共通テストのボーダーはあてにならない?「当たる・外れる」で見ない正しい読み方
「志望校のボーダーを少し下回ったけれど、もう厳しいのだろうか」と不安になっていませんか。SNSや知恵袋では「共通テストのボーダーはあてにならない」という声も見かけます。
結論から言うと、ボーダーはあてにならない数字ではありません。ただし、超えれば合格、下回れば不合格という絶対的な線でもないのです。
ボーダーは予測値なので、試験の難易度や志望者の動きによって実際の結果とズレることがあります。また、国公立大学では二次試験も最終合否に関わるため、共通テストの得点だけでは結果を言い切れません。この記事では、ボーダーが「あてにならない」と言われる理由と、出願前に確認したいポイントを整理します。
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目次
共通テストのボーダーは「あてにならない」?合否を決める数字ではない

まず押さえておきたいのは、ボーダーは大学が設定した合格基準ではないということです。河合塾では、合格可能性50%をボーダーラインとしています。
つまり、ボーダーは「ここを超えれば合格」という点数ではありません。受験データなどから予備校が算出した、難易度の目安です。
ボーダー得点率の詳しい意味や計算方法は、以下の記事で解説しています。
「あてにならない」は「見る意味がない」ということではない
「あてにならないなら、ボーダーなんて見なくていいのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、ボーダーにはきちんとした役割があります。
ボーダーから分かるのは、志望大学でどの程度の共通テスト得点が求められそうかという水準です。自分の得点がその水準から大きく離れているか、近い位置にいるかもつかめます。
反対に、ボーダーだけでは分からないこともあります。自分が実際に合格するかどうかや、二次試験を含めた最終結果は判断できません。今年の実際の合格最低点も、ボーダーからは読み取れないのです。
ボーダーは「役に立たない数字」ではなく、「分かる範囲が限られている数字」です。
何が分かり、何が分からないのかを区別して見ることが、ボーダーとうまく付き合う第一歩になります。
ボーダーの上下だけでは合否は決まらない
受験生がもっとも気になるのは、ボーダーとの上下で合否が決まるのかという点でしょう。
ボーダーを超えても合格が確定するわけではなく、下回っても不合格が確定するわけではありません。
ボーダーは合否の境界線ではなく、あくまで合格可能性の目安です。上か下かという事実だけでは、結果までは言い切れないのです。
共通テストのボーダーが「あてにならない」と言われる4つの理由

ボーダーが「あてにならない」と感じられるのは、数字そのものが無意味だからではありません。ボーダーが予測値であり、実際の入試までに動く要素がいくつもあるからです。
ここでは、ボーダーと実際の結果がズレる理由を4つに分けて見ていきます。
① ボーダーは実際の合格点ではなく予測値だから
まず押さえたいのは、ボーダーと実際の合格最低点は別物だという点です。
ボーダーは、その時点で得られるデータから合格可能性を推定した数字です。河合塾は、前年度の入試結果や募集人員・入試科目、模試志望者の動向などを分析して設定しているとしています。
一方、合格最低点は入試を実施したあとに判明する結果です。
ボーダーは予測値なので、実際の入試結果と完全に一致するとは限りません。
入試後に合格最低点とボーダーを並べて「当たった・外れた」と比べるのも、同じ理由で適切ではないでしょう。特に国公立大学では、大学が公表する合格最低点が二次試験を含めた総合点の場合もあります。比べる前に、それぞれが何の点数なのかを確認しましょう。
② 共通テストの難易度や得点分布が毎年変わるから
前年のボーダーがそのまま今年に当てはまらない理由の一つが、共通テストの難易度の変化です。
河合塾は、ボーダー得点(率)の設定基礎は前年度の共通テスト本試験であり、問題の難易度の変化により変動すると説明しています。
共通テストは、年によって全体が難しくなったり易しくなったりします。科目ごとに難易度が大きく変わる年もあり、平均点も毎年同じではありません。
さらに、平均点だけでなく得点分布も重要です。得点分布とは、受験生の点数がどの範囲にどれくらい集まっているかを示すものです。
平均点が下がっても、上位層の得点はあまり変わらない年もあります。志望大学を受ける層の点数がどう動いたかで、ボーダーへの影響は変わるのです。
同じ大学・学部でも、その年の試験の状況によって求められる得点の水準は動きます。
③ 志望者数や出願先が共通テスト後にも変わるから
ボーダーとのズレには、受験生の行動の変化も関わります。共通テストのあとには、多くの受験生が出願先を見直すからです。
たとえば、自己採点の結果を見て第一志望を変える人がいます。想定より点が高かった人が、より難しい大学へ志望を上げることもあるでしょう。
点数が想定より低く、出願先を変える人もいます。試験が難しかった年や易しかった年には、特定の大学・学部に志望者が集中したり、分散したりすることもあるのです。
共通テスト前に予想されていた状況と、実際の出願状況が一致するとは限りません。
志望者の動きが変われば、実際の競争の厳しさも変わります。こうした変化をすべて事前に織り込むことは、どの予測でも難しいのです。
④ 国公立は共通テストだけで最終合否が決まらないから
国公立大学の一般選抜では、共通テストと二次試験(個別学力検査)を合わせて合否を決める方式が多く見られます。
そのため、ボーダー以下の得点でも、二次試験の結果などによって合格する場合があります。逆に、ボーダー以上の得点があっても、不合格になることもあるのです。
国公立大学では二次試験も合否に含まれるため、共通テストのボーダーだけでは最終結果を予測できません。
二次試験を含めて出願前に何を確認すればよいかは、後ほど詳しく紹介します。
共通テスト前と後でボーダーの見方を変えよう

