主体的に学習に取り組む態度が廃止されるって本当?評価基準や内申への影響も解説
「テストの点数はいいのに、なぜ通知表の主体的に学習に取り組む態度がBやCなの?」と疑問に感じている保護者は少なくありません。内申点や高校入試への影響も気になるところでしょう。
「主体的に学習に取り組む態度」は、発言回数や提出物の量ではなく、学習に粘り強く取り組む姿勢と、自分の学び方を振り返って整える力を評価する観点です。
この記事では、評価基準やA・B・Cの考え方、内申点や高校入試への影響、廃止の噂の真相を解説します。家庭での関わり方や評価を高めるためのポイントも、具体的な例を交えて紹介します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
主体的に学習に取り組む態度とは?

主体的に学習に取り組む態度とは、通知表に記載される評価観点の一つです。学習に粘り強く取り組む姿勢や、自分の学び方を振り返って調整しようとする姿を評価します。やる気や性格、先生への印象だけで決まるものではありません。
「知識・技能」「思考・判断・表現」と並ぶ3つの評価観点の一つ
現在の通知表では、各教科の学習状況を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点で評価しています。3つの観点は、観点ごとに評価されます。ただし「主体的に学習に取り組む態度」は、「知識・技能」「思考・判断・表現」の状況も踏まえて評価されるものです。
テストの点数は主に「知識・技能」や「思考・判断・表現」に関わる部分です。
一方で「主体的に学習に取り組む態度」は、学びに向き合う姿勢そのものを見る観点であり、別の視点から評価されます。
参照:文部科学省「4.教育課程の実施と学習評価」
「関心・意欲・態度」と何が違う?
以前の学習指導要領では「関心・意欲・態度」という観点が使われていました。この観点は、挙手の回数やノートの取り方など、一時的に表れた行動だけで評価されていると誤解されやすいという課題がありました。
現在の「主体的に学習に取り組む態度」で評価するのは、学習内容への関心だけでなく、よりよく学ぼうとする意欲をもって取り組む姿勢そのものです。こうした誤解を避けるため、その趣旨が改めて強調されています。
「授業で手を挙げる子ほど高評価」とは限らない
挙手や発言が多いことが、そのまま高評価につながるわけではありません。評価は、発言以外の材料も含めて総合的に判断されます。
発言が少ない子どもがどのように評価されるかについては、ページ下方の「よくある質問」で解説しています。
主体的に学習に取り組む態度の評価基準は?

評価で重視されるのは、粘り強く学習に取り組む姿勢と、自分の学び方を振り返って調整する力の2つです。ここでは、先生が実際に何を見て評価しているのか、A・B・Cがどのように分かれるのかを具体的に見ていきます。
評価で見るのは、「粘り強さ」と「学習の自己調整」
「主体的に学習に取り組む態度」は、大きく分けて2つの側面から評価されます。
1つは、わからないことがあってもあきらめずに取り組み続ける「粘り強い取組」です。
もう1つは、自分の学習状況を把握し、進め方を試行錯誤しながら調整しようとする「自己調整」です。
この2つは切り離されたものではなく、互いに関わり合いながら現れるものとされています。
参照:文部科学省・国立教育政策研究所「学習評価の在り方ハンドブック」
先生は何を見て評価している?
先生が評価に使う材料は、ノートやワークシート、レポートなどの提出物の記述、授業中の発言、行動観察などです。子ども自身による自己評価や相互評価も材料になります。1回のテストや1回の授業だけで判断されるものではありません。
1つのレポートや課題から、複数の観点が同時に評価されることもあります。たとえば同じレポートでも、「知識・技能」「思考・判断・表現」では内容の理解や考えの深さを見ます。
一方で「主体的に学習に取り組む態度」では、学び方を調整しようとする過程を見ており、評価の切り口は観点ごとに分かれています。
先生が見ている「主体的な学び」の具体例
| 見られるポイント | 子どもの姿の例 |
|---|---|
| 粘り強く取り組む | わからなくても別の方法を試す |
| 学習を振り返る | どこで間違えたかを確認する |
| 学び方を調整する | 次は解き方や勉強の仕方を変える |
| 次の学習につなげる | 苦手な部分を復習する計画を立てる |
評価されているのは結果そのものよりも、うまくいかないときにどう考え、どう行動を変えたかという過程です。テストの点数だけでは見えない部分が対象になっている、とイメージするとわかりやすいでしょう。
参照:文部科学省・国立教育政策研究所「学習評価の在り方ハンドブック」
A・B・Cはどう決まる?評価の考え方と具体例
A・B・Cは、上記の粘り強さと自己調整がどの程度実現できているかによって判断されます。
- Aは「十分満足できる」状況
- Bは「おおむね満足できる」状況
- Cは「努力を要する」状況
ただし、「〇〇をすれば必ずA」というような、全国共通の単純なチェックリストがあるわけではありません。学校や教科ごとに、単元の内容に応じた評価の場面が設定されており、その中で総合的に判断されています。
「主体的に学習に取り組む態度」がCになるのはどんな場合?
Cは「努力を要する状況」という位置づけです。粘り強い取組と自己調整のいずれについても、その時点で十分な姿が見取れない場合に、Cと判断されやすくなります。
逆にいえば、間違えた理由を振り返ったり、次の学習に向けて工夫したりする姿が見えれば、評価は変わり得るということです。
主体的に学習に取り組む態度は通知表の成績・内申点に影響する?

