高校で留年する条件とは?赤点で進級できない?回避策や救済措置、進学・就職への影響
「子どもが留年するかもしれない」と学校から伝えられ、不安を感じている保護者の方もいるでしょう。
高校の留年とは、欠席や成績不振で進級の条件を満たせず、同じ学年をもう一度学ぶことです。ただし、赤点や欠席があっても、追試などの救済措置で回避できる場合があります。留年した場合も、大学進学や就職の道が閉ざされるわけではありません。
「何日休むと留年になる?」「いつ決まる?」「学費や大学受験への影響は?」といった疑問にも、この記事でまとめてお答えします。保護者ができるサポートも紹介します。
編集部
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目次
留年とは?高校で留年する意味と仕組み

留年とは、学年末に進級や卒業が認められず、翌年度も同じ学年にとどまることです。中学校までの義務教育ではほとんど例がありませんが、高校や大学では、出席や成績が基準に届かなければ起こり得ます。
まずは、留年の基本的な仕組みを押さえておきましょう。

留年すると同じ学年をもう一度やり直す
留年は、正式には「原級留置(げんきゅうりゅうち)」と呼ばれます。
高校の進級や卒業は、日ごろの成績をもとに校長が認定します。この認定を受けられなかった生徒が、原級留置となる仕組みです。認定の根拠は、学校教育法施行規則に定められています。
多くの高校では、留年するとその学年の授業をすべて受け直します。すでに単位を取った科目も、もう一度履修するのが一般的です。ただし、扱いは学校によって異なります。
なお、1年生からやり直すわけではありません。すごろくにたとえるなら、スタートに戻るのではなく、同じマスにもう1回とどまるイメージです。
また、高校には学年の区切りを設けない「単位制」の学校もあります。単位制の高校には、学年ごとの留年がありません。ただし、必要な単位を期限内に取れなければ、卒業が延びます。
高校で留年になる条件は?欠席日数や赤点との関係

高校で留年になるかどうかは、主に出席と成績の状況で判断されます。その基準は国が一律に決めているわけではなく、各高校の学則や規程で定められています。
ここでは一般的な考え方と、留年が決まるまでの流れを紹介します。
欠席・欠課が多く、必要な授業を履修できない
高校の単位は、「履修(りしゅう)」と「修得(しゅうとく)」の2段階で認められます。履修とは、授業に一定以上出席して学ぶことです。修得とは、そのうえで試験などの成績が基準に達し、単位が認められることを指します。
参照:文部科学省参照「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」
欠席が多いと、成績にかかわらず、履修そのものが認められません。判断の目安になるのが「欠課時数(けっかじすう)」です。欠課時数とは、科目ごとに授業を欠席した時間数のことです。多くの高校では、欠課時数が授業時数の一定の割合を超えると、その科目の履修を認めないと定めています。
「何日休むと留年になるか」は、日数だけでは判断できません。出席日数の基準を設ける学校もありますが、基本となるのは科目ごとの時間数です。
例えば、週2時間の科目は年間で約70時間あります。欠課の上限を3分の1とする学校なら、約23時間を超えると履修が認められません。この科目を毎週1時間ずつ休むと、半年ほどで上限に達する計算です。
遅刻や早退も、欠課として数えられる場合があります。休みが特定の曜日に偏ると、その曜日の科目だけ上限に達することもあるでしょう。
赤点や成績不振で単位を修得できない
授業に出席していても、成績が基準に届かなければ単位は修得できません。この基準を下回る成績が、いわゆる「赤点」です。多くの高校では、5段階の評定で「1」がつくと、その科目の単位が認められません。
単位を落とした科目があっても、すぐに留年が決まるわけではありません。進級できるかどうかは、学年全体の成績で判断されます。「単位を落とした科目が一定数を超えたら留年」「必修科目を1つでも落としたら留年」など、基準は学校によりさまざまです。
また、評定は定期テストの点数だけで決まるわけではありません。提出物や授業への取り組みも評価の対象です。テストで赤点を取っても、ほかの評価で補える場合があります。
高校の留年はいつ決まる?
留年が正式に決まるのは、多くの場合、学年末の2~3月です。学年末の成績がそろった後、教員が集まる「進級判定会議(成績会議)」で審議し、最終的に校長が認定します。
ただし、学年末に突然決まるわけではありません。多くの高校では、学期末ごとに成績や欠課時数を確認し、心配のある生徒の保護者に連絡します。「このままでは進級が難しい」と伝えられた時点は、まだ判定前の段階です。
留年は何回まで?何年まで高校に通える?
留年できる回数や在学できる年数に、全国共通の決まりはありません。上限は各高校の学則で定められています。同じ学年で2回続けて留年した場合や、在学できる年数を超えた場合に退学となる規定を置く学校もあります。
私立高校では、留年が決まった段階で、転校や退学を学校からすすめられるケースもあります。在籍する学校の学則や生徒手帳を確認するか、担任に直接たずねておくと安心です。
留年すると人生終わり?高校留年による影響とデメリット

