弘前大学はなぜ人気?【就職率99.5%】選ばれる5つの理由と入試難易度
弘前大学はなぜ人気なのか、ほかの国立大学にはない強みが気になっている人も多いでしょう。
選ばれる背景として挙げられるのは、約3,000項目の健康ビッグデータを生かした研究や被ばく医療など、特色ある研究です。2025年度の学部卒業者の就職率が99.5%と、卒業後の進路にも安心感があります。一方で、「偏差値はどのくらい?」「弘前での大学生活は楽しい?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。
この記事では、5つの理由を大学や公的機関の資料をもとに解説します。志願者数の推移や5学部の特徴、入試難易度、冬の暮らしの注意点も紹介するので、志望校選びの参考にしてください。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
目次
弘前大学はなぜ人気?進学先として選ばれる5つの理由

大学公式の資料などから見えてくる弘前大学の魅力は、大きく5つに整理できます。研究面での強みは、健康ビッグデータと被ばく医療という全国でも珍しい分野です。
教育面では、地域の課題に取り組む授業と、高い就職率が挙げられます。さらに、城下町・弘前の落ち着いた環境も、学生生活を支える魅力です。

① 約3,000項目の健康ビッグデータを生かした研究に強みがある
弘前大学は2005年から、弘前市岩木地区の住民約1,000人を対象に、大規模な健康診断を毎年続けています。「岩木健康増進プロジェクト」と呼ばれる取り組みです。
健診で集めるデータは約3,000項目におよびます。ゲノム(遺伝情報)や腸内細菌まで調べる内容で、一人ひとりの体を高解像度の写真で記録するようなものです。
蓄積したデータは、生活習慣病や認知症の予防法の研究に生かされています。平均寿命が全国でも短い傾向にある青森県の課題に、データで向き合う研究です。
参照:内閣府「令和5年版高齢社会白書 事例3 青森県弘前市~岩木健康増進プロジェクト~」
② 被ばく医療の専門的な研究・教育を行っている
弘前大学は、原子力関連施設が多い地域の大学として、2008年から被ばく医療の体制づくりと人材育成に取り組んできました。2010年には、被ばく医療を専門とする「被ばく医療総合研究所」を設置しています。
2015年には、原子力規制委員会から2つのセンターの指定を受けました。「高度被ばく医療支援センター」と「原子力災害医療・総合支援センター」です。原子力災害が起きた際に、高度な専門医療や人材育成を担う拠点です。
医療や放射線の分野で専門性を身につけたい人にとって、全国でも数少ない拠点で学べる点は大きな魅力といえます。
参照:原子力規制委員会「平成30年度 高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センター業務の実施 事業成果報告書」
③ 地域学ゼミナールで青森の課題解決に取り組める
「地域学ゼミナール」は、教養教育の中で行われる問題解決型の演習です。学生はグループで地域の課題を選び、統計データを活用しながら解決策を考えます。
これまでの発表テーマには、りんごの輸出を増やす方策や、短命県返上に向けた食生活の分析などがあります。教室で学んだ知識を、実際の社会課題に結びつけられる授業です。
参照:弘前大学「令和6年度〈地域学ゼミナール〉公開発表会」「令和7年度〈地域学ゼミナール〉公開発表会」
④ 就職率99.5%と卒業後の進路の安心感がある
2025年度の学部卒業者の就職率は99.5%で、1984年度以降で最も高い実績となりました。就職を希望した852人のうち、848人が就職しています。なお、この就職率は就職希望者を母数とした数字です。学部卒業者1,313人には、大学院などへ進学した人も含まれます。
就職先の地域を見ると、青森県内が28.8%で最も多く、東京都の18.5%が続きます。地元に残る道も、首都圏で働く道も選べる点は、進路の幅を広げたい人にとって安心材料です。
参照:弘前大学「【歴代1位の就職率】令和7年度弘前大学卒業者の就職状況」
⑤ 弘前の自然や文化に囲まれて学生生活を送れる
弘前市は、弘前城を中心に発展した城下町です。弘前城跡の弘前公園には、ソメイヨシノを中心に約2,600本の桜が植えられ、春には「弘前さくらまつり」が開かれます。

