通信制高校から大学進学は難しい?進学率や入試方式、強い学校の選び方を解説
「通信制高校を選ぶと、大学進学が難しくなるのでは?」「推薦は使える?」「塾は必要?」と心配している保護者もいるでしょう。
通信制高校を卒業すれば、全日制と同じように大学を受験できます。2024年度は、通信制の卒業者の28.6%が大学などに進学しました。ただし、受験指導や進路支援の内容は学校によって差があるため、全日制の高校と同じく学校選びと早めの準備が重要です。
この記事では、入試方式や大学進学に強い学校の選び方、学年別の準備まで解説します。進学率の数字の見方も紹介するので、子どもの進路を考える参考にしてください。
編集部
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目次
通信制高校から大学進学はできる?進学率と実際の進路

通信制高校から大学へ進学することは可能です。ただし、全日制と比べると大学進学率は半分以下にとどまり、卒業後の進路は大学、専門学校、就職などに幅広く分かれています。

数字だけで「難しい」と判断せず、その背景まで知っておくことが大切です。
通信制高校から大学へ進学する人はどのくらい?
文部科学省の資料によると、2024年度(2025年3月)に卒業した生徒の進路は次のとおりです。
全日制・通信制課程の卒業後の状況(2024年度卒業者)
| 進路 | 全日制 | 通信制 |
|---|---|---|
| 大学等進学者 | 63.4% | 28.6% |
| 専修学校(専門課程)進学者 | 14.7% | 22.9% |
| 就職者 | 13.6% | 19.5% |
| 進学・就職以外の者 | 4.5% | 26.1% |
※主な進路のみ抜粋しているため、合計は100%になりません。
通信制の大学等進学率は、前年度の26.5%から2.1ポイント上がりました。通信制では、大学だけでなく専門学校への進学や就職を選ぶ人も多いのが特徴です。
参照:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集」
大学進学率の数字はどう見ればいい?
通信制の大学進学率が低い背景には、生徒の事情の多様さがあります。
通信制高校には、不登校を経験した生徒や、働きながら学ぶ生徒など、さまざまな目的を持つ人が在籍しています。全員が大学進学を目指しているわけではないため、全日制と単純に比べることはできません。
「進学・就職以外の者」の26.1%にも注意が必要です。文部科学省の区分では、ここには予備校などに所属せず受験の準備をしている人や、就職活動中の人も含まれます。大切なのは学校全体の平均ではなく、志望する進路に合った実績や支援があるかです。
参照:文部科学省「学校基本調査-用語の解説」
実績の見方は、後の章で詳しく解説します。
通信制高校からの大学進学は不利・難しい?

「通信制だと大学受験で不利になるのでは?」と心配する保護者は少なくありません。この疑問は、「制度として不利なのか」と「受験の準備がしにくいのか」に分けて考えると整理しやすくなります。
入試資格の面では不利ではない
大学に入学できるのは、高校を卒業した人などと法律で定められています。通信制高校は全日制・定時制と同じ高校の課程なので、卒業すれば大学入学共通テストや各大学の入試を同じ条件で受けられます。
出願時に提出する調査書も、在籍する通信制高校が作成するものです。原則として、通信制だからという理由で出願できる大学が限られることはありません。ただし、推薦などの出願条件は大学ごとに異なるため、募集要項で確認しましょう。
難しさは「受験準備の環境」に出やすい
一方で、受験に向けた準備のしやすさには差があります。特に次の3つの点で、全日制との違いが出やすくなります。
通信制高校で大学受験の準備に差が出やすい点
| 項目 | 通信制で起こりやすいこと |
|---|---|
| 学力 | 授業を受ける時間が短く、受験に必要な演習量が不足しやすい |
| 自己管理 | 受験勉強の計画や進み具合を、自分で管理する必要がある |
| 受験情報 | 周りに受験生が少なく、入試の情報や刺激を得にくい |
また、授業時間でも差が出ます。たとえば国語や数学の科目では、1単位あたりのスクーリングの標準は授業1コマ分です。全日制では、同じ1単位につき授業35コマ分を受けます。通信制ではその分、レポートや自宅学習で学ぶ形です。
こうした差は、学校の受験指導や塾などで補う必要があります。補い方は、入試方式や学校選びの章で詳しく解説します。
参照:文部科学省「通信制高校とは?」
通信制高校から大学へ進学する主な入試方式

