大学受験の足切りとは?いつ・どう決まる?第一段階選抜やボーダーとの違いを解説
「大学受験で『足切りがある』と聞いたけれど、どういう意味なの?」と疑問に思っていませんか。
足切りとは、主に国公立大学で、共通テストなどの成績をもとに二次試験へ進める受験生を絞ることです。大学の募集要項では「足切り」ではなく、「第一段階選抜」「二段階選抜」などと書かれています。
ただし、共通テストが○点以下なら自動的に落とされる、という全国共通の制度ではありません。基準点を設ける大学もあれば、志願者が一定の倍率を超えたときに選抜する大学もあります。
この記事では、足切りの意味や第一段階選抜との違い、いつ・どうやって決まるのか、足切りラインの考え方までわかりやすく解説します。
編集部
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目次
大学受験の「足切り」とは?

「足切り」は学校や塾でよく耳にするわりに、意味があいまいなまま使われがちな言葉です。まずは足切りの基本的な意味と、似た用語との関係を整理しておきましょう。
足切りとは二次試験に進む受験生を絞ること
国公立大学では志願者が多い場合などに、共通テストの成績を使って二次試験へ進める受験生をあらかじめ絞ることがあります。
これが、受験生の間で「足切り」と呼ばれているものです。
国公立大学の一般選抜では、多くの場合、共通テストと大学ごとの個別試験(二次試験)の両方を受けます。この絞り込み(第一段階選抜)を通過できないと、その大学の二次試験は受けられません。
「足切り」は正式な制度名ではなく、第一段階選抜で受験者を絞ることや、その結果として二次試験へ進めなくなることを指して使われる言葉です。国立大学だけでなく公立大学でも行われますが、すべての国公立大学・学部で実施されるわけではありません。
足切り・第一段階選抜・二段階選抜の違い

「足切り」「第一段階選抜」「二段階選抜」は、似ているようで指しているものが違います。3つの用語の違いを整理すると、次のとおりです。
| 用語 | 意味 | 主に使われる場面 |
|---|---|---|
| 足切り | 第一段階選抜で受験者を絞ることや、そこで不合格になることを指す俗称 | 受験生・学校・塾などでの会話 |
| 第一段階選抜 | 共通テストなどの成績で、次の選抜へ進める受験生を絞る段階 | 募集要項・大学の発表 |
| 二段階選抜 | 第一段階選抜を行い、その通過者にさらに選抜を行う仕組み全体 | 募集要項・文部科学省の資料 |
3つの言葉は、「仕組み全体」「その中の一段階」「その段階を指す俗称」という関係にあります。
二段階選抜という仕組みの中で第一段階選抜が行われ、そこで受験者を絞ることや、通過できないことを一般に「足切り」と呼びます。
「足切りの正式名称は二段階選抜」と説明されることもありますが、正確な言い方ではありません。二段階選抜は仕組み全体の名前で、足切りはその途中の段階や結果を指す言葉だからです。
なお、大学や資料によっては「第1段階選抜」「2段階選抜」と数字で書かれている場合もあります。第一段階選抜を通過したあとの選抜の呼び方も、大学によってさまざまです。
なぜ大学は足切りをするの?
「出願したのに試験すら受けられないのは厳しい」と感じる人もいるでしょう。大学が二段階選抜を設けるのは、個別試験を実施できる規模に収めるためです。
志願者が多すぎると、会場の確保や試験の運営、記述式答案の採点などの負担が大きくなります。そのため、大学が実施可能な規模まで受験者を絞る目的で、二段階選抜が設けられています。
ただし、志願者が多い大学なら必ず足切りをする、というわけではありません。
足切りはいつ・どうやって決まる?

足切りの意味がわかったら、次は「自分の受験のどの時点で起こるのか」を押さえましょう。ここでは入試の流れと、足切りの決まり方を順に見ていきます。
共通テストから足切り・二次試験までの流れ

