通信制高校のデメリットとは?大学進学・就職への影響と後悔しないための対策
「通信制高校を選んで後悔しない?」と不安に感じている方もいるでしょう。
通信制高校の主なデメリットは、学習や生活リズムを自分で管理しなければならない点です。保護者アンケートでは「学習計画の管理」(46.3%)と「生活リズムの維持」(45.0%)に困った家庭が多くいました。
「大学進学や就職で不利にならない?」といった疑問もあるでしょう。この記事では、デメリットと対策に加え、「やめとけ」と言われる理由や後悔しやすいケースまで解説します。入学前の不安と実際のギャップも紹介するので、子どもに合う進路かを考える参考にしてください。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
通信制高校のデメリットは?実際に困ったことと対策

通信制高校の主なデメリットは、学習の自己管理、生活リズム、交流の機会、学校ごとのサポート差の4つです。ただし、入学前の不安がすべて現実になるわけではありません。保護者アンケートで、入学前に不安だったことと、入学後に実際に困ったことを比べた結果は次のとおりです。

「卒業まで続けられるか」は、不安に感じていた割合と実際に困った割合の差が最も大きい項目でした。一方、学習スケジュールの管理は、不安がほぼそのまま現実になっています。デメリットの中でも、特に備えておきたい点といえるでしょう。
学習スケジュールを自分で管理する必要がある
通信制高校には、全日制のような決まった時間割がありません。いつレポートに取り組むかは、本人が決めます。後回しにするとレポートがたまり、学校によっては期限までに提出しないと単位認定試験を受けられなくなります。
- 対策できること
学習する曜日や時間帯を固定する、提出期限を家族で共有する、進捗を確認する面談がある学校を選ぶ
- 対策しにくいこと
本人の意欲そのものは、周囲が管理しても補いきれない
親の関わり方については、次のような声がありました。
通信制は登校の縛りが少ない分、レポート提出や生活リズムの自己管理が重要になります。親がうるさく言いすぎると反発されますが、放置しすぎると提出期限に遅れるため、本人任せにしすぎず適度に進捗を確認し合う関係を作っておくことが大切だと実感しています。(たかしさん・40代)
生活リズムが崩れやすい
入学前に多くの保護者が不安に感じていたのが、生活リズムの維持です。入学後も45.0%が困ったと答えており、半数近くの家庭で課題になっています。登校日が少ないと起きる時間が決まらず、夜更かしや昼夜逆転につながりやすくなります。
- 対策できること
登校日以外も起床時間を決める、午前中に予定を入れる、通学日数の多いコースを選ぶ
- 対策しにくいこと
体調の波が原因の場合は、本人の努力だけで整えるのが難しい
体調面が原因と考えられるときは、無理に整えようとせず、学校の先生や医療機関に相談しましょう。
先生や友人との交流、学校行事が限られやすい
毎日同じクラスで過ごすわけではないため、友人をつくるきっかけは全日制より少なくなります。生徒の年齢や生活スタイルもさまざまで、学校行事や部活動を自由参加とする学校も多いのが特徴です。
ただし、交流に困ったと答えた保護者は25.0%で、入学前の不安(42.5%)より少なくなっています。
- 対策できること
スクーリングの多いコースを選ぶ、部活動や同好会に参加する、学校外の居場所をつくる
- 対策しにくいこと
全日制のように、毎日同じ仲間と過ごす環境は得にくい
学校外のつながりについて、次のようなアドバイスもありました。
人間関係が築きにくいので、習い事や趣味で別のコミュニティを作っておくと良いでしょう。また自己管理が難しいため、自主学習のスケジュールを家族で決める事が大切です。(ゆりさん・40代)
学校によってサポート内容に差がある
通信制高校は、学校によってサポートの内容が大きく異なります。たとえば、次のような点に差が出やすくなっています。
- わからないところを先生に質問できる方法(対面・オンライン・チャットなど)
- 担任やチューターによる学習の進捗確認
- 大学受験や就職に向けた進路指導
実際に困った保護者は10.0%と多くありません。ただし、学校ごとの差については国も課題としてとらえ、対応を進めています。
2026年7月23日には、通信制高校などの教育の質の確保を目指す改正法が公布されました(2027年1月施行)。学校の設置者には管理運営体制を整える責務が課され、文部科学大臣が運営の基本的な指針を定めることになりました。指針の内容は、文部科学省の検討会議で議論されています。
指針が整うまでは、サポート体制や情報公開の状況を、学校ごとに確認することが大切です。通信制高校には、教職員の数や卒業・進学の状況、費用などの情報を公表する義務があります。
学校のホームページでこうした情報がきちんと公開されているかも、確認のポイントです。確認したい具体的な点は、後の章で後悔しやすいケースとあわせて解説します。
参照:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」
通信制高校は「やめとけ」「人生終わり」と言われるのはなぜ?