大学入試には、大きく分けて3つの方式があります。2025年度の大学入学者では、総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた割合が半数を超えました。学力試験だけが大学進学の道ではありません。
大学の主な入試方式(2025年度入学者)
| 入試方式 | 主に評価されること | 入学者に占める割合 |
|---|---|---|
| 一般選抜 | 学力試験の得点 | 46.4% |
| 総合型選抜 | 志望理由や活動実績、面接・小論文など | 19.5% |
| 学校推薦型選抜 | 高校の推薦と評定(成績)、面接など | 34.1% |
※一般選抜の割合は、全体から総合型選抜と学校推薦型選抜を除いて算出しています。
参照:文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」
一般選抜
一般選抜は、大学入学共通テストや大学独自の学力試験で合否を決める方式です。高校の成績はほとんど影響せず、当日の得点が中心です。そのため、通信制高校で学んでいることが合否に影響することは、基本的にありません。
ただし、通信制の授業だけでは、受験に必要な範囲や演習量が足りないことが多くあります。一般選抜を目指す場合は、塾や予備校、映像授業などで受験対策を補うことが前提です。
総合型選抜
総合型選抜は、書類審査と面接などを組み合わせ、志望理由や学ぶ意欲を総合的に評価する方式です。大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)に合うかどうかが重視されます。
登校日の少ない通信制では、学校外の活動に時間を使いやすい点が強みになります。ボランティアや資格取得、探究活動などに取り組んだ経験は、志望理由書や面接で伝える材料になるでしょう。
一方で、志望理由書や小論文、面接は、一人で準備するのが難しい試験です。学校で添削や面接練習を受けられるかが、結果を左右しやすくなります。
学校推薦型選抜(公募制・指定校制)
学校推薦型選抜は、高校の校長の推薦を受けて出願する方式です。多くの大学が、評定平均(高校の成績の平均)の基準を設けています。推薦には、主に次の2種類があります。
学校推薦型選抜の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 公募制 | 大学が示す出願条件を満たせば、どの高校からでも出願できる |
| 指定校制 | 大学が指定した高校の生徒だけが出願できる。校内選考で推薦者が決まる |
通信制の評定は、レポートや試験の成績をもとに決まります。自分のペースで学習を積み重ねれば、評定の基準を満たすことも可能です。
注意したいのは、指定校推薦の枠です。どの大学の枠を持っているかは、通信制高校によって大きく異なります。指定校推薦を考えている場合は、入学前に大学名や枠の数、校内選考の基準を確認しておきましょう。
参照:文部科学省「令和7年度入学者選抜について」
大学進学に強い通信制高校を選ぶポイント

「大学進学に強い」かどうかは、パンフレットに並ぶ合格者数だけでは判断できません。実績の数字の読み方と、受験を支える仕組みの両方を確認することが大切です。
大学進学実績の見方
進学実績の数字は、集計の仕方によって印象が大きく変わります。比べるときは、次の点を確認しましょう。
大学進学実績を見るときのチェックポイント
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 合格者数か、進学者数か | 1人が複数の大学に合格すると、合格者数は実際の人数より多くなる |
| 卒業者全体に対する割合 | 合格者数が多くても、卒業者数が多い学校では割合が低い場合がある |
| どのコースの実績か | 通学日数の多い進学コースだけの実績を、学校全体の実績として示している場合がある |
| いつの実績か | 複数年をまとめた数字では、最近の傾向がわかりにくい |
例として、N高等学校・S高等学校・R高等学校(N高グループ)の公表データを見てみましょう。
同グループは、2026年の国公立大学の合格者数を205人と公表しています。この数字は生徒・卒業生の申告に基づく延べ人数で、1人が複数の大学に合格した場合はそれぞれ数えています。また、同グループの生徒数は3校の合計で3万人を超えるため、合格者数も大きくなりやすい点に注意が必要です。
内訳がわからない場合は、説明会で「卒業生のうち、何人が4年制大学に進学したか」を尋ねてみてください。
参照:学校法人角川ドワンゴ学園「大学合格実績」
受験指導・模試・補習の有無
大学受験に向けた支援の内容も、学校によって差があります。次のような点を、具体的に確かめておきましょう。
- 大学進学を目指すコースがあるか、その授業時間はどのくらいか
- 模試を校内で受けられるか、結果をもとに面談があるか
- 苦手科目の補習や個別指導を受けられるか
- 志望理由書の添削や面接練習など、総合型選抜・推薦の対策があるか
あわせて、受験指導の費用が学費に含まれるか、別料金かも確認が必要です。
通うキャンパスごとの支援体制
同じ学校でも、キャンパスによって受験支援の内容が異なることがあります。本校では受けられる指導が、通う予定のキャンパスにはない場合もあるためです。
確認したいのは、受験指導を誰が担当しているかです。通信制高校の先生が行うのか、提携するサポート校の講師が行うのかで、内容や費用が変わります。
また、同じキャンパスに大学を目指す生徒がどのくらいいるかも大切です。受験生が周りにいると、入試の情報を得やすく、学習の刺激にもなります。
通信制高校から大学進学するための学年別準備