市街地からは「津軽富士」とも呼ばれる岩木山を望めます。歴史ある街並みと豊かな自然を日常的に感じられる環境は、地方の国立大学ならではの魅力です。
参照:国土交通省 東北地方整備局 青森港湾事務所「メールマガジン」
弘前大学の志願状況は?志願者数と倍率の推移を確認

人気の動向を客観的に知るには、志願者数と倍率のデータが参考になります。ここでは大学と文部科学省の公表データをもとに、大学全体と学部ごとの状況を確認します。
志願者数・倍率の推移を確認
弘前大学と、東北地方の国立大学全体の一般選抜志願者数の推移は、次のとおりです。
弘前大学と東北地区国立大学の一般選抜志願者数の推移(2022〜2026年度)
| 年度 | 弘前大学 | 【参考】東北地区国立大学7校の合計 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 4,119人 | 22,575人 |
| 2023年度 | 3,503人 | 21,672人 |
| 2024年度 | 3,760人 | 22,350人 |
| 2025年度 | 3,382人 | 22,679人 |
| 2026年度 | 2,943人 | 21,812人 |
※東北地区国立大学7校は、弘前大学・岩手大学・東北大学・宮城教育大学・秋田大学・山形大学・福島大学。
弘前大学の志願者数は、年による増減はあるものの、5年間で約1,200人(約3割)減りました。同じ期間の東北地方の国立大学全体の減少は約3%にとどまるため、受験生全体の減少だけでは説明できない動きです。
2026年度の志願倍率は3.3倍で、前年度の3.8倍から下がり、国立大学全体の3.9倍を下回っています。ただし、受験生の立場から見れば、倍率の面では以前より挑戦しやすい状況ともいえます。倍率は年によって変動し、合否は得点で決まるため、最新の入試結果やボーダーラインもあわせて確認しましょう。
一方で、入学者の出身地を見ると、弘前大学が広い地域から選ばれていることがわかります。2026年度の入学者1,340人のうち、青森県内は542人で約4割にとどまり、約6割が県外です。北海道から333人、秋田県から60人が入学しており、東北・北海道の受験生にとって身近な進学先になっています。
参照:弘前大学「令和8(2026)年度 弘前大学入学者選抜結果」、文部科学省「令和8年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」「令和7年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」
学部別の志願倍率を比較
2026年度一般選抜の、学部別の志願状況は次のとおりです。
弘前大学 2026年度一般選抜の学部別志願状況
| 学部・学科 | 前期 募集人員 | 前期 志願者数 | 前期 志願倍率 | 後期 募集人員 | 後期 志願者数 | 後期 志願倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人文社会科学部 | 150人 | 248人 | 1.7倍 | 35人 | 329人 | 9.4倍 |
| 教育学部 | 90人 | 202人 | 2.2倍 | 22人 | 223人 | 10.1倍 |
| 医学部医学科 | 70人 | 391人 | 5.6倍 | ― | ― | ― |
| 医学部保健学科 | 112人 | 249人 | 2.2倍 | ― | ― | ― |
| 医学部心理支援科学科 | 10人 | 29人 | 2.9倍 | ― | ― | ― |
| 理工学部 | 169人 | 263人 | 1.6倍 | 81人 | 511人 | 6.3倍 |
| 農学生命科学部 | 113人 | 206人 | 1.8倍 | 33人 | 292人 | 8.8倍 |
| 合計 | 714人 | 1,588人 | 2.2倍 | 171人 | 1,355人 | 7.9倍 |
※医学部は後期日程の募集を行っていません。
前期日程で最も志願倍率が高いのは、医学部医学科の5.6倍です。理工学部と農学生命科学部の前期日程は、いずれも1倍台にとどまっています。
後期日程は募集人員が少ないため、志願倍率は6〜10倍台と高くなりました。ただし、後期日程を実際に受験した人は453人で、合格者217人に対する倍率は約2.1倍です。志願倍率の高さが、そのまま入試の難しさを示すわけではありません。学部選びでは、倍率よりも学びたい内容を優先しましょう。
参照:弘前大学「令和8(2026)年度 弘前大学入学者選抜結果」
弘前大学にはどんな学部がある?5学部の特徴と強み