現在の制度では、各教科の3つの観点別評価をもとに評定が算出されます(中学校・高校は5段階、小学校は3年生以上で3段階)。「主体的に学習に取り組む態度」がBやCの場合、評定に影響することがあります。ただし、影響のしかたは学校や教科によって異なります。
現在はA・B・Cの評価が評定に反映される
各教科の評定は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点別評価を総合的に考慮して算出されます。3つの観点の組み合わせから評定を導く具体的な方法は、学校や教科によって運用が異なります。
「A・B・Cの組み合わせなら必ず評定〇」という全国共通の一律換算表があるわけではない点には注意が必要です。
テストの点数が高くても評価が低くなることはある?
テストで高得点を取れていても、「主体的に学習に取り組む態度」の評価がBやCになることはあります。これは、この観点がテストの点数ではなく、学習に粘り強く取り組む姿勢や自己調整の様子を見ているためです。
「主体的に学習に取り組む態度」がCなら内申点も低くなる?
「主体的に学習に取り組む態度」がCの場合、その教科の評定が下がる要因の一つになり得ます。ただし、評定は3つの観点を総合的に見て決まるため、この観点だけで機械的に評定が決まるわけではありません。
通知表の評定そのものの見方については、こちらの記事も参考になります。
主体的に学習に取り組む態度は廃止・なくなる?いつから変わる?

「廃止」「なくなる」と検索されることが多いテーマですが、2026年9月時点で「主体的に学習に取り組む態度」という評価の観点自体が廃止された事実はありません。
一方で、次期学習指導要領に向けた議論の中で、評定への反映方法を見直す方向性が示されています。
次期学習指導要領ではA・B・Cによる評価を見直す方向
現在、次期学習指導要領に向けた国の審議会で、「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法を見直す議論が進んでいます。示されているのは、A・B・Cで評価して評定に反映する今の方法をやめる案です。代わりに、一人ひとりのよい点や成長を見る「個人内評価」に切り替える方向で検討されています。
あわせて、「思考・判断・表現」の評価の中で主体的な姿が特に見られた場合に「○」を付け、評定に間接的に反映する案も示されています。
ただし、2026年9月時点ではまだ検討段階であり、正式に決まったわけではありません。
参照:文部科学省「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」(2026年8月31日)
主体性そのものを評価しなくなるわけではない
見直しの案は、A・B・Cという段階評価を評定にそのまま反映させる方法を変えるものです。学習に対する主体性そのものを見なくするという内容ではありません。個人内評価に切り替わった場合も、子ども一人ひとりの学びに向かう姿勢は、「○」や通知表の所見を通じて引き続き伝えられる見通しです。
「評価されなくなる」という理解のまま子どもと接すると、かえって誤解が生じやすいため、注意が必要です。
いつから変わる?小学校・中学校・高校の見通し
次期学習指導要領は、小学校で2030年度、中学校で2031年度から全面実施される見通しです。高校では2032年度の入学生から順次実施される予定です。
それまでは現在の評価方法が続くため、「主体的に学習に取り組む態度」は当面、通知表や内申点に影響します。スケジュールは今後変わる可能性があるため、最新の発表を確認することをおすすめします。
参照:文部科学省「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」
高校入試に影響する?神奈川県の例を解説

神奈川県の公立高校入試では、「主体的に学習に取り組む態度」が第2次選考の選考資料として使われています。評価のA・B・Cは、点数に換算されたうえで合否判定に反映される仕組みです。
神奈川県では「主体的に学習に取り組む態度」を第2次選考で使用
神奈川県の公立高校入試(共通選抜)は、第1次選考と第2次選考の2段階で行われる仕組みです。第1次選考では、中学2・3年生の評定(内申点)と学力検査の結果をもとに、募集人員の90%までを選考します。残りの枠を決める第2次選考では、内申点の代わりに中学3年生の「主体的に学習に取り組む態度」の評価が加わります。
評価A・B・Cは高校入試でどう換算される?
第2次選考では、9教科それぞれの「主体的に学習に取り組む態度」について、Aを3点、Bを2点、Cを1点として合計し、27点満点で点数化します。この点数を100点満点に換算したうえで、学力検査の結果と組み合わせて選考に使用します。
参照:神奈川県「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」
学力検査と態度評価の比率は高校ごとに設定されており、比率の合計が10になるよう定められています。志望校によって重みづけが異なるため、事前に確認しておくと安心です。神奈川県の内申点の仕組み全体については、こちらの記事で詳しく解説しています。
他の都道府県では扱いが異なるため確認が必要
「主体的に学習に取り組む態度」を高校入試にどう使うかは、都道府県によって扱いが異なります。神奈川県のように点数化して選考資料に用いる地域もあれば、内申点の算出過程に含める形で間接的に反映する地域もあります。
志望校がある都道府県の教育委員会が公表する募集要項を確認し、実際の扱いを把握しておくことが大切です。
主体的に学習に取り組む態度を高めるには?