足切りは共通テストを受けた瞬間に決まるのではなく、一般には出願後に第一段階選抜が行われます。
国公立大学の一般選抜で、足切りが入る位置を含めた一般的な流れは次のようになります。
| 順番 | ステップ | 受験生がすること・起こること |
|---|---|---|
| 1 | 共通テストを受験 | 1月に全国で実施される試験を受ける |
| 2 | 自己採点 | 公表された正解をもとに、自分の得点を確かめる |
| 3 | 出願先を決める | 自己採点の結果などをふまえて志望校を最終決定する |
| 4 | 国公立大学へ出願 | 前期・後期などの日程ごとに出願する |
| 5 | 志願状況が確定 | 出願締め切り後、大学・学部ごとの志願者数が確定する |
| 6 | 第一段階選抜(必要な場合のみ) | 条件に当てはまる大学・学部で選抜が行われる |
| 7 | 結果発表 | 第一段階選抜の結果が受験生に知らされる |
| 8 | 二次試験 | 通過した受験生だけが個別試験を受ける |
自己採点の段階では、第一段階選抜の結果はまだ確定していません。実施時期や結果の発表日は大学によって異なるため、志望校の日程を確認しておきましょう。
足切りには「基準点」と「倍率」が関係する
「足切り=共通テストで○点未満なら落とされる」と考えている人は少なくありません。しかし実際には、第一段階選抜の決まり方は1種類ではなく、大学・学部ごとに条件が異なります。
主な決まり方は、次の3パターンに整理できます(パターン名は本記事での呼び方です)。
| パターン | 判断の基準 | 不合格になるケース |
|---|---|---|
| 基準点型 | 共通テストの得点が、大学の定める基準に達しているか | 基準に届かなかった場合 |
| 倍率型 | 志願者数が募集人員の一定倍率を超えた場合に、共通テストの成績などで絞る | 成績順で、通過できる人数の範囲から外れた場合 |
| 併用型 | 基準点と倍率など、複数の条件を組み合わせる | 大学が定める条件を満たさなかった場合 |
倍率型の場合、倍率は「第一段階選抜を行うかどうか」を決める条件です。通過者は、共通テストの成績などによって決められます。
そのため同じ得点でも、志願者が少ない年は通過でき、多い年は不合格になることがあるのです。
予告倍率があっても毎年足切りされるとは限らない
募集要項に「募集人員の○倍を超えた場合」と書かれている数字を、一般に「予告倍率」と呼びます。志願者数がこの倍率を超えたときに、第一段階選抜を行うという目安です。
たとえば、募集人員100人の学部が「約3倍」を目安に第一段階選抜を行うと予告していたとします。この場合、志願者がおおむね300人を超えると、第一段階選抜が行われる可能性があります。
倍率のみを実施条件としているケースを考えてみましょう。志願者が280人にとどまれば、倍率の条件に届かず第一段階選抜が行われないことがあります。
反対に、予告倍率を超えて予告どおりに実施される場合、通過できる人数は「募集人員×予告倍率」程度が目安になります。先ほどの例なら、共通テストの成績上位300人前後が二次試験へ進むイメージです。
実在の大学の例も見てみましょう。東京大学の2027年度入学者選抜要項では、志願者が科類ごとの倍率に達した場合、共通テストの成績で第1段階選抜を行うと定めています。科類ごとの募集人員と予定倍率は、次のとおりです。
| 科類 | 募集人員 | 予定倍率 |
|---|---|---|
| 文科一類 | 387人 | 約2.5倍 |
| 文科二類 | 341人 | 約2.5倍 |
| 文科三類 | 453人 | 約2.5倍 |
| 理科一類 | 1,071人 | 約2.3倍 |
| 理科二類 | 514人 | 約3.0倍 |
| 理科三類 | 92人 | 約2.8倍 |
たとえば文科一類なら、募集人員387人の約2.5倍にあたる、970人前後が通過者数の目安です。同じ大学の中でも、科類によって倍率が異なる点に注目してください。
ただし、倍率には「約」がついており、同点者の扱いなど細かな運用も大学ごとに定められています。「必ずちょうど○人まで」と決まっているわけではない点は、覚えておきましょう。
参考:令和9(2027)年度 東京大学入学者選抜要項|東京大学
大切なのは、「第一段階選抜を行う可能性がある」ことと「その年に実際に行われた」ことを分けて考えることです。
実際、予告と実施の数には大きな差があります。文部科学省が公表した、令和8年度の国公立大学前期日程の実施状況を見てみましょう。
| 区分 | 大学・学部等の数 |
|---|---|
| 2段階選抜の実施を予告した大学・学部等 | 66大学176学部等 |
| 実際に実施した大学・学部等 | 35大学55学部等 |
令和8年度は、66大学176学部等が2段階選抜の実施を予告しましたが、実際に実施したのは35大学55学部等でした。予告されていても、実際には第一段階選抜を実施しなかった学部等のほうが多かったことがわかります。
実施した35大学の内訳は、国立大学が26大学、公立大学が9大学です。足切りは国立大学だけの制度ではないことが、この数字からもわかります。
また、令和8年度に入学者選抜を行った国公立大学は、全体で179大学ありました。前期日程で足切りを予告したのは、そのうちの一部にとどまります。
さらに令和8年度には、志願倍率が予告に達しても選抜を取りやめた大学が8大学10学部等ありました。予告より緩い条件で実施した大学も、9大学16学部等にのぼります。予告はあくまで「行う可能性がある」という目安だと理解しておきましょう。
参考:令和8年度国公立大学入学者選抜の確定志願状況及び2段階選抜実施状況(前期日程)について|文部科学省
足切りラインは何点?ボーダーとの違いも解説