弘前大学には、文系から医療系まで5つの学部があります。医学部は本町キャンパス、そのほかの4学部は文京町キャンパスで学びます。
人文社会科学部・教育学部の特徴
人文社会科学部は、文化創生課程と社会経営課程の2課程からなる学部です。文化や言語、歴史を探究する分野と、経済・経営・法律など社会の仕組みを学ぶ分野が2つの柱です。
教育学部には、学校教育教員養成課程と養護教諭養成課程があります。小学校教員の養成が中心で、教科ごとに中学校教員を目指す専修や、特別支援教育専攻も設けられています。青森県をはじめ、地域の教育を担う教員を育てる学部です。
参照:弘前大学「基本計画書」
医学部の特徴
医学部は、医学科・保健学科・心理支援科学科の3学科で構成されています。医学科は医師を、保健学科は看護師や診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士などの医療職を育てます。
心理支援科学科は、2020年度に新設された比較的新しい学科です。保健医療や教育、福祉などの分野で働く心理支援の専門職を目指します。国家資格の公認心理師を取得するには、卒業後に大学院へ進むことが想定されています。
参照:弘前大学「医学部心理支援科学科 設置の案内」
理工学部・農学生命科学部の特徴
理工学部は、数物科学科や電子情報工学科、機械科学科など6学科からなる学部です。地球環境防災学科や自然エネルギー学科など、地域の課題と結びついた分野を学べる点が特徴です。
農学生命科学部は、生物学科や分子生命科学科、国際園芸農学科など5学科で構成されています。りんごをはじめとする青森の農業や、世界自然遺産の白神山地をフィールドにした研究も盛んです。附属施設の「白神自然環境研究センター」が、白神山地の研究拠点です。
弘前大学の難易度はどのくらい?偏差値と共通テスト得点率

インターネット上には「レベル 低い」という予測検索キーワードも見られますが、実際の難易度はデータで確かめてみましょう。
ここでは河合塾が公表している「ボーダーライン」をもとに確認します。ボーダーラインとは、合格の可能性が50%に分かれると予想される学力の目安です。
同じ東北地方の国立大学と偏差値を比較
東北地方の国立大学(教員養成の単科大学を除く)のボーダーラインを比較すると、次のようになります。
東北地方の国立大学の一般選抜ボーダーライン(2027年度入試予想・方式別ランク)
| 大学 | 偏差値 | 共通テスト得点率 |
|---|---|---|
| 弘前大学 | 40.0〜62.5 | 50〜78% |
| 岩手大学 | 40.0〜62.5 | 49〜79% |
| 東北大学 | 52.5〜67.5 | 65〜92% |
| 秋田大学 | 37.5〜62.5 | 44〜86% |
| 山形大学 | 37.5〜62.5 | 44〜81% |
| 福島大学 | 40.0〜47.5 | 49〜71% |
※2026年10月時点の河合塾Kei-Netの公表値です。学部・日程によって幅があります。
弘前大学の偏差値は、旧帝大の東北大学を除くと、岩手大学・秋田大学・山形大学とほぼ同じ帯にあります。上限の62.5は医学部医学科の数値です。医学部のない福島大学は、上限が47.5になっています。
共通テスト得点率の下限50%は、岩手大学・秋田大学・山形大学・福島大学と同程度か、やや高い水準です。インターネットの情報で決めつけるのではなく、東北地方の国立大学として標準的な難易度と理解しておくとよいでしょう。
参照:河合塾Kei-Net「弘前大学 偏差値(ボーダーライン)」「岩手大学」「東北大学」「秋田大学」「山形大学」「福島大学」
弘前大学で比較的入りやすい学部・学科は?
弘前大学の前期日程のうち、共通テストのボーダー得点率が53%以下の学科・専攻は次のとおりです。
弘前大学でボーダーラインが比較的低い学科・専攻(前期日程・2027年度入試予想)
| 学部 | 学科・専攻 | 偏差値 | 共通テスト得点率 |
|---|---|---|---|
| 理工学部 | 自然エネルギー学科 | 40.0 | 50% |
| 理工学部 | 物質創成化学科 | 42.5 | 50% |
| 理工学部 | 地球環境防災学科 | 40.0 | 51% |
| 理工学部 | 機械科学科 | 42.5 | 51% |
| 理工学部 | 数物科学科(数学・理科選択) | 42.5 | 51% |
| 教育学部 | 特別支援教育 | 42.5 | 51% |
| 農学生命科学部 | 国際園芸農学科 | 40.0 | 53% |
| 農学生命科学部 | 地域環境工学科 | 42.5 | 53% |
| 医学部保健学科 | 作業療法学専攻 | 42.5 | 53% |
| 医学部保健学科 | 看護学専攻 | 45.0 | 53% |
理工学部と農学生命科学部の前期日程は、共通テスト得点率5割台がボーダーラインの目安です。理系科目が得意な人にとっては、目指しやすい選択肢になるでしょう。
ただし、同じ学科でも後期日程は得点率60%以上と高めに設定されています。また、入りやすさだけで学科を選ぶと、入学後の学びや進路とかみ合わなくなるおそれがあります。興味のある分野かどうかを必ず確かめましょう。
参照:河合塾Kei-Net「弘前大学 偏差値(ボーダーライン)」
弘前大学に進学して後悔する?学生生活で知っておきたいこと

