです。
たとえば、「地域医療の早期体験プログラムがある」と書くだけではなく、「1年次から地域の診療所で学べる早期体験プログラムがあり、自分が目指す医師像に近づける環境だと感じ志望しました」と書くことで、大学選びに必然性が生まれます。
その大学にしかない特徴と、自分の志望動機や将来像をセットで書くことが重要です。
書く前に基本構成を確認する
準備が整ったら、志望理由書の基本構成を確認しましょう。これに沿って書くことで、内容が整理された読みやすい文章になります。
医学部の志望理由書で使いやすい基本構成は、次の5つのパートで成り立っています。
<志望理由書の基本構成>
| 順番 | パート | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 医師を志す理由 | きっかけとなった体験と、そこから生まれた動機 |
| 2 | 将来像 | どんな分野で、どんな医師になりたいか |
| 3 | 大学で取り組みたいこと | 将来像の実現に向けて学びたいこと |
| 4 | 大学の志望理由 | その大学を選んだ具体的な理由 |
| 5 | まとめ | 志望動機と将来像を結びつけた締めくくり |
この流れは、本記事の冒頭で紹介した「受かる志望理由書の例」でも使われている構成です。動機から将来像、大学選びまでが自然な流れでつながるため、読み手にとっても理解しやすくなります。
ただし、この構成はあくまで骨組みです。当てはめることを意識しすぎて、自分の言葉が消えてしまっては本末転倒です。自己分析で整理した内容を、この順番に沿って配置するイメージで書き進めましょう。
志望理由書の文章ルール
志望理由書は、内容だけでなく文章の書き方でも印象が変わります。どれだけ良い内容を準備しても、読みにくい文章や書式のミスがあると、それだけで評価を下げてしまうことがあります。ここでは、志望理由書を書くときの基本ルールを確認しましょう。
一文を短く、読みやすく書く
志望理由書は、一文を短く、簡潔に書くことが基本です。一文が長くなると主語と述語がずれやすくなり、何を伝えたいのかがぼやけてしまいます。目安として、一文は60文字前後に収めることを意識しましょう。
また、段落ごとに伝えたいことを一つに絞ると、全体の構成が整います。「この段落では志望動機、この段落では将来像」のように、役割を明確にして書き進めてください。
さらに各段落の最初の文章では、主語や目的語を省かず丁寧に書きましょう。そうすることで、志望理由書を読む側がその段落の理由を明確に理解できるようになります。
コピペや使い回しは避け、自分の言葉で書く
例文やテンプレートを参考にすること自体は問題ありません。ただし、そのまま写したり、複数の大学に同じ文章を使い回したりするのは避けましょう。
大学側は多くの志望理由書を読んでいるため、借りてきた言葉はすぐに見抜かれます。自己分析で整理した自分の体験や考えをもとに、自分の言葉で書くことが何より大切です。
正しい書式で書く
内容だけでなく、書式の正しさも評価に影響します。以下の基本的なルールを押さえておきましょう。
文体を統一する
志望理由書の文体は「です・ます調」が基本です。例えば、志望理由書の中で受ける大学のことを「貴学」と丁寧に呼んでいるのに、「だ・である調」では、丁寧さのバランスがとれません。
文字数は指定文字数の90%以上書く
例えば、志望理由書に「400字以内で書きなさい」と指定がある場合は、その90%以上、つまり360字以上400字以下で書くようにしましょう。過不足がある場合、印象を悪くする可能性があります。
正しく改行する
段落の切り替え時に改行し、文頭は一字下げ(字下げ)するのが基本です。改行が少なすぎると読みづらく、多すぎると内容が薄い印象を与えます。内容のまとまりごとに改行する意識を持ちましょう。
誤字脱字や表記ゆれをなくす
誤字脱字は、それだけで「注意力が足りない」という印象を与えかねません。書き終えたら必ず見直し、可能であれば第三者にも確認してもらいましょう。「〜だと思います」と「〜と考えます」のような表記ゆれにも注意が必要です。
大学ごとのルールを確認する
文字数の指定、手書きかデジタルかの形式、用紙のサイズなど、大学ごとにルールが異なります。せっかく内容の良い志望理由書を書いても、形式の不備で減点されてはもったいないです。出願要項を必ず確認してから書き始めましょう。
医学部の志望理由書、提出前にここだけは確認したい2つのこと
