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工科高校とは?“AIに代替されない力”が身につく最先端の学びを現役塾講師が解説!

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高校受験
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高校選びでは、まず普通科を中心に考える家庭が多いのではないでしょうか。偏差値や大学進学実績も見ながら候補校を絞っていくなかで、工科高校を選択肢に入れていないという人も少なくないかもしれません。

しかし、現在の工科高校は、保護者世代の「工業高校」のイメージとは大きく変わっていることをご存じでしょうか。ものづくりの基礎だけでなく、IT・DX・ロボット・ドローンなどの先端技術を学べる環境が広がり、大学進学や資格取得に向けた支援も強化されています。

この記事では、工科高校とはどのような学校なのか、普通科との違いや卒業後の進路、具体的な学校事例まで、現役塾講師の大山先生が解説します。

塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

大山雅司

監修者

大山雅司

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

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目次

工科高校とは

工科高校とは、工業・産業・科学技術などを学ぶ専門高校のことです。本記事では都立の工科高校に焦点を当てて、解説していきます。

工科高校とは概要説明の図

都立高校には22校の工科高校がある

都立高校の場合、「工業に関する学科」として設置されている高校に加え、「産業科」「科学技術科」を含めた全22校の工科高校があります。

工業科
・工芸高校・蔵前工科高校・墨田工科高校・総合工科高校・中野工科高校・杉並工科高校・荒川工科高校・北豊島工科高校・練馬工科高校・足立工科高校・葛西工科高校・府中工科高校・町田工科高校・多摩工科高校・田無工科高校・六郷工科高校(単位制)・小金井工科高校(定時制)・本所工科高校(定時制)

産業科
・橘高校・八王子桑志高校

科学技術科
・科学技術高校・多摩科学技術高校

工科高校で専門的に学べる分野として「インテリア・デザイン」「機械・自動車」「情報技術」「建築・設備・都市工学」「食品・環境・化学」「電気・電子」などが挙げられます。

工科高校と工業高校の違いは何?

「工業高校」なら聞いたことがあるけれど、「工科高校」は初めて耳にしたという方もいるかもしれません。「工科高校って、工業高校とどう違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

結論からいうと、都立の工科高校は、これまで「工業高校」と呼ばれていた学校が、イメージを刷新すべく2023年に名称変更したものです。ただし、名前が変わっただけではありません。従来の「ものづくり」に加え、ITやDXなどの先端技術教育を積極的に取り入れることで教育環境を大きくアップデートしています。

アップデートに伴い、令和6年度には中野工科、杉並工科、北豊島工科、令和7年度には六郷工科の学科が新しくリニューアルされました。

学科改編4校
六郷工科高校:ものづくり工学科
中野工科高校:食品サイエンス科
杉並工科高校:IT・環境科
北豊島工科高校:都市防災技術科

さらに、工科高校3年間と専門学校2年間の接続を図り、IT企業からの支援を受けながらIT人材の育成を目指す教育プログラム「Tokyo P-TECH」が立ち上がりました。こちらには町田工科・荒川工科・府中工科が実施校として指定されています。

就職だけでなく理工系大学等への進学へ向けた支援も強化され、現在でも工科高校生の約半数近くが進学を選択しています。従来の“工業系=就職”だけではない、多様な進路の実現が支援されています。

なぜ今、都立の工科高校がアツいのか

都立の工科高校というと、「専門高校」「工業高校」という言葉から、進路が限られる学校というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、AIの普及やデジタル化が進むなかで、技術を使いこなし、実際にものをつくる力の価値は改めて見直されています。ここでは、都立の工科高校がいま注目される理由を、社会の変化と高校選びの観点から見ていきます。

“AIに代替されない力”が注目される

近年、AIの急速な進展に伴い“AIに代替されない力や技術”に注目が集まっています。米国で「ブルーカラービリオネア(現場作業で成功し、富裕層となった事業者)」と呼ばれる人たちが注目を集め、日本でも盛んに議論が行われるようになりました。AIの進歩に伴なって、“現場の技術”の価値が改めて見直される時代だと言えます。

このように変化が大きい現代においては、ITやDXなどデジタルスキルの習得も必須です。リニューアル後の工科高校は、ものづくり技能にデジタルスキルを合わせた、まさに今の時代に求められる最先端の学習が提供される環境といえます。