共通テスト前に大学情報サイトなどで確認するボーダーと、共通テスト後に得られる自己採点集計や判定情報では、見る目的が異なります。共通テスト前と後では、ボーダーを見る目的や、一緒に確認すべき情報が変わると考えましょう。
共通テスト前後で、何をどう見ればよいかを次の表にまとめました。
| 見る時期 | 主な使い方 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 共通テスト前 | 目標点や志望校との距離を見る | 実際の合否を決める線とは考えない |
| 共通テスト後 | 試験後の最新情報と合わせて状況を見る | 試験前の古い数字だけで判断しない |
表のとおり、共通テスト前のボーダーは「目標」として使い、共通テスト後は最新の情報を加えて現状を確認します。ここからは、それぞれの見方を詳しく説明します。
共通テスト前は「目標点」の目安として見る
夏や秋に大学情報サイトなどで見るボーダーは、受験勉強の目標として使うのが中心です。「この大学を目指すなら、共通テストで何割を目標にするか」を考える材料になります。
共通テスト前の時点では、本番の試験はまだ行われていません。実際の難易度や平均点、今年の受験生の得点分布も確定していない状態です。
共通テスト前のボーダーは、今年の合格ラインではなく「目指す水準の目安」です。
とはいえ、参考にならないわけではありません。志望校との距離をつかみ、科目ごとの目標点を立てるうえで役立つ数字です。
共通テスト後は試験前のボーダーだけで判断しない
共通テストが終わると、試験前にはなかった情報が一気に増えます。
実際の問題の難易度や、自分の自己採点結果が分かります。受験生全体の得点状況や、最新の志望動向も見えてくるでしょう。
そのため、試験前に見た数字との差だけで結論を出すのは避けたいところです。「秋に見たボーダーは75%、自己採点は74%だから無理だ」と考えるのは早すぎます。
共通テスト後は、試験前のボーダーだけではなく、最新の情報とあわせて状況を確認しましょう。
共通テスト後の判定結果やリサーチの具体的な見方、出願の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。
共通テストのボーダーでやりがちな3つの読み違い

ボーダーの仕組みが分かっても、実際に数字を見るとつい間違った読み方をしてしまうものです。ここでは、受験生がやりがちな3つの読み違いと、その直し方を紹介します。
「1%上なら安全、1%下なら厳しい」と考える
ボーダーと自分の得点が近いときほど、「超えたか、下回ったか」が気になります。
たとえば、ボーダー75%に対して自己採点が74%だったとします。反対に、76%だった場合を考えてみてください。
74%なら「もう厳しい」、76%なら「これで安心」と受け止めたくなるでしょう。しかし、1%上だから安全、1%下だから厳しいと一律には判断できません。
ボーダーは予測ラインなので、得点が近いほど上下の二択では判断しにくくなります。わずかな差だけを見て、結論を急がないことが大切です。
前年のボーダーを今年の合格ラインだと考える
志望校を調べるとき、前年のボーダーを見て「今年もこの点数が合格ライン」と受け取ってしまう人は少なくありません。
前年のボーダーは、今年の合格ラインとして使うのではなく、志望校のおおまかな難易度をつかむ材料として使いましょう。
受験勉強中であれば、目標得点を考える際の参考にもできます。
共通テストが終わったら、前年の数字にこだわる必要はありません。今年の試験結果や最新の判定情報に置き換えて考えることが大切です。
平均点が下がった分だけボーダーも下がると考える
共通テストの平均点が前年から大きく下がると、「その分ボーダーも下がるはず」と考えたくなります。
たとえば数学Ⅰ・数学Aでは、2021年度に57.68点だった平均点が、2022年度には37.96点まで下がりました。
参考:共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)|大学入試センター
しかし、平均点が約20点下がったからといって、各大学のボーダーも同じだけ下がるわけではありません。
ボーダーへの影響は、志望大学を受ける層の得点がどう動いたかや、志望動向にも左右されます。平均点の変化だけで、今年のボーダーを予測しないよう注意しましょう。
過去の平均点の動きを詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
ボーダー付近で出願を考えるときに確認したい3つのポイント