志望理由書は、書き終えた時点ではまだ完成ではありません。提出前のチェックを怠ると、内容や書式の不備に気づかないまま提出してしまうことがあります。ここでは、提出前に必ず確認しておきたい2つのポイントを解説します。
面接で質問される前提で書いているか
医学部の入試では、すべての大学で面接が実施されており、提出した志望理由書や、試験当日に記入する面接シートなどの内容をもとに質問されます。つまり、志望理由書に書いたことは、面接で深掘りされる前提で考える必要があります。
たとえば「地域医療に貢献したい」と書いた場合、面接では「あなたの考える『地域医療』とは何ですか?」「なぜ地域医療なのですか?」「地域医療の課題をどう理解していますか?」と聞かれる可能性があります。そのとき自分の言葉で答えられなければ、本当に考えて書いたのかと疑われてしまいます。
書き終えたら、志望理由書を読み返しながら「ここを突っ込まれたら何と答えるか」を一つずつ確認しましょう。自信を持って答えられない箇所があれば、内容を見直すか、面接用の回答を準備しておくと安心です。
提出前に第三者の目で見直したか
志望理由書は、自分では良く書けたと思っていても、第三者が読むと伝わりにくいことがあります。提出前には必ず客観的な視点で見直しましょう。
見直しの方法として効果的なのは、書いた翌日に読み返すことです。時間を置くことで、書いた直後には気づかなかった違和感や論理の飛躍に気づきやすくなります。さらに、学校の先生や塾の講師など第三者に読んでもらうことで、自分では見落としていた問題点が見つかります。
最終チェックには、以下の項目を一つずつ確認してみてください。
✅内容面のチェック
✅文章・書式面のチェック
すべての項目にチェックがつけば、自信を持って提出できる状態です。
医学部の志望理由書・タイプ別例文
実際に志望理由書を提出するときは、所定の書面や書式、文字数などに合わせて書いてください。
大阪大学の場合
私は幼い頃から身体が弱く、医師に診てもらう機会が多かったことが、医師という職業への関心を育てました。その思いは成長とともに深まり、山中伸弥先生がiPS細胞の研究でノーベル賞を受賞したことを知ったとき、再生医療という分野に強く惹かれました。この分野で医療技術と知識を深め、患者さんの命と健康を守る医師研究者になりたいと考えています。
貴学は研究力の高さと充実した教育体制で知られており、国内外との交流や臨床実習を通じて、幅広い視野と実践的な力を身につけられる環境が整っています。
貴学で再生医療の最新の知識と技術を習得し、新たな治療法の開発に貢献したいと考えています。患者さんの健康と生活の質の向上を追い求めながら、一人でも多くの方に希望をもたらせる医師研究者を目指します。
中村先生
大阪大学について 大阪大学は「医学研究者」の養成を使命の一つとしています。ゆえに医学研究に関して具体的に書くことが重要です。
順天堂大学の場合
将来は、医療が行き届かない発展途上国で外科医として国際貢献をしたいと考えています。
医師を志したのは、国際貢献に携わる仕事を模索していたときのことです。人の命と健康に直接向き合える医師という職業に、自分の目指す姿が重なると感じました。さらに調べる中で、中村哲先生がアフガニスタンで地域の人々に寄り添い続けた活動を知り、医師としての道を歩むことを決意しました。
貴学の学是「仁」は、思いやりと人間性を医療の根幹に置く考えを示しており、私が理想とする医師像と深く重なります。この精神を礎に、人々の力になれる医師へと成長したいと思っています。中村先生が体現したように、患者さんの傍らに立ち、国際貢献へとつながる医療を実践できる医師を、貴学での学びを通じて目指します。
中村先生
順天堂大学は「国際社会や地域社会に貢献」する学生を求めています。ゆえに国際貢献に関して具体的に書くことが重要です。
産業医科大学の場合
父が医師であり、幼い頃から医療は身近な存在でした。しかし高校1年生のとき、いつも笑顔で活力にあふれていた父が、過労によってうつ病を発症し、その表情から笑顔が消えていきました。この出来事は私に強い衝撃を与え、働く人々の健康を守り、心身の負担を和らげる産業医という存在の重要性を深く考えるきっかけとなりました。
産業医の養成を目的として設置された我が国唯一の医学部である貴学で学ぶことで、働く人々の健康と安全を守る産業医として、社会に貢献したいと考えています。
中村先生
産業医科大学は、産業医の養成を目的に建学しました。ゆえに「働く人々の健康と安全を守る産業医」という文章は必須です。
医学部受験向けの志望理由書でよくある質問
医学部の志望理由書でNGなワードはありますか?