「主体的に学習に取り組む態度」を高めるには、評価を意識したテクニックよりも、学び方そのものを見直すことが近道です。ここでは、家庭で意識したい5つのポイントを紹介します。
わからない問題に粘り強く取り組む
わからない問題に出会ったとき、すぐにあきらめず、別の解き方や調べ方を試してみることが、粘り強い取組として評価される姿につながります。家庭では、答えをすぐに教えるのではなく、子どもが自分で試行錯誤する時間を見守ることが助けになります。
間違えた理由や学習方法を振り返る
テストや問題演習で間違えたときに、どこでつまずいたのかを振り返る習慣は、自己調整の力を育てます。間違えた原因を確認せずに次に進んでしまうと、同じつまずきを繰り返しやすくなります。
自分に合った勉強方法へ修正する
振り返りをもとに、自分に合った勉強方法へ少しずつ修正していく姿勢も、評価の対象になり得ます。たとえば、暗記中心のやり方で覚えられなかった単元があれば、図で整理する、声に出して確認するなど、方法を変えてみるとよいでしょう。
提出物や振り返りは「出すだけ」で終わらせない
提出物や振り返りシートは、出すこと自体が目的ではありません。何をどう考えて取り組んだのかが伝わるように書くことで、学びの過程が評価に反映されやすくなります。
書くときは、次の3点を意識するとよいでしょう。
- できなかったことを具体的に書く
「難しかった」ではなく、「分数のわり算で、逆数にするのを忘れた」のように書く
- 原因を書く
「計算の手順を覚えていなかった」など、なぜそうなったかを書く
- 次にどうするかを書く
「次は手順を確認してから解く」など、改善の方法を書く
たくさん書けば評価が上がるわけではありません。短くても、この3点がそろっていれば学びの過程は十分に伝わります。
評価に疑問があるときは学校に確認する
評価の根拠がわからず疑問を感じたときは、家庭だけで悩まず、担任の先生に確認してみることをおすすめします。評価の考え方について学校に確認することは、特別なことではありません。
主体的に学習に取り組む態度についてよくある質問

ここでは、「主体的に学習に取り組む態度」について、よくある疑問に答えます。
おとなしい子や発言が少ない子は評価が下がる?
発言の少なさだけで評価が下がるわけではありません。授業中のノートやプリントへの書き込みも、評価の材料になるためです。
たとえば、間違えた問題の横に「どこでつまずいたか」「次はどう解くか」を書き添えておきます。こうした記述があると、粘り強く取り組む姿や学び方を調整する姿を、先生が見取りやすくなります。授業中に発言できなくても、書いて残すことで考えた過程を伝えられます。
提出物を忘れるとCになる?
提出物を1回忘れたからといって、すぐにCと判断されるわけではありません。評価は、単元や学期を通じた複数の材料から総合的に判断されるためです。
ただし、忘れることが続くと、学習の過程を確認する材料が不足し、評価に影響しやすくなります。忘れたことに気づいたら、早めに先生に相談するとよいでしょう。
塾や家庭学習も評価される?
学校の評価は、あくまで授業や学校内での学習状況をもとに行われます。塾での学習内容が直接評価に反映されるわけではありませんが、家庭や塾で身につけた振り返りの習慣が、授業中の取り組み方に表れることはあります。
小学校・中学校・高校で評価方法は違う?
評価の観点自体は小学校・中学校・高校で共通していますが、評価の材料や記録の仕方は学校段階によって異なります。
高校では、観点別評価をもとにした評定が調査書に記載され、大学入試の学校推薦型選抜や総合型選抜などで活用されます。学年が上がるほど、評価が進路に関わる場面が増えていくといえます。
まとめ 「主体的に学習に取り組む態度」は評価基準を知って正しく向き合おう

「主体的に学習に取り組む態度」は、発言の多さや提出物の量ではなく、学習に粘り強く取り組み、自分の学び方を振り返って調整しようとする姿勢を見る評価観点です。テストの点数がよくても、この観点の評価がBやCになることはあり、内申点や高校入試に影響する場合もあります。
次期学習指導要領では、評定への反映方法を見直す方向で議論が進んでいます。ただし2026年9月時点ではまだ検討段階であり、主体性そのものを評価しなくなるわけではありません。
子どもの評価に疑問を感じたときは、「もっと手を挙げなさい」と伝える前にできることがあります。間違えた理由を一緒に振り返ったり、担任の先生に評価の根拠を確認したりすることから始めてみてください。それが、評価を通じて子どもの学び方そのものを支えることにつながります。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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