インターネット上で「人生終わり」とまで言われるのは、将来の選択肢が狭まるという不安が大きいためです。通信制高校に対する古いイメージも、強い言葉につながっています。
ただし、通信制高校に進んだことで将来の道が閉ざされることはありません。実際に、通信制高校を卒業した人の約7割は、進学か就職をしています(2024年度、文部科学省調べ)。
一方で、注意したい点があるのも事実です。誤解と事実を分けて確認しましょう。
通信制高校から大学進学はできる?
通信制高校を卒業すると、全日制と同じ高校卒業資格が得られます。そのため、大学の受験資格にも違いはありません。
一方で、進路の実績には差があります。文部科学省の資料によると、2024年度に卒業した生徒の進路は次のとおりです。
全日制・通信制課程の卒業後の状況(2024年度卒業者)
| 進路 | 全日制 | 通信制 |
|---|---|---|
| 大学等進学者 | 63.4% | 28.6% |
| 専修学校(専門課程)進学者 | 14.7% | 22.9% |
| 就職者 | 13.6% | 19.5% |
| 進学・就職以外の者(進路未決定など) | 4.5% | 26.1% |
※主な進路のみ抜粋しているため、合計は100%になりません。
参照:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」
通信制では、進学も就職もしていない卒業者が約4人に1人にのぼります。大学進学は可能ですが、自然に道が開けるわけではありません。総合型選抜や学校推薦型選抜を活用する、一般選抜なら塾などで受験対策を補う、といった準備が必要です。
学習に対するサポートや、大学進学を考える場合は進路指導の充実度は非常に重要だと思います。指定校推薦の枠がどれくらいあるのかも確認が必要ですね。(shinkawさん・40代)
通信制高校は就職や履歴書で不利になる?
通信制高校の卒業者は、求人の応募条件にある「高卒以上」を満たします。履歴書にも学校名と卒業年月を書くため、通信制であること自体が応募の妨げになるわけではありません。前述の表のとおり、通信制の卒業者の19.5%は就職しています。
ただし、採用側の見方は企業によって異なります。面接で通信制を選んだ理由を聞かれても、自分の言葉で説明できるよう準備しておくと安心です。
また、注意したいのは在学中の就職活動です。高校生の就職は、学校に届く求人を通じて進めるのが一般的です。就職を考えている場合は、求人の紹介や面接練習など、学校の就職支援を確認しておきましょう。
周囲のイメージや偏見は実際どうか?
通信制高校の生徒数は年々増えており、2026年5月時点で31万1,792人と過去最多になりました。高校生のおよそ10人に1人が通信制で学んでおり、特別な進路ではなくなっています。
参照:文部科学省「令和8年度学校基本統計(学校基本調査の結果)速報値を公表します」
保護者アンケートでも、入学前に周囲の見方を不安に感じていた11.3%に対し、入学後に実際に困った保護者は2.5%でした。不安に感じていた家庭の多くが、実際には困らなかった項目といえます。
通信制高校で後悔しやすいのはどんなケース?

保護者アンケートで後悔したことがあるか尋ねると、「ときどきある」「何度もある」は合わせて22.5%でした。
また、同じ状況なら再び通信制高校を選ぶと答えた保護者は73.8%にのぼります。後悔は少数派ですが、選び方によって防げるものも少なくありません。

ここでは、後悔につながりやすい4つのケースとその防ぎ方を紹介し、最後に向き不向きを整理します。
「自由に学べる=楽」と考えて入学した
通信制高校は登校日が少ない分、自由な時間が増えます。ただし、それは「勉強しなくてよい」という意味ではありません。入学前のイメージより大変だったと答えた保護者は、23.8%いました。
入学前に、レポート提出から単位認定試験までの流れと、1週間にどのくらい学習時間が必要かを確認しておきましょう。そのうえで、本人が「自分でやること」を理解しているかを親子で話し合うことが大切です。
通信制高校は自由なイメージがありますが、何もしなくても卒業できるわけではありません。レポートの提出やスクーリングなど、自分で予定を管理する部分があります。学校によって通学頻度やサポート内容、費用もかなり違うので、資料だけで決めず、本人と一緒に説明会や相談会に参加して、実際の学習方法まで確認しておくことをおすすめします。(たいやきさん・40代)
通学頻度や学習スタイルを確認せずに選んだ
入学前に「もっと確認しておけばよかった」ことの1位は、学習方法・レポート量(41.3%)でした。