明確にNGと決まったワードはありませんが、避けたほうがよい表現はあります。
「人の役に立ちたい」「命を救いたい」など、誰にでも当てはまる抽象的な言葉は、医師を志す理由として説得力に欠けます。また、「絶対に」「必ず」といった断言表現や、「努力します」「頑張ります」だけで終わる決意表明も、内容の薄さが目立ちやすいです。具体的な体験や将来像と結びついていない言葉は、どんなワードであっても評価につながりにくいと考えておきましょう。
志望理由書は手書きとパソコン入力、どちらがいいですか?
大学が指定する形式に従うのが基本です。
「自筆」と指定されている場合は手書きが必須で、指定がない場合はどちらでも問題ありません。手書きの場合は読みやすい字で丁寧に書くことが大切です。誤字があっても修正液の使用は避け、書き直すようにしましょう。
パソコン入力の場合は、フォントや文字サイズなど書式の指定を必ず確認してから作成してください。いずれの場合も、提出前に出願要項で形式を確認することが重要です。
400字と800字では書き方が変わりますか?
基本的な構成(志望理由→将来像→大学で取り組みたいこと→大学の志望理由)は変わりません。ただし、字数によって各パートに使える文字数が変わるため、優先度の調整が必要です。
400字の場合は、医師を志す理由と大学の志望理由に絞り、簡潔にまとめることを優先しましょう。
800字以上の場合は、各パートを丁寧に展開し、具体的なエピソードや将来像を詳しく書く余裕が生まれます。どちらの字数でも、内容を詰め込みすぎず、一本の軸が通った文章を意識してください。
志望理由書と面接の内容は合わせるべきですか?
基本的には一致させることをおすすめします。
面接では志望理由書の内容をもとに質問されることが多いため、書いた内容と話す内容がずれると、「本当に自分の言葉で書いたのか」と疑われるリスクがあります。ただし、面接では志望理由書よりも詳しく話したり、トーンを調整したりするのは問題ありません。志望理由書を土台にしながら、「ここを深掘りされたらどう答えるか」を準備しておくのが理想的な対策です。
まとめ 医学部の志望理由書は型と熱意で完成する
医学部の志望理由書は、特別な才能や華やかな経歴がなくても書けます。大切なのは、わかりやすい流れと構造で、自分の医療体験と医師になりたい志を具体的な言葉で伝えることです。
何を書けばいいかわからないと感じていた受験生も、この記事を読んだ今ならば、書くべき内容の方向性は見えているはずです。最初から完璧な文章を書く必要はありません。まずは上述のテンプレートを活用して、自己分析を行いましょう。そして具体的な志望理由の材料を考えて、基本の構成に当てはめて一度書いてみてください。
書き終えたら学校の先生や塾の講師に見てもらって、第三者の視点を取り入れましょう。このようにすれば、自信を持って面接試験にも臨むことができるでしょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
メディカルラボ所属。主に名古屋校で「面接、小論文、そして志望理由書」の指導を行っている。日々、医学部の情報を収集し、さらに、毎年多くの大学の個別ブースの相談会に出席して、医学部の特徴や入試制度の情報をチェックしている。 そして、それらの情報を受験生に還元し、大学入試で活用できるように指導している。
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