転塾のタイミングはいつ?成功と失敗ケースや学年ごとの注意点も紹介
編集部
塾選(ジュクセン)編集部
「思っていた以上に成績がアップしない」「講師との相性が悪い」などの理由から、これまで通っていた塾を変更する、つまり転塾を考えている人もいるのではないでしょうか。 確かに塾と一口にいってもそれぞれに特徴は異なるため、転塾することによって成績がアップする可能性も出てくるでしょう。しかし中には転塾で失敗したケースもあるので注意が必要です。今回は成功する転塾のポイントについて、成功と失敗ケースを挙げながら紹介します。
転塾の失敗/成功の事例
これから転塾を考えている人にとって参考にしたいのが、転塾に関する失敗例と成功例。どのような点で失敗したのか、そしてどのような点で成功できたのかを知ることで、上手な転塾のヒントが得られるはずです。ここでは、失敗ケースと成功ケース、それぞれを見ていきましょう。
失敗してしまったケース
【転塾の失敗例①】
ある保護者Aさんは、中学受験を目指す子どものB君を集団型の学習塾に通わせていましたが、思ったように成績が上がりませんでした。そのため個別指導塾へ転塾。模擬試験の成績もアップしたように見えましたが、志望校の入試問題にチャレンジすると全く歯が立ちません。
実は転塾した個別指導塾は易しいレベルの問題集を使用し、また受験者全体の偏差値が高くない模擬試験を受験させていたのです。
【転塾の失敗例②】
もう一つのケースは、子ども自身はこれまでの塾に通い続けたかったにも関わらず、保護者が無理に転塾させてしまった事例です。子どもが転塾に納得していなかったため転塾後に本人のモチベーションが下がり、成績は上がりませんでした。
成功したケース
もちろん転塾して成功したケースもあります。
【転塾の成功例①】
中学受験を目指していた小学生Cさんは受験勉強のため、進学塾へ通塾をしていました。しかし基礎理解が足りていなかったことから授業に付いていけず、成績向上どころか次第にCさん自身のやる気も低下。そこで転塾を検討し、通っていた塾には基礎理解に重点を置いたコースがなかったため、補習塾に転塾したことで少しずつ成績が上がっていきました。
【転塾の成功例②】
もう一つの成功したケースは子ども自身が「塾を辞めたい」と話している場合です。中学生のDさんは塾の雰囲気や授業内容、友達との関係などが上手くいかず、塾に通うこと自体がストレスになっていました。
体験授業を経て選んだ転塾先は居心地が良く、意欲的に通えるようになったことにより、勉強へのモチベーションが上がりました。
転塾を成功させるためのポイント4つ
前述したように転塾は必ずしも上手くいくとは限りません。「成績アップを目的として転塾をしたのに、子どもの学習意欲が下がってしまった」など、逆効果となる場合もあることを理解しておきましょう。転塾を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
関連記事として、下記の小中高それぞれの塾選びのポイント解説記事もぜひ参考にしてみてください。
・【2024年】中学生におすすめの学習塾22選!塾選びの方法や特徴を徹底解説
・【2024年最新】大学受験塾のおすすめ20選!いつから通うべき?費用まで紹介
それでは、転塾を成功させるためのポイントを全部で4つ見てきましょう。
point1: 転塾の理由を明確にする
1つ目のポイントは転塾の理由を明確にすることです。
転塾を考えるからには、それなりの理由があるはず。理由を明確にさせることで、理由に対して満たしてくれる塾はどのようなところなのかが分かり、転塾先を選ぶ基準が分かるようになるでしょう。
「宿題が多くて負担だった」「講師が厳しくて、通うのが辛かった」「難関校の受験対策をしたかったけど、レベルに見合ったコースがなかった」など、箇条書きで構わないので整理してみてください。
point2: 転塾先に求めることを明確にする
2つ目は転塾先に求めるものを明確にすることです。転塾したい理由をベースとして、転塾先に何を求めるのかを考えてみましょう。
もちろん求めているもの全てを充足してくれる塾があれば良いですが、現実的には難しいところ。求めているものの中から、さらに優先順位を付けてみるとスムーズに塾選びが進みます。
「5教科指導してくれるとうれしいけど、最優先の課題は苦手科目の克服」「進路相談などのサポート体制は絶対に必要」など、優先順位を付けながら求めるものを明確にしていきましょう。
point3: 集団型と個別型、どちらのタイプが子どもの性格に合っているかを考える