ボーダー付近だった場合は、出願前にボーダー以外の条件も確認しておきましょう。ここでは、志望校の募集要項や過去問で確認できる3つのポイントを紹介します。
二次試験との配点比率を確認する
国公立大学では、共通テストと二次試験の配点の割合が大学・学部ごとに異なります。
共通テストの比重が高い大学では、共通テストでの数点の差が総合点に響きやすくなります。二次試験の比重が高い大学では、その差が総合点に占める割合は相対的に小さくなるでしょう。
ボーダーとの差がどれだけ重いかは、志望校の配点比率によって変わります。
配点は、各大学が公表する募集要項で確認できます。ただし、二次試験の比重が高いからといって、必ず差を取り戻せるわけではない点には注意が必要です。
二段階選抜の有無を確認する
二段階選抜(第一段階選抜)とは、志願者が多い場合などに、共通テストの成績で二次試験の受験者を絞り込む仕組みです。
二次試験で巻き返したいと考えていても、第一段階選抜を通過できなければ、二次試験を受けることができません。
募集要項で、第一段階選抜の有無や実施条件を確認しましょう。なお、第一段階選抜の基準とボーダーは別物です。
二次試験の過去問で現在地を確認する
あわせて、二次試験の過去問にどの程度対応できているかも確認しておきましょう。ボーダーを下回っていても、二次試験で必要な得点を取れる見込みがあるかによって判断は変わります。
二次試験でどれだけ得点できるかは、過去問を実際に解いてみないと分かりません。
1年分だけで判断せず、複数年度の問題に取り組んでみることが大切です。
ボーダーとの差をどう判断するかや、判定結果を出願にどう生かすかは、以下の記事で詳しく解説しています。
共通テストのボーダーが「あてにならない」に関するよくある質問

ここでは、「ボーダーは結局どこまで信用できるのか」という細かな疑問に短く答えます。
河合塾の共通テストボーダーはどのくらい信用できますか?
河合塾のボーダーは、志望大学との距離を見る目安の一つとして利用できます。ただし、個々の受験生の最終合否を保証する数字ではありません。
河合塾は、前年度の入試結果や模試志望者の動向など、さまざまな要素を分析してボーダーラインを設定しています。
「どの予備校なら信用できるか」より、ボーダーが何を示す数字かを理解することが重要です。
ボーダーぴったりなら合格可能性は50%と考えていいですか?
「合格可能性50%のライン」を、自分個人の合格確率がちょうど50%という意味で受け取るのは適切ではありません。
ボーダーは、多くの受験生のデータをもとに設定された判定上の目安です。個人の最終合否には、二次試験の出来などほかの要素も関わります。
「50%」は、その受験生個人の合格確率を正確に示した数字ではなく、判定上の目安です。
予備校によってボーダーが違うのはなぜですか?
各社では、利用するデータや判定方法が同一ではないため、数値が一致しないことがあります。
数字が違うこと自体は、「どれもあてにならない」という証拠ではありません。
算出の前提が違えば、予測値に差が出るのは自然なことです。どれか一つだけを「正解」と決めるのではなく、各社の基準を確認したうえで目安として使いましょう。
まとめ 共通テストのボーダーは「当たる・外れる」で見ない

共通テストのボーダーは、合否を決める絶対的な線ではありません。限られたデータから今後の入試結果を予測する数字である以上、難易度や志望者の動きによって実際の結果とズレることがあります。国公立大学では二次試験も合否に関わるため、なおさらボーダーだけで結果は言い切れないのです。
だからといって、ボーダーを下回ったら不合格と決めつける必要はありません。かといって、あてにならないから無視してよい数字でもないでしょう。ボーダーは、自分が志望校に対してどの位置にいるかを知るための目安です。
ボーダー付近で出願を迷う場合は、差だけで結論を出さず、二次試験や第一段階選抜など入試方式も含めて判断しましょう。
執筆者プロフィール
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