留年しても、人生が終わるわけではありません。ただし、卒業時期や学費など、事前に知っておきたい影響もあります。気をつけたい点と、心配しすぎなくてよい点を整理しておきましょう。
卒業が遅れ、同級生と学年が変わる
留年すると、卒業は1年遅れます。それまで一緒に過ごした同級生は先に進級し、子どもは1つ下の学年の生徒と同じクラスで学ぶことになります。
子どもにとって負担になりやすいのは、勉強よりも人間関係や周囲の目です。年下のクラスメートの中で居心地の悪さを感じたり、元の同級生と顔を合わせるのを気まずく思ったりすることがあります。ただし、環境の変化をどう受け止めるかは、子どもによって大きく異なります。
留年しても大学受験・進学はできる
大学を受験できるのは、高校を卒業した人などと法律で定められています。留年の有無は受験資格に関係ありません。卒業すれば、共通テストや各大学の入試を同じ条件で受けられます。
一般選抜は、主に学力試験の得点で合否が決まる方式です。そのため、留年の経歴が合否に影響することは基本的にないでしょう。ただし、面接を課す大学・学部では、調査書の出欠の記録などについて質問される場合もあります。
注意したいのは、総合型選抜や学校推薦型選抜です。これらの方式では、高校が作成する調査書(成績や出欠の記録をまとめた書類)が評価に使われます。欠席の多さや評定の低さが、不利に働く場合もあります。推薦を考えている場合は、評定や出欠の条件を早めに確認しておくことが大切です。
学費などの経済的な負担が増える
留年すると、在学期間が1年延びる分、授業料や施設費などの学費が追加でかかります。私立高校の場合、特に注意したいのが「高等学校等就学支援金」です。
就学支援金とは、国が高校の授業料を支援する返済不要の制度です。2026年度からは所得制限がなくなりました。私立高校(全日制)では、年間最大45万7,200円が支給されます。
ただし、支援を受けられる期間は、全日制で最長36か月(3年分)です。留年して在学期間が3年を超えると、4年目の授業料は支援の対象外となります。それまで支援で賄えていた授業料も、4年目は家庭の負担になりかねません。
自治体が独自に行う授業料補助にも、対象期間の条件がある場合があります。留年の可能性がわかった段階で、4年目の学費を学校の事務室に確認しておくと安心です。
参照:文部科学省「高校生の授業料支援制度が新しくなります(令和8年度版)」、東京都教育委員会「高等学校等就学支援金事業について」
留年した場合、将来の就職に影響する?
高校での留年が、将来の就職に直接響くことは多くありません。大学や専門学校に進学した場合、企業の採用で主に見られるのは、最終学歴やその間の経験だからです。
高校卒業後すぐに就職する場合は、学校を通じた求人に応募するのが一般的です。このとき企業には調査書が提出され、欠席状況なども伝わります。面接で留年の理由を聞かれたときに、前向きに説明できるよう準備しておくとよいでしょう。
大切なのは、留年した事実そのものより、その1年をどう過ごしたかです。学び直しや体調の回復など、意味のある期間として説明できれば、マイナスの印象は小さくなります。
高校の留年を回避するには?今からできる対処法

学校から進級が難しいと伝えられても、判定前であれば回避できる可能性があります。大切なのは、現状を正確に把握し、早めに手を打つことです。保護者が取れる行動を順に紹介します。
学校に進級条件や現在の状況を確認する
最初に行いたいのは、担任との面談で、子どもの現状と進級の条件を具体的に確認することです。面談では、次の5つを確認しておくと、今後の動き方を判断しやすくなります。
面談で学校に確認したい5項目
| 確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 科目別の欠課時数と、上限まで残り何時間か | どの科目を優先して出席すべきかがわかる |
| 進級に必要な単位・成績の条件を満たせそうか | 今後の試験で必要な点数の目安がわかる |
| 救済措置(追試・補習など)があるか | 単位を取り戻す手段があるかがわかる |
| 進級・留年はいつ、どのように決まるか | 残された時間と、動くべき時期がわかる |
| 留年が決まった場合の進路や相談先 | 万一の場合も慌てずに選択肢を検討できる |
確認した内容はメモに残し、子どもとも共有しましょう。現状が数字でわかると、本人も何をすべきかを具体的に考えやすくなります。
追試・補習などの救済措置を受けられるか相談する
救済措置とは、単位が認められない可能性のある生徒に、学校が単位を取り戻す機会を与える取り組みの総称です。法律で定められた制度ではないため、内容や名称は学校によって異なります。
代表的なのは、追試と補習です。赤点を取った科目の再試験を受けたり、欠課分を補う補習に参加したりすることで、単位が認められる場合があります。課題やレポートの提出で評価を補う学校もあります。条件付きで次の学年に進む「仮進級」を設けている学校もあるでしょう。
注意したいのは、救済措置を受けても必ず進級できるわけではないことです。対象となる科目数や回数に、上限を設けている場合もあります。また、多くは進級判定の前に行われるため、相談が遅れると機会を逃しかねません。学校から連絡を受けたら、早めに担任へ相談しましょう。
保護者は子どもの気持ちを尊重しながら支える
留年の危機に直面したとき、子ども自身も強い不安や焦りを抱えています。「友達と離れたくない」「自分はだめだ」と、自信を失っていることも少なくありません。責めたくなる気持ちを抑え、まずは本人の話を聞くことから始めましょう。
欠席や成績不振の背景には、勉強のつまずきだけでなく、人間関係の悩みや体調不良が隠れていることがあります。親には言いにくいと感じ、理由を話さない子どももいます。原因がわからないまま登校だけを促すと、かえって子どもを追い詰めてしまいかねません。
原因が勉強の遅れであれば、塾や家庭教師で苦手科目を補う方法があります。心の不調や不登校が背景にある場合は、スクールカウンセラーや自治体の教育相談窓口を頼るのも一つの手です。今後の進路についても、子どもが自分で考え、選べる余地を残しておくことが大切です。
高校で留年が決まったらどうする?その後の進路