仕組みがわかると、「結局、何点取れば大丈夫なの?」と気になる人も多いはずです。ここでは足切りラインの考え方と、混同しやすいボーダーラインとの違いを説明します。
足切りラインは大学・年度によって変わる
大学受験全体に共通する「○割以下なら足切り」という基準はありません。
ここでいう足切りラインとは、第一段階選抜を通過できる境目の点数を指して使われる表現です。実際の通過最低点だけでなく、予備校などが示す予想ラインを指す場合もあります。このラインは、次のような条件によって大きく変わります。
- 大学・学部によって、第一段階選抜の条件が違う
- 志願者数が年度によって増減する
- 共通テストの難易度や平均点が年度によって異なる
- 第一段階選抜そのものが行われない年度もある
そのため、前年の通過最低点が今年もそのまま当てはまるとは限りません。「去年は○点で通過できたから、今年も同じ点数なら大丈夫」とは言い切れないのです。
過去の結果は参考データとして見つつ、受験する年度の条件や志願状況を優先して判断しましょう。
大学別の実施状況や過去のラインを具体的に知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
足切りラインと共通テストのボーダーラインは違う
足切りラインとよく混同されるのが、共通テストの「ボーダーライン」です。どちらも点数で示されるため似て見えますが、役割はまったく異なります。
2つの違いを4つの観点で比較すると、次のようになります。
| 比較の軸 | 足切りライン | ボーダーライン |
|---|---|---|
| 何を判断する数字か | 二次試験へ進めるかどうか | 最終合格の可能性を考えるための目安 |
| 入試のどの段階に関係するか | 第一段階選抜(二次試験の前) | 二次試験を含めた最終的な合否 |
| 誰が示すものか | 大学が定める条件にもとづいて決まる | 主に予備校などが模試や自己採点の集計から予想する |
| 下回ったときの意味 | その大学の二次試験を受けられない | 合格可能性を考えるうえで厳しい位置にあるという目安。下回っただけで受験資格を失うわけではない |
このように、足切りラインは「二次試験を受けられるか」に関わる線です。一方でボーダーラインは、「最終的に合格できそうか」を考えるための目安として使われます。
足切りを通過したからといって、最終合格の可能性が高いとは限りません。
第一段階選抜は、あくまで二次試験を受けられるかを決める段階です。通過後は、共通テストと個別試験などがどのように合否判定へ使われるかを確認しておきましょう。
足切りを避けるために確認したいこと

足切りを避けるには、勉強だけでなく「出願前に何を確認するか」も大切です。ここでは、受験生が自分で調べられる具体的なポイントを紹介します。
募集要項で第一段階選抜の条件を確認する
募集要項では「足切り」ではなく、「第一段階選抜」などの表記を探しましょう。
大学の公式資料で「足切り」という言葉が使われることは、ほとんどありません。「第一段階選抜」「二段階選抜」「予告倍率」のほか、「第1段階選抜」と数字で書かれている場合もあります。
多くは、選抜方法を説明するページや、学部ごとの募集人員の表の近くに記載されています。見つけたら、次の項目を確認しておきましょう。
- 第一段階選抜を行う条件(基準点か、倍率か、その両方か)
- 予告倍率の数字と、どの募集人員に対する倍率か
- 第一段階選抜で使う共通テストの教科・科目や配点
- 対象となる学部・学科や日程(前期・後期など)
特に注意したいのは、必ず自分が受験する年度の募集要項を見ることです。予告倍率や条件は年度によって変わる場合があるため、前年の情報をそのまま信じるのは避けましょう。
共通テスト後は志願状況まで確認する
共通テストの自己採点が終わると、「この点数なら足切りされないだろう」と判断したくなるものです。しかし、倍率で選抜する大学では、自分の点数だけで足切りの有無を判断することはできません。
出願の前後は、次の情報をあわせて確認しましょう。
- 自分の自己採点結果
- 大学が公表する志願者数(出願期間中の途中経過や確定数)
- 募集人員に対する志願倍率
- 第一段階選抜の実施や結果に関する大学の公式発表
国公立大学の多くは、出願期間中に志願状況を公式サイトで公表しています。予告倍率に近づいているかを見ておけば、選抜が行われる可能性をつかみやすくなるでしょう。ただし、出願期間中の志願倍率は締め切り直前まで大きく変わることがあります。途中経過だけを見て「足切りはなさそう」と判断しないようにしましょう。
予備校が公表する足切りの予想ラインも、自己採点と比べる材料になります。ただし予想は予想にすぎないため、複数の情報を見比べるのがおすすめです。
前年の足切り点についても、同じように考えておく必要があります。過去の結果は判断の参考になりますが、今年の安全圏を保証するものではありません。
大学受験の足切りに関するよくある質問