通信制高校では、受験勉強の計画も自分で立てる必要があります。入試方式によって準備を始める時期は異なりますが、学年ごとの目標を決めておくと、やるべきことを見失わずに進められます。
高1 基礎学力と学習習慣を整える
高1の目標は、レポートや試験を計画どおりに進め、毎日の学習習慣をつくることです。中学校の内容に不安がある場合は、この時期に苦手な単元を復習しておくと、その後の受験勉強が進めやすくなります。
推薦を考えている場合は、高1の成績にも注意が必要です。調査書に記載される評定平均には、高1からの成績が含まれるためです。
高2 志望校・入試方式を絞る
高2では、興味のある分野や志望校の候補を考え、受ける入試方式を絞り込みます。オープンキャンパスに参加すると、大学で学ぶ内容や求められる力が具体的にわかるでしょう。
入試方式によって、高2のうちに始めたいことは異なります。
- 総合型選抜:志望理由書で伝えたい活動に取り組み始める
- 学校推薦型選抜:評定平均を意識しながら、校内選考の時期や基準を確認する
- 一般選抜:模試を受けて現在の学力を把握し、塾などの利用を検討する
高3 志望校別の対策を仕上げる
高3では、志望校の入試に合わせた対策を仕上げます。2027年度入学者向けの入試の主な日程は、次のとおりです。
大学入試の主な日程(2027年度入学者)
| 入試方式 | 主な日程 |
|---|---|
| 総合型選抜 | 2026年9月1日以降に出願、11月1日以降に合格発表 |
| 学校推薦型選抜 | 2026年11月1日以降に出願、12月1日以降に合格発表 |
| 大学入学共通テスト | 2027年1月16日・17日 |
| 一般選抜(大学独自の試験) | 2027年2月1日から3月25日までの間に実施 |
総合型選抜を受ける場合は、出願前の夏までに志望理由書を仕上げておく必要があります。
2027年度入学者の入試を対象とする令和9年度の実施要項では、総合型選抜と学校推薦型選抜で面接による評価を原則行うことが示されました。ただし、既存の選抜で導入が難しい場合は遅くとも2029年度入試まで猶予されます。専願の指定校推薦など、面接の有無が大学の判断に任される場合もあります。志望校の募集要項で確認しましょう。
一般選抜を受ける場合は、志望校の過去問に取り組み、出題傾向に合わせて演習を重ねます。
参照:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
通信制高校生に塾は必要?