「とりあえず普通科」は損をする時代

都立工科系高校の倍率は工芸高校などの一部の高校を除き、例年低倍率が続いており、お世辞にも「人気が高い」とは言えない状況が続いています。

2026年の受検状況では、工業科の高校のうち受検倍率が高校全体で1.00を上回ったのは工芸高校のみ。科ごとに見ても、工芸高校の5科以外で1.00を超えたのは、36科中わずか7科。それ以外は全入(受検者全員が合格)の状態です。

※産業科の八王子桑志、科学技術科の多摩科学技術の受検倍率は1.00を超えています。

低倍率の要因としては工科高校の現在の取り組みが世の中に知られていないという側面が大きく、いまだ「親世代が持つ工業高校のイメージを刷新し切れていない」という現状があるのでしょう。また、現在では“私立高校無償化”の影響を受けて都立高校の普通科ですら定員割れが続出しており、あえて専門高校を選ぶ人が少ないということも考えられます。

しかし、高校選びの中で工科系を含む専門高校を一度も検討にも含めず「とりあえず普通科で」という考えのもとだけで進路を決めてしまうのは、多くの人にとって損であると私は考えます。

かつての「専門高校=就職」であった時代であればまだしも、“専門高校から大学進学”も現実的なルートとして成立する今、専門高校に通う選択が、必ずしも自分の将来の幅を狭めてしまうことにはならないからです。

むしろ、専門高校で自分が本気になれる分野と出会えるのであれば、その生徒にとっての可能性は広がるのではないでしょうか。現在の工科高校を知ることで、よりよい進路選択の一助になることを願います。

都立の工科高校の魅力4選

都立の工科高校の魅力4選

先述のように、現在の工科高校は、就職に強いだけでなく、進学や資格取得、AI・DX時代に対応した学びの面でも選択肢が大幅に広がっています。ここから現在の工科高校の具体的な魅力を4つに分けて解説します。

魅力① 圧倒的な求人倍率

工科高校の求人倍率は近年、20倍~30倍に急増し、令和6年度時点では31.9倍です。専門的な技能や資格を活かした即戦力としての活躍が期待されており、高校新卒全体の平均を大きく上回っています。

工科高校の求人倍率推移グラフ

参照元:東京都教育委員会「都立工科高校の魅力」をもとに塾選ジャーナルが作成

強い需要を受けた結果、工科高校の就職内定率は軒並み非常に高く、高校に届く求人票は数千件にのぼります。一例として、都立府中工科高校は毎年2,000社を超える求人票が届き、就職内定率は10年以上連続で100%とのこと。また、足立工科高校では令和7年度の求人票件数が4153件。求人倍率は驚きの106.5倍で、希望者の就職率も100%です。

また、求人の中身についても誰もが知る大手企業が数多く並び、高卒人材に対する期待の高さが伺えます。

求人の例:足立工科高校のパンフレットより一部抜粋

トヨタ自動車株式会社/三菱電機株式会社/東海旅客鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社/ジャパンマリンユナイテッド株式会社/株式会社関電工/日産自動車株式会社/東芝エレベーター株式会社/日本オーチス・エレベータ株式会社 (他多数)

また、各校が就職指導に通じてきた伝統を持っているため、履歴書の書き方や面接指導などが手厚いことも工科高校の強みです。

魅力②大学進学の選択肢も広がる

近年では大学入試全体で推薦選抜が広がり、工科系を含む専門学科にも進学の門戸が開かれています。

広い括りの中では、工科系に含まれる科学技術科の2校(多摩科学技術高校・科学技術高校)は大学進学が前提となる高校です。うち多摩科学技術高校は進学指導推進校に位置づけられ、現役での国公立合格者を輩出。また、工業科でも工芸高校は美術系・デザイン系への進学がメインになっています。

その他にも、総合工科高校や杉並工科高校、八王子桑志高校など、進学に重きを置く工科高校が増えており、「工科高校=高卒就職」という単純な図式ではなく、就職も進学も選べる立ち位置にいるといえます。

工業科全体で見ても、東京都に限って言えば進学者48%(うち大学・短大59%、専修学校等41%)、就職者48%、その他4%(※)と、実は現時点で進学者と就職者がほぼ同数程度おり、卒業後に「より専門的に学びたい」と思う学生が進学を選択しています。

※ 参照元:東京都教育委員会 都立高等学校に入学を希望する皆さんへ(デジタルブック)