塾は大きく集団型と個別型の2種類に分けられます。
集団型は複数の生徒が同じクラスで一緒に授業を受けるスタイルで、ちょうど学校の授業と同じような感覚ですね。他の子どもとの競争意識が高まり、「他の生徒には負けたくない!」と学習意欲を上げられる子どもがいる一方、集団行動や競争が苦手な子どもにとってはストレスとなってしまう可能性もあるでしょう。
個別型は生徒一人ひとりのペースで学習できるのが魅力です。苦手科目の克服や先取り学習をしたい子ども、集団型では恥ずかしくて質問しにくいような子どもにピッタリですね。しかし他の子どもたちとの競争意識が働きにくいことから、子どもによっては高い学習意欲を持てないようなことも考えられます。
子どもがどのような性格を持っているのか、集団型と個別型のどちらで能力を大きく発揮できそうなのかを考えておきましょう。
point4: 気になる塾に直接話を聞いてみる
転塾の前には、候補としてあがっている塾に直接話を聞きにいきましょう。体験授業や授業見学はほとんどの塾が実施しているため、ぜひ積極的に参加してみましょう。
資料や評判だけではわからない塾の雰囲気を直接知ることで入塾後のミスマッチを防げるとともに、体験授業後に入塾後の具体的な相談をできることも多いため、疑問点などを事前に解消できます。
転塾のメリット2選!
続いては転塾のメリットを全部で2つ紹介します。
モチベーションが上がる
まずは勉強に対するモチベーションが上がることです。子どもによっては塾で一生懸命頑張っているつもりでも、思ったように成績が上がらないこともあるでしょう。
「授業は休まずに出席している」「塾で課された宿題は、夜遅い時間までかかっても終わらせている」など、多大な努力を続けても結果が出ないのはとても辛いこと。勉強に対するモチベーションが下がり、さらに成績が下がるなどの悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
転塾がモチベーションアップに効果をもたらすケースは少なくありません。環境をリセットすることで気持ちが一新され、「よし、やるぞ!」とモチベーションを上げて前向きに勉強に取り組めるようになるでしょう。
成績が伸びる可能性がある
転塾することで成績が伸びる可能性も出てきます。
成績を効果的にアップさせるためには、一人ひとりの学力に合ったレベルの授業を受けること、そして一人ひとりの性格に合わせた指導を受けることが大切です。例えば学校の授業理解も満足にできていないのに、受験対策に特化した塾へ通っても成績はなかなかアップしないでしょう。また内気な性格の子どもが厳しく、スパルタタイプの講師の指導を受ければ、萎縮して学習意欲が低下するかもしれません。
子どもの学力や学習ニーズ、性格などにピッタリ合った塾が見つかれば、いまよりも成績が伸びる可能性は十分あることです。
転塾のデメリット3選!
さまざまなメリットがある転塾ですが、もちろんデメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
塾に慣れるまでに時間がかかる
転塾をするということは、これまでとは全く違った学習環境にゼロから入るということ。教室の雰囲気やカリキュラム、授業の受け方、講師との相性、そして他の塾生との関係など、ほとんど全ての面において変化が生まれます。
新しい塾の雰囲気や仕組みに慣れるまで、どのような子どもであってもある程度の時間は必要となるはず。そのため目に見えて分かる成果が出るまで、時間を必要とすることも理解しておきましょう。
勉強嫌いになる可能性がある
2つ目のデメリットは、余計に勉強が嫌いになる可能性があることです。
「勉強に対して意欲的でなかったことから転塾をしたけれど、新しい塾の方がもっと相性が悪く、転塾前よりも勉強が嫌いなってしまった」などのケースは十分考えられることでしょう。せっかく前向きな理由で転塾したのに、転塾前よりも状況が悪くなってしまうのは避けたいところですよね。
学習に穴が生じてしまう
転塾にともなって、学習に穴が生じる可能性があることも頭の中に入れておきましょう。前に通っていた塾ではまだ習っていなかった学習項目が、新しい塾ではすでに終わっていたようなケースです。子どもによっては授業に追いつくまで苦労をするかもしれません。塾によっては補習などでカバーしてくれることもありますが、入塾時面談でカリキュラムやサポート体制などについて相談をしておくと安心です。
転塾するなら、どの時期?2つのタイミングとポイント