進学後に「思っていたのと違った」とならないためには、学生生活のイメージを事前に持っておくことが大切です。ここでは、弘前での暮らしで知っておきたい点を紹介します。
サークル活動や弘前での学生生活は?
文京町キャンパスには4学部が集まっているため、学部を超えた友人をつくりやすい環境です。サークルや課外活動の種類は、大学の公式情報などで確認できます。
サークルの雰囲気や活動の頻度は、団体ごとに大きく異なります。新入生歓迎の時期に複数の団体を見学し、自分に合う場所を判断するのが確実です。
住まいについては、大学の学生寮という選択肢もあります。一人暮らしの費用を抑えたい人は、入寮の条件を早めに確認しておきましょう。
冬の寒さや雪のある暮らしに注意が必要
弘前市は、県内でも雪の多い津軽地方にあります。気象庁によると、弘前の12月の降雪量の平年値は147cmです。
2025年2月には積雪が160cmに達し、観測史上最も深い記録となりました。年によっては、生活に影響が出るほどの大雪になることもあります。
雪道を歩くための滑りにくい靴や防寒着、除雪の手間を考えた住まい選びなど、冬への備えが欠かせません。一方で、雪国の暮らしは慣れれば楽しみも多く、冬ならではの景色や行事を満喫できます。
参照:気象庁 青森地方気象台「2024年12月の青森県の天候」「2025年2月の青森県の天候」
弘前大学はどんな人に向いている?志望校選びのポイント

弘前大学が自分に合うかどうかは、魅力と注意点の両方に納得できるかで判断できます。次のチェックリストで、当てはまる項目がいくつあるか確認してみましょう。
弘前大学に向いている人のチェックリスト
| チェック項目 | 関係する弘前大学の特徴 |
|---|---|
| 健康や医療、放射線など、特色ある分野を学びたい | 健康ビッグデータ研究や被ばく医療の拠点 |
| 地域の課題を、自分の手で解決する力をつけたい | データを使って地域課題に取り組む地域学ゼミナール |
| 地元就職と首都圏就職の両方を選択肢に残したい | 就職率99.5%、青森県内と東京都への就職実績 |
| 国立大学に、無理のない難易度で挑戦したい | 東北地方の国立大学として標準的なボーダーライン |
| 歴史と自然に囲まれた、落ち着いた環境で学びたい | 城下町・弘前と岩木山のある環境 |
| 雪のある暮らしにも前向きに向き合える | 冬の降雪量が多い津軽地方の気候 |
当てはまる項目が多いほど、弘前大学での学生生活を前向きに楽しめる可能性が高いといえます。当てはまらない項目があっても、志望をあきらめる必要はありません。その項目への備え方を考えておくことで、入学後の後悔を防げます。
まとめ 弘前大学の強みを知り、自分に合う進学先を選ぼう

弘前大学の魅力は、地域の課題に根ざした特色ある研究と教育、そして卒業後の進路の安心感にあります。志願倍率は国立大学の平均を下回っていますが、受験生にとっては倍率面で挑戦しやすい国立大学ともいえるでしょう。
気になる学部があれば、オープンキャンパスや大学公式の募集要項で最新情報を確かめてみてください。模試の結果をもとに、ボーダーラインまでの距離を把握しておくことも大切です。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
注目の塾
PR