魅力③実はコスパが抜群に良い!?資格取得にも強い。

工科高校では主に工業系分野の資格取得が目指されています。その資格取得にかかった費用に関しては東京都から最大半額補助される制度「工科高校資格取得アシスト制度」(一年度に月ひとり一つまで、上限5万円)があることもポイント。これは単に検定の受験料だけではなく、試験対策講座の受講料や、対策テキストの費用までも対象に含まれます。

工科系の分野の資格約150種が補助の対象となっており、多くの工科高校在校生が対象です。

補助対象資格の一例

(機械系)・ガス溶接技能講習・3級自動車整備士・危険物取扱者 等 
(建築系)・大工技能検定・建築CAD検定・二級建築士 等
(デザイン系) ・色彩検定 ・グラフィックデザイン検定 ・レタリング検定 等
(情報系)・ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者 等
(電気系)・電気工事士(第一種、第二種) ・第三種電気主任技術者 等

※参照元:工科高校資格取得アシスト制度について(東京都教育委員会HP)

また、無人航空機(ドローン)を操作するための国家資格である「2等無人航空機操縦士」の資格を選択授業で取得できるのが北豊島工科高校。通常だと、資格取得には民間のスクールで30~40万円程度必要になりますが、授業に導入されている場合は試験の受験・手数料だけで済みます。2026年現在では北豊島工科高校1校ですが、今後3校に拡充する方針が示されています。

このように、社会に出てから実践的に役立つ資格を、在学中に費用を抑えながら取得できることも工科高校の魅力です。

魅力④最先端技術を学べる

一昔前の工業高校のイメージを持っている方々にとっては、工科高校と聞いて“最先端技術”のイメージは湧きにくいかもしれません。しかし、現在多くの都立工科高校が「Next Kogyo START Project」のもとAI、DX、ロボット、プログラミング教育に注力しています。

AI・DXの例
町田工科・荒川工科・府中工科高校の三校はTokyo P-TECHの実施校としてIT企業と連携をしながらデジタル人材の育成に注力。杉並工科高校は「IT・環境科」が設置され、IT・AI(人工知能)・VR(仮想現実)などの最新の技術が学べる高度なICT教育を展開しています。

ロボット・プログラミングの例
蔵前工科高校は機械科に「ロボティクスコース」を設置し、産業ロボット3台や人協働ロボットを導入した実習を実施。多摩科学技術高校のIT(インフォメーションテクノロジー)領域では、Rasberry Pi(ラズベリーパイ)を用いたロボット制御や、Python・C言語によるプログラミング、群ロボットの研究など高レベルな研究活動を行っています。

先端機器(ドローンなど)の例
総合工科高校はドローンによるコンピュータ解析を使用した測量やEV、蓄電技術など、先端的で実践的な授業を展開。北豊島高校ではドローンに関する国家資格である第二等無人航空機操縦士を取得するために必要な講習を実施しています。

このように、それぞれの高校が技術革新やDX、先端技術に対応できる人材の育成を行っています。

普通科と工科高校の専門学科はどう違う?学習内容・進路を比較

ここまで都立の工科高校の魅力を解説してきましたが、普通科とは何が異なるのでしょうか。学習内容(カリキュラム)・進路に分けて順番に解説していきます。

普通科と工科高校の専門学科の違い_学習内容と進路の比較表

違い①学習内容(カリキュラム)

実はカリキュラム上の違いは、普通科と工科高校では約1/3程度しかありません。

高校の学習指導要領では、普通科・専門学科問わず「すべての生徒が卒業までに必ず履修しなければならない」とする必履修科目が定められており、その部分はどの高校もカリキュラムに組み込まれています(全体の2/3程度)。

残りの単位(全体の1/3程度)を、各学校の特色や進路に合わせて生徒自身が選択することで満たしていきます。

カリキュラム構成の大まかなイメージ

普通科:必履修科目+大学進学を前提にした普通科目や選択科目
工科高校:必履修科目を中心とした普通科目+専門科目

また履修ペースの違いとして、普通科では最終的に大学入試で必要な科目が生徒ごと異なることを見越し、全員が共通で履修する科目は極力1~2年次に回し、3年次以降では選択科目が多くなる傾向があります。

対して工科高校の専門学科は1年次から専門科目の履修や実習が入るため、3年間かけて卒業に必要な必履修科目を学んでいく場合が多いです。

そのため履修ペース上、大学入試の一般選抜ではどうしても普通科が有利である面が多く、専門高校から大学進学を考える場合は、学校推薦型選抜や総合型選抜を利用する形がメインになります。