最後に、本文では詳しく触れなかった足切りの疑問に答えます。出願の判断にも関わる内容なので、あわせて確認しておきましょう。
私立大学にも足切りはありますか?
この記事で扱っている、共通テストなどを用いて個別試験の前に受験者を絞る二段階選抜は、主に国公立大学で見られます。
一方、私立大学でも医学部など、一次・二次と複数段階に分けて選抜するケースがあります。そのため、「私立大学には足切りがない」と一律には言えません。志望校の選抜方法を確認しましょう。
足切りされたら別の大学に出願し直せますか?
第一段階選抜の結果が出るころには、同じ日程の別の大学へ新たに出願することは基本的にできません。
国公立大学の前期日程・後期日程の出願は、共通テストのあとの同じ時期にまとめて受け付けられます。第一段階選抜は出願の締め切り後に行われるため、結果がわかる時点で出願期間はすでに終わっています。
前期日程で足切りされても、後期日程に出願していれば、そちらの試験は受けられます。
「足切りされてから次を考えればいい」とはせず、出願前に条件を確かめておきましょう。
足切りされた場合、検定料は返金されますか?
第一段階選抜で不合格になった場合、検定料の一部が返還される大学があります。
たとえば香川大学は、2026年度一般選抜(医学部医学科)の第1段階選抜で不合格となった人に対し、本人の申し出により検定料の一部(13,000円)を返還すると案内しています。
参考:2026年度一般選抜(医学部医学科)における検定料返還手続き|香川大学
この例のように、全額が戻るとは限らず、返還を受けるには請求の手続きが必要な場合があります。受付期間を過ぎると返還されないこともあるため、注意しましょう。
金額や手続きの方法は大学によって異なります。志望校の募集要項や、大学公式の案内で確認してください。
足切りは前期日程・後期日程の両方でありますか?
第一段階選抜は前期日程だけでなく、後期日程や公立大学の中期日程でも行われる場合があります。
後期日程は募集人員が少ないため、志願倍率が高くなりやすいのが特徴です。文部科学省によると、令和8年度の国公立大学の確定志願倍率は、前期日程が2.9倍、後期日程が10.2倍、公立大学の中期日程が12.9倍でした。
参考:令和8年度国公立大学入学者選抜の確定志願状況及び2段階選抜実施状況(前期日程)について|文部科学省
前期日程では第一段階選抜の条件がなくても、後期日程では別に条件が設けられていることもあります。出願する日程ごとに、条件を分けて確認しておきましょう。
足切りで受験者を絞りすぎて、定員に満たなくなることはありませんか?
第一段階選抜では募集人員の数倍の受験生を残すため、通過者が定員を下回る事態は起こりにくい仕組みです。
たとえば東京大学の予定倍率は、科類ごとに約2.3〜3.0倍です。二次試験の受験者は、もともと募集人員を大きく上回る人数になります。
それでも、合格者の入学辞退などで欠員が出ることはあります。その場合は、「追加合格」や「欠員補充第2次募集」で補う大学があります。
たとえば金沢大学は、入学手続の結果欠員が生じた場合、令和8年3月28日以降に追加合格を通知することがあると案内しています。
まとめ 足切りとは二次試験へ進む受験生を絞る仕組み

大学受験の「足切り」とは、主に国公立大学で、共通テストなどの成績を使って二次試験へ進める受験生を絞ることを指す言葉です。正式な制度名ではなく、大学の募集要項では「第一段階選抜」「二段階選抜」などと記載されています。
第一段階選抜の条件は大学・学部によって異なり、「共通テスト○点以下なら落ちる」という全国共通の基準はありません。予告倍率が設定されていても、その年度に必ず実施されるとは限らない点にも注意が必要です。
志望校が決まったら、まずは受験年度の募集要項で第一段階選抜の条件を確認しておきましょう。大学ごとの実施条件や過去のラインを知りたい人は、次の記事も参考にしてください。
執筆者プロフィール
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