通学日数は比べても、日々の学習の中身までは確かめなかった家庭が多いことがうかがえます。
防ぐには、パンフレットの情報だけでなく、実際の教材やレポートを見せてもらうのが効果的です。体験授業に参加したり、在校生や保護者の話を聞いたりすると、入学後の生活を具体的にイメージできます。
通信制高校は自由度が高い一方で、学習の進め方やレポート量は学校によって大きく違います。特に「どの程度の自己管理が必要なのか」を事前に把握しておくと、入学後のギャップが少なく済むと感じました。また、スクーリングの頻度や追加費用は案外見落としやすいので、細かい条件まで確認しておくと安心です。自由な環境だからこそ、本人の性格や生活リズムに合う学校を選ぶことが大切だと思います。(しおんさん・40代)
サポートや進路支援を確認せずに選んだ
確認不足を感じた項目には、先生による学習サポート(26.3%)や大学進学支援(18.8%)も挙がりました。入学後に「質問しにくい」「進路の相談先がない」と気づいても、学校を変えるのは簡単ではありません。
説明会では「サポートがあるか」だけでなく、頻度や担当者まで具体的に尋ねるのがポイントです。たとえば、次のように聞くと違いがわかりやすくなります。
- 「質問はどの方法で受け付けていて、返事はどのくらいで届きますか」
- 「担任との面談は、年に何回ありますか」
- 「通う予定のキャンパスの進学・就職実績を教えてください」
同じ学校でも、キャンパスやコースによって支援の内容が異なる場合があります。
学費や追加費用を確認していなかった
「もっと確認しておけばよかった」ことでは、学費・追加費用も17.5%でした。授業料は国の「高等学校等就学支援金」の対象ですが、それ以外の費用は対象になりません。
見落としやすい主な費用は、次のとおりです。
- 施設設備費や教材費
- スクーリングの交通費や宿泊費(本校が遠方の場合)
- サポート校を併用する場合の費用
- タブレットなどの学習用端末
入学から卒業までの総額で比べると、学校ごとの差が見えやすくなります。
学費のほかにスクーリング代などの追加費用があるかもしれないので、よく確認しておいたほうが良いと思う。(chi-hoさん・50代)
学校ごとの学費の目安や支援制度は、こちらの記事で詳しく解説しています。
通信制高校が向いていない人・向いている人は?
ここまでの後悔しやすいケースを踏まえると、向き不向きの分かれ目は、自分で学習を進められるかどうかです。
向いていない場合が多い例
- 決まった時間割がないと、生活リズムを保ちにくい
- 家庭や学校の支えがなく、一人で学習を進めることになる
- 毎日友人と過ごす高校生活を強く望んでいる
向いている場合が多い例
- 自分で学習計画を立て、進捗を確認できる
- 学校外にも交流の場を持てる
- 家族や学校のサポートを受けながら学習を続けられる
ただし、向き不向きは固定されたものではありません。通学日数の多いコースを選んだり、家族で進捗を確認したりすることで、補える部分もあります。
通信制高校へ転入するときの注意点は?

通信制高校には、高校に入学した後に移ってくる生徒も多くいます。在籍したまま移る「転入学」と、退学した後に入り直す「編入学」のどちらでも、前の高校での学習をどう引き継ぐかが重要です。
保護者アンケートでは、転入・編入した家庭の35.1%が「後悔したことがある」と答えました(新入学の家庭は11.6%)。回答数が少ないため参考値ですが、事前の確認がより大切になるといえます。
前の高校の単位をすべて引き継げるとは限らない
前の高校で修得した単位は、転入先の校長の判断によって、卒業に必要な単位に加えることができます。ただし、すべてが認められるとは限りません。
特に注意したいのが、学年の途中で移る場合です。全日制の多くは学年末にまとめて単位を認定するため、移る年度に履修していた科目は、単位として認められないことがあります。
転入を考え始めたら、前の高校で単位修得の状況を確認し、転入先に「何単位を引き継げるか」を事前に見てもらいましょう。
一番知っておいたほうがいいのは、全日制の高校から通信制高校へ編入するときに、取っていた単位が認められるかどうかを確認するべきです。(たーけんさん・50代)
参照:文部科学省「高等学校入学資格 Q&A」
転入時期によって卒業時期がずれる場合がある
前の高校の在籍期間は、通信制高校の在籍期間に通算されるのが一般的です。引き継げる単位が十分にあれば、同級生と同じ時期に卒業できる場合もあります。
一方で、次のような場合は卒業が遅れる可能性があるため注意が必要です。
- 引き継げる単位が少なく、残りの単位の修得に時間がかかる
- 退学から編入学までの間が空き、その期間が在籍期間に含まれない
受け入れの時期も学校によって異なります。
文部科学省の調査では、2023年度の入学者のうち年度途中に入学した人は、公立が11.7%、私立が28.2%でした。公立は受付の時期が限られることが多いため、早めに募集要項を確認しておきましょう。
参照:文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集」
公立通信制高校にもデメリットはある?