違い②卒業後の進路

普通科の場合、ほとんどの生徒が進学を選択するのに対して、工業高校の場合の全国平均(R6時点)は就職62.9%、進学35.2%となっており、就職の割合が高いです。過去の推移を見ると、米同時多発テロのあった平成13~14年度や、リーマンショックのあった平成20~21年度などで進学率が一時的に上昇していることから、景気後退が懸念された時期には就職を避け、進学を選択する生徒が増えるようです。

ただし、東京都の工業科に絞った場合では、進学者48%、就職者48%と同程度であり、他の地域と比較して進学傾向が高いことが伺えます。

東京都の工業科_卒業後の進路割合

参照元:東京都教育委員会 都立高等学校に入学を希望する皆さんへ(デジタルブック)

工科高校からの大学進学・就職-具体的な流れ

工科高校からの大学進学と就職_具体的な流れ

では、工科系高校に進学した場合の、大学進学・就職それぞれの具体的な流れを見ていきましょう。

「大学進学」の場合、推薦・総合型選抜がメイン

前述の通り、大学進学を目指す場合は、学校推薦型選抜(指定校推薦)や総合型選抜を利用することが多いです。

学校推薦型選抜は大学と高校の間に予め設けられた推薦枠で、学校内の選考を通過すれば合格率が高いです。そのため、学校の成績(評定)を高く維持することで希望の進路を叶えやすくなります。

総合型選抜は、志望理由書・面接・実績など、学力以外の部分も含めて人物を総合的に評価する入試方式で、工業高校での実習や経験が活かされやすい入試形態になります。

また、専門高校生に向けた特別推薦枠を設けている大学もあり、そのような入試を利用して大学進学を目指すこともできます。

「就職」の場合、主に“学校が推薦する形式”で行う

毎年7月1日に企業からの求人が学校に公開され、そこから学校の先生の薦めなどを受けつつ、提示された企業の中から、説明会や職場見学などを経て希望の就職先を選ぶ流れです。

大卒の採用と異なり、高卒採用においては一人一社制(一人が応募できる企業は一社まで)が原則であり、“学校が企業に生徒を推薦する”という形式がとられます。その分、内定率は非常に高く、令和7年度では全国平均で99.1%(※)となっています。

※参照元:公益社団法人 全国工業高等学校長協会 卒業者等に関わる状況調査 令和7年10月

9月以降で選考が始まり、履歴書の提出や面接試験を経て、採用の場合は10月上旬〜中旬には企業から内定通知が届きます。大卒採用と異なり、3〜4ヵ月という短い期間での就職活動になります。

都立の工科高校の具体例を紹介

工科高校の具体例を紹介

ここからは、具体的な事例を通して、現在の工科系高校の先進的な取り組みの一部を紹介していきます。

蔵前工科高校「ロボティクスコース」はシステムエンジニアを目指す

蔵前工科高校は創立から約100年の伝統ある工科系高校です。毎年、難関企業やオンリーワンの技術を持った企業への就職実績があります。機械科、電気科、建築科、設備工業科の4つの専門学科のうち、ここでは機械科の取り組みを見てみましょう。

1年生は「機械科」として機械・ロボットの学習、安全作業や時間の管理について学習。2年生以降では「機械コース」と「ロボティクスコース」に分かれます。「ロボティクスコース」では1人1台の教育用ロボットや、都内の工業高校で唯一の産業用ロボット、人協働ロボットを活用しながら、ロボットの機構・プログラム制御を学びます。

ロボットをはじめとする自動化装置を扱うエキスパートである「ロボットシステムインテグレータ」を目指し、実践的な学びを深めていくカリキュラムです。

主な進路先
令和7年度時点では就職が74%、公務員が5%、大学・高専が13%、専門学校7%と就職がメインの進路となっています。

【就職】
・三菱電機ビスソリューション・ジオテック情報システム・京浜急行電鉄・中村ボデー・トーヨーカネツ・レンゴー葛飾工場・NTT-ME・デンソー・北海道旅客鉄道・積水ハウス建設東京・丸の内熱供給

【進学】
・日本工業大学・千葉工業大学・日本大学

参照元:東京都立蔵前工科高等学校 公式ホームページ 進路状況

杉並工科高校「IT・環境科」は大学進学に向けた新たな選択肢

杉並工科高校は、従来の専門科を刷新し「IT・環境科」として統合リニューアルしました。カリキュラムでは、専門分野に「ITスキル教科」、探究分野に「環境リテラシー」を設けています。