通信制高校生が大学を目指すとき、必ずしも塾に通う必要はありません。塾が必要かどうかは、志望する入試方式と、学校の受験支援で準備が足りるかによって変わります。判断の目安を確認しておきましょう。
学校のサポートだけで足りるケース
次のような場合は、学校のサポートを中心に準備を進められる可能性があります。
- 総合型選抜や学校推薦型選抜が中心で、学校でその対策を受けられる
- 進学コースなどで、受験科目の授業や個別指導を受けられる
- 志望校のレベルと、学校の進学実績が見合っている
- 本人が、学校の教材を使って計画的に学習を進められる
ただし、模試の結果と志望校との差が大きい場合は、途中から塾を利用することも考えましょう。
H3 塾を併用したほうがよいケース
一方、次のような場合は、塾や予備校の併用を検討しましょう。
- 一般選抜で、国公立大学や難関私立大学を目指している
- 共通テストで多くの科目が必要になる
- 学校の受験指導が手薄で、受験科目の授業時間を確保しにくい
- 中学校の内容から学び直しが必要
- 一人では受験勉強のペースを保ちにくい
志望校の難易度が高いほど、早めに併用を始めると準備に余裕が生まれます。
塾を選ぶときの確認ポイント
通信制高校生は、全日制の高校生とは生活のリズムが異なります。塾を選ぶときは、次の点を確認しましょう。
通信制高校生が塾を選ぶときの確認ポイント
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| スクーリングの日程と両立できるか | 登校日が不規則な場合、通塾の曜日や時間を調整できる塾が通いやすい |
| 個別指導か、集団指導か | 学び直しが必要なら、一人ひとりの理解度に合わせられる個別指導が向いている |
| 総合型選抜・推薦の対策があるか | 志望理由書や小論文、面接の指導まで受けられるかは塾によって異なる |
| オンライン受講ができるか | 自宅で学ぶ時間が長い通信制では、オンラインのほうが続けやすい場合がある |
| 学校の受験指導と重ならないか | 学校とサポート校、塾で同じ指導を受けると、費用が重なる |
体験授業を受けて、本人が無理なく続けられるかを確かめてから決めると安心です。
通信制高校からの大学進学について、よくある質問

通信制高校からの大学進学について、保護者が気になりやすい質問をまとめました。
通信制高校から難関大学を目指せる?
目指せます。入試の条件は全日制の高校生と同じで、合否を分けるのは志望校が求める学力や適性です。ただし、一般選抜で難関大学を目指す場合は、塾や予備校などで受験対策を補うことが前提になります。登校日が少ない分、受験勉強の時間を確保しやすい点は通信制の強みといえます。
転入・編入しても大学進学できる?
できます。全日制から通信制高校に移っても、卒業すれば大学の受験資格は同じです。注意したいのは、前の高校の単位をどこまで引き継げるかです。
引き継げる単位が少ないと卒業時期が遅れ、受験の年度がずれる場合もあります。転入・編入の注意点は、こちらの記事で詳しく解説しています。
大学進学後や就職で不利になる?
大学に進学した後は、出身高校の課程によって、履修や成績の扱いが変わることはありません。大学を卒業すれば最終学歴は大学になるため、就職活動で高校の課程を問われる場面も限られます。通信制で身についた自己管理の力は、自分で履修を組む大学の学びでも役立つでしょう。
「サポート校」とはなんですか?
サポート校とは、通信制高校に通う生徒の学習や生活を支える民間の教育施設です。レポートの作成や単位の修得を手助けするほか、大学受験に向けたコースを設けているところもあります。
ただし、学校教育法上の高校ではないため、サポート校だけに通っても高校卒業資格は得られません。通信制高校とサポート校の両方に通う形になり、費用もそれぞれにかかります。
全日制と通信制のどちらが大学進学に向いている?
多くの科目を学ぶ一般選抜を目指すなら、授業時間の多い全日制のほうが準備しやすい面があります。一方、総合型選抜を考えている場合や、自分のペースで学びたい場合は、通信制が合うこともあります。本人の学習習慣と、志望する入試方式をもとに判断しましょう。
まとめ 通信制高校から大学進学するには学校選びと早めの受験準備が大切

通信制高校だからといって、大学進学をあきらめる必要はありません。差が出やすいのは制度ではなく、受験に向けた準備の環境です。だからこそ、志望する入試方式に合った受験支援がある学校を選び、高1から計画的に準備を進めることが大切です。
大学進学を前提に通信制高校を検討する場合は、学校全体の進学率や合格者数だけで判断しないようにしましょう。説明会や個別相談に参加し、通う予定のキャンパスの支援内容まで確かめておくと安心です。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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