通信制高校の生徒のうち、約8割は私立に在籍しています。学費の安さから公立を検討する家庭もありますが、公立にも私立にも、それぞれ注意したい点があります。違いを知ったうえで、子どもに合うほうを選ぶことが大切です。
参照:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」
公立通信制高校で注意したい点
公立は学費を抑えられる一方、自宅での自学自習が中心になりやすい傾向があります。
2025年の文部科学省の調査では、週2日以上通うコースに在籍する生徒は、公立が約1割、私立が約3割でした。毎日通う週5日コースを設けている公立校は、81校中1校にとどまります。
卒業までにかかる期間にも差があります。同じ調査で4年以上在籍している生徒の割合は、公立が25.6%、私立が1.9%でした。自分のペースで学べる分、卒業までに時間がかかる生徒も少なくありません。
一方、相談体制は公立のほうが整っている傾向があります。スクールカウンセラーに相談できる学校は、公立が98.8%、私立が79.7%でした。
ただし、保護者アンケートでは、公立に通った家庭の31.8%が「先生による学習サポート」を確認すべきだったと答えました。公立を選ぶ場合は、本人が自分で学習を進められるか、家庭や塾など学校外の支えを用意できるかを考えておきましょう。
参照:文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」
私立通信制高校で注意したい点
私立は通学コースやサポートが充実している学校が多い一方、費用の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。保護者アンケートでも、私立に通った家庭の24.1%が「学費・追加費用」を確認すべきだったと答えています(公立は0%)。
また、通信制課程を置く私立高校は275校あり、公立の83校を大きく上回ります(2026年度)。選択肢が多い分、知名度や広告の印象だけで決めず、複数の学校を比べることが大切です。
※アンケートの公立・私立別の数値は、公立22人・私立58人の回答に基づく参考値です。
通信制高校のデメリットについて、よくある質問

通信制高校のデメリットについて、よくある質問に答えます。
通信制高校はなぜダメと言われるのですか?
背景には、進学や就職で不利になる、高校生活を楽しめないといったイメージがあります。高校卒業資格は全日制と同じですが、自己管理が必要なため、準備が不十分だと進路が決まらないまま卒業する場合もあります。
通信制高校の欠点や落とし穴は何ですか?
主な欠点は、学習や生活リズムの自己管理が必要なことと、交流の機会が限られやすいことです。「自由=楽」と考えて入学したり、レポート量や追加費用を確認せずに選んだりすると、後悔につながりやすくなります。
通信制高校はやめたほうがいいですか?
一概にはいえません。保護者アンケートでは、73.8%が同じ状況なら再び通信制高校を選ぶと答えています。本人が自分で学習を進められるか、または家庭や学校の支えを得られるかを基準に判断しましょう。
通信制高校にはどんな生徒が通っていますか?
小・中学校や前の高校で不登校を経験した生徒が、6割以上を占めています。そのほか、スポーツや芸能活動と両立したい生徒など、さまざまな事情を持つ生徒が自分に合う学び方として選んでいます。
参照:文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集」
まとめ 通信制高校のデメリットを理解して子どもに合う進路を選ぼう

通信制高校のデメリットは、入学前に想像するものと、実際に困るものが必ずしも一致しません。特に備えたいのは学習と生活リズムの自己管理で、後悔の多くは学校選びの段階で防げます。大学進学や就職を目指すなら、支援のある学校選びと早めの準備が欠かせません。
一方で、通信制高校には自分のペースで学べるなどのメリットもあります。デメリットとメリットの両方を踏まえ、説明会や個別相談で、子どもに合う学校かを確かめていきましょう。
通信制高校の仕組みやメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。
【調査概要】
調査主体:塾選ジャーナル編集部
調査方法:インターネット調査
実施期間:2026年9月中旬
調査対象:現在または過去5年以内に、子どもが通信制高校に在籍した経験のある保護者100人(有効回答80人)
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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