ITスキルでは、IT機器を動かす電気の基本法則や機器の仕組みを学び、先端実習装置を使った実習にも取り組む内容です。大学共通テスト「情報Ⅰ」に対応した授業も行われています。環境リテラシーでは、野外体験学習や企業・大学訪問、富士山麓での自然環境体験合宿などを通じて、“本物に触れる”フィールドワークを重視しています。

また、大学進学を前提とした設計も特徴的。1年生から「一般入試受験クラス」と「その他入試受験クラス」に分かれ、2年生以降は「一般入試受験クラス」と「総合型選抜受験クラス」で、それぞれの受験スタイルに合わせた授業が行われます。

在校生の保護者によると、少人数授業や習熟度別授業のほか、英検の二次試験対策まで行われているとのこと。在籍生徒数が少ないこともあり、細部まで手厚い指導が実現されているようです。

主な進路先
「IT・環境科」発足後の卒業生がまだ出ていないため、未知数な部分が大きいです。しかし、高校全体が大学進学を目的とした方向性に動いているという点や、法政大学と高大連携に関する覚書が締結された点などを踏まえても、今後は大学進学が進路の主流になりそうです。

参照元:東京都立杉並工科高等学校 公式ホームページ 進路状況

町田工科高校「総合情報科」は民間企業や専門学校と連携

都立町田工科高校は現在、総合情報科に統合されており、1年次は共通の履修となります。2年生以降で「情報デザイン系列」「情報テクノロジー系列」「電機システム系列」「機械システム系列」の4つに分岐。IT(情報技術)社会に対応した専門学科で、「情報」「工業」に関連する様々な分野の知識・技術を学びます。

TokyoP-tech事業の実施校として選出されており、民間企業(シスコシステムズ合同会社、株式会社セールスフォースジャパン、日本アイ・ビーエム株式会社)や専門学校(日本工学院八王子専門学校)と連携。5年間(専門学校含む)の一貫したIT教育を受けることが可能です。

また、文部科学省のDXハイスクール事業にも指定され、ICTを活用した学びに必要な環境整備の支援を東京都から受けています。町田工科高校ではこの支援を活用し、カメラを搭載した小型ドローン40台を購入。実習を通してプログラミング学習に繋げています。

主な進路先
令和7年度では大学短大30.7%、専門学校25.7%、就職・公務員が41.5%で、進学が半数を超えています。

【進学】
桜美林大学、神奈川工科大学、湘南工科大学、東京工芸大学、東京工科大学など

【就職】
株式会社JERA、株式会社東京精密、株式会社エヌ・ティ・ティ・エムイーなど

参照元:東京都立町田工科高等学校 公式ホームページ 進路状況

総合工科高校には最先端の設備が揃っている

総合工科高校は「機械・自動車科」「電気・情報デザイン科」「建築・都市工学科」に分かれ、実践的な測量や実践実習を通してそれぞれの分野でのスペシャリストを育成しています。

東京ドーム1.2個分の広大な敷地面積には、最先端の設備が集結。EV(電気自動車)、蓄電技術、ドローンによるコンピュータ解析を使用した測量など、実践的な授業を展開しています。

また、専門教科だけでなく普通教科も充実しているのが特徴。理数系科目では数Ⅲ、数C、物理も履修が可能です。総合型選抜や公募推薦により国公立大学への進学者も輩出しています。

主な進路先
大学・短大への進学率は50%を超え、専門学校を合わせた進学率では約75%です。求人件数も3500件超と豊富で、進学・就職ともに選びやすい環境であることが伺えます。

【進学】
千葉大学、東京都立大学、神奈川工科大学、工学院大学、東京工科大学、日本大学など

【就職】
小田急電鉄株式会社、株式会社関電工、一般財団法人関東電気保安協会、株式会社関工パワーテクノなど

参照元:東京都立総合工科高等学校 公式ホームページ 進路状況

八王子桑志高校の「産業科」は資格取得に強みがある

八王子桑志高校は「デザイン、クラフト、システム情報、ビジネス情報」の4分野に分かれ、それぞれの分野のスペシャリストを目指す生徒を支援。国家資格である「基本情報技術者試験」や「ITパスポート」などの資格については都内トップクラスの合格率を誇ります。

校内には11室のパソコン教室が用意され、最先端に対応した技術の習得をサポート。システム情報科ではロボット制御やプログラミング、マルチメディアの知識を習得します。

デザイン科では系統的に展開された授業により、デザインに不可欠な「発想力」「構成力」「表現力」を育てることができます。

主な進路先
進路(令和6年度)は理系大学53%、文系大学13%、専門学校25%、就職9%と進学率が90%近くに達しています。

【進学】
東京都立大学、慶應義塾大学、工学院大学、電気通信大学、多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、東京工科大学、東京工芸大学、明星大学など

参照元:東京都立八王子桑志高等学校 公式ホームページ 進路状況

工科高校にはどんな生徒が向いている?