転塾にはピッタリなタイミングがあります。全部で2つのタイミングをチェックしていきましょう。
学期が変わるタイミング
まずは学期が変わるタイミングです。1学期から2学期、そして2学期から3学期に変わるタイミングで転塾を検討してみてください。
多くの学習塾では学期が変わるタイミングで季節講習を開催しているため、気になる塾の講習に参加をして教室の雰囲気や授業を実際に体験できるでしょう。
学年が変わるタイミング
2つ目は学年が変わるタイミングです。多くの学習塾では新しい学年がはじまる時期に、新しい子どもが入塾してくることが少なくありません。同じような状況にある子どもがたくさんいるため、早く塾に馴染めるでしょう。
転塾したいと思っても半年間は様子を見る
「成績がアップしない」「授業に付いていけない」「講師と上手くコミュニケーションが取れない」と通っている塾に不満があっても、入塾してから半年間は様子を見るのがおすすめです。
塾に慣れて、学習の成果が出始めるまでには3ヶ月~半年ほどかかるといわれています。余程の事情がない限りは、半年ほどは転塾をしないで様子を見るようにしましょう。
受験本番の1年前までには転塾を終わらせる
もし中学受験や高校受験、大学受験などをする場合、受験の1年前までには転塾を終わらせておきましょう。先に述べたように新しい塾の環境に慣れるまでは、どのような子どもでもある程度の時間が必要です。
受験学年スタートからは受験対策に集中できるように、受験1年前までには転塾を済ませておくことが大切です。
下記記事では、小・中・高それぞれのおすすめ塾を紹介しています。転塾を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
・小学生向けのおすすめ学習塾を紹介!特徴・費用・サポート体制も比較チェック
・中学生(高校受験)向けのおすすめ学習塾12選!特徴・サポート体制も比較
・高校生向け(大学受験)のおすすめ塾・予備校13選!特徴・サポート体制も比較チェック
転塾する上での注意点3つ!
最後に転塾する上での注意点を紹介します。
親が勝手に決めない
1つ目は親が勝手に決めないことです。特に受験対策をするために通塾をするケースでは、親が子ども以上に熱心になっているケースが少なくありません。親が「子どものため」と思って考え、積極的に行動すること自体は決して悪いことではないものの、塾に通って勉強をするのは子ども自身です。
失敗ケースでも紹介したように、親が子どもの意見や気持ちを無視して勝手に転塾を決めてしまうと、子どもの学力アップにはつながらないでしょう。親が子どもにピッタリだと思う塾を探すのは良いですが、転塾するかどうかの最終判断は子どもにさせるようにしてください。
子ども自身に原因がないかを考える
「成績が一向に上がらない」ことから転塾を考える人がいますが、成績が上がらないなどの原因が現在通っている塾ではなく、子ども自身にないかどうかも考えてみましょう。
もしかすると塾の学習指導が悪いのではなく、子ども自身に学習意欲がなかったり、塾で課された宿題に取り組んでいなかったりすることも考えられます。
子ども自身に原因がある場合は転塾しても課題は解決せず、さらに環境が大きく変わることからのリスクも発生するかもしれません。いま通っている塾にとどまって、解決できる方法を探してみましょう。もし塾のスタッフや講師に相談できる体制があれば、ぜひ相談をしてアドバイスや協力を仰いでください。
転塾を繰り返さない
最後は「何度も転塾は繰り返さない」ことを前提に、次に通う塾を探すことです。
転塾は子どもにとって大きな負担となるもの。1年に何度も環境が変わってしまうのは決して良いこととはいえません。もちろん「1回転塾したけれど、新しいところがどうしても合わなかった」という場合は、もう一度転塾しても良いでしょう。
転塾ありきで、安易に次の塾を探すのはリスクを伴うことを忘れずに、子どもに合った塾を真剣に探すようにしてください。
まとめ
転塾は安易に行うと失敗することが少なくありません。転塾したい理由と転塾先に求める理由を明確にし、一人ひとりの子どもにピッタリなタイミングで行うことが大切です。
今回紹介したポイントなどを参考にして、子どもの目的を達成できるような塾を見つけてくださいね。
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執筆者プロフィール
塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。