工科高校に向いている生徒

工科高校を含む専門高校は、「自分の好きな分野、学びたい分野を積極的に見つけていきたい人」に向いています。工科系高校では機械や自転車、建築、情報、デザイン、電気、食品など、普通科ではなかなか触れられない専門分野を高校1年生から学ぶことができるため、自分の「好きな学び」を見つけやすい環境です。

「実際に手を動かしながら学びたい」「ものづくりやプログラミングが好き」「将来、社会に出て役立つ資格が取りたい」など、自分の興味や得意なことがあるなら、一度は工科高校も進路の候補にしてみる価値は十分にあるでしょう。

また、卒業後の選択肢として「就職」だけでなく「進学」を目指す人にも薦められます。近年は推薦・総合型選抜などを利用して大学進学を選択する生徒も増えており、専門高校だと進学ができないという時代ではありません。むしろ、高校時代に習得した専門知識や資格、実習経験が、就職だけでなく大学入試で強みになる場面も増えています。

ただし、工科高校は高校ごとに学ぶ内容や特色が大きく異なるため、実際に高校の見学会や説明会に足を運び、学習や進路指導の内容をよく理解することが大切。よく理解したうえで自分の興味に合う高校が見つかれば、その生徒にとってベストマッチの進路にもなり得ます。

都立工科高校ドリーム・フェスタ2026に足を運んでみよう

ここまでの記事を読んで、「工科系に興味を持った」「他にもどんな学校があるのか知りたい」「生で見たり、学習内容を体験したい」そんな方におすすめのイベントがあります。都立工科高校22校が一堂に会する体験型イベント『都立工科高校ドリーム・フェスタ2026』です。

都立工科高校ドリーム・フェスタ2026の紹介

会場では工科高校生による作品展示や実演に加え、ドローン・ロボットやVR・AR溶接などの先端技術体験が行えるブースが多数出展します。体験型コンテンツでものづくりやデジタル技術の魅力に触れながら、工科高校の学びを知ることができるイベントです。

展示や体験だけでなく、各高校の在校生や先生に学校生活や進路について直接相談することができるブースがあるのもイベントの魅力のひとつ。進路選択を考える小中学生や保護者にとっては大きな助けになるでしょう。

特に工業高校から工科高校にリニューアルがされて以降、工科系の高校は高校ごとで設置されているコースや特色が大きく異なります。それぞれの違いに触れながら複数の高校を一度に見て回ることができる機会は貴重。その意味でも、工科高校に興味を持った方には是非とも足を運んでいただきたいイベントです。

都立工科高校ドリームフェスタ 2026の概要

日時:2026年8月2日 10:00~17:00
会場:新宿住友ビル 三角広場・住友ホール(東京都新宿区)
住所:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル
参加費:入場無料

まとめ:“好き”を極めるのに偏差値はいらない

高校選びでは、どうしても偏差値だけで学校を比較してしまいがち。しかし、本当に大切なのは「その高校で何を学び、どんな3年間を過ごせるか」という視点です。

現在の都立工科高校は、かつての「工業高校」のイメージとは大きく変わっています。AIやDX、ロボット、情報技術など、時代に合わせた学びが導入され、企業連携、大学進学支援も充実してきました。「ものづくりや情報技術が好き」という気持ちのある生徒にとって、自分の可能性を広げられる環境が整っています。

偏差値は高校選びの指標のひとつではありますが、それだけで高校を選んでしまうのはもったいない時代です。好きなことを本気で学び、その経験に誇りを持って進学や就職につなげられるのであれば、それは“出身校の偏差値”よりもはるかに価値があることではないでしょうか。

普通科だけに目を向けるのではなく、工科系を含む専門学科も視野に入れながら比較検討することで、自分にとって最適な進路を見つけてください。

この記事が受験生の高校選びの一助になることを願っています。

 動画解説
"とりあえず普通科"は損?都立の工科高校が進化しててすごいので解説する。

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大山雅司

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