留年が決まった後の進路は、大きく「同じ高校に残る」か「別の高校へ移る」かに分かれます。どちらが正解ということはありません。子どもの気持ちや留年の原因に合わせて選びましょう。
同じ高校に残って学び直す
同じ高校に残る最大の利点は、通い慣れた環境で学び直せることです。授業の進め方や教員の顔ぶれを知っているため、学習面では立て直しやすいでしょう。前の年につまずいた単元を、基礎から学び直す機会にもなります。
一方で、留年の原因が人間関係や学校の雰囲気にある場合は、同じ環境に戻ると再び通えなくなるおそれがあります。残るかどうかは、子どもの本音を確かめたうえで判断しましょう。
通信制高校などへの転校を検討する
別の高校へ移る方法には、在学中に手続きする「転入」と、退学後に入り直す「編入」があります。主な移り先は、通信制高校や定時制高校です。
通信制高校は、自宅での学習とレポート提出を中心に、決められた日に登校する仕組みです。多くは単位制のため、学年ごとの留年がなく、修得した単位を積み上げて卒業を目指せます。毎日の通学が負担になっていた子どもや、自分のペースで学びたい子どもに向いています。
注意したいのは、前の高校で修得した単位や在籍期間の扱いです。どこまで引き継げるかは、転校先の学校や課程によって異なります。引き継げる単位が少ないと、元の同級生と同じ時期に卒業できない場合もあります。説明会や個別相談で、卒業できる時期の見込みを必ず確認しましょう。
学費の確認も欠かせません。就学支援金の支給期間は、定時制・通信制では最長48か月です。前の高校の在学期間も通算されるため、残りの支給期間を転校先に確認しておきましょう。
通信制高校からも、卒業すれば全日制と同じ条件で大学を受験できます。進学を希望する場合は、受験指導の体制も学校選びの基準にしましょう。
高校の留年について、よくある質問

留年について、保護者が気になりやすい質問に答えます。
公立高校で留年する確率は?
公立高校で留年する生徒は、全体から見るとごくわずかです。神奈川県の公立高校(全日制)では、2024年度の原級留置者は125人でした。学年制の高校に在籍する生徒約9万6,000人に対する割合は0.13%で、およそ770人に1人の計算です。
私立高校と比べても、割合に大きな差はありません。東京都の私立高校のデータと並べると、次のとおりです。
公立高校と私立高校の原級留置者数と割合(2024年度)
| 区分 | 対象の生徒数 | 原級留置者数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 神奈川県の公立高校(全日制) | 95,908人 | 125人 | 0.13% |
| 東京都の私立高校(全日制・普通科) | 167,706人 | 196人 | 約0.12% |
※東京都の私立高校の割合は、公表された生徒数と原級留置者数から算出
公立・私立のいずれも、留年する生徒は1,000人に1人程度にとどまっています。ただし、進級できずに退学や転校を選んだ生徒は、これらの数字に含まれない場合があります。学年の区切りがない単位制の高校も、この比較には含めていません。
なお、これはあくまで全体の割合で、一人ひとりの生徒が留年する可能性を示すものではない点に注意しましょう。
参照:神奈川県教育委員会「令和6年度 公立高等学校等生徒の異動の状況」、東京都生活文化局「令和6年度における都内私立学校の児童生徒の問題行動・不登校等の実態」
高校の留年は何年生が多い?
留年は、1・2年生に多く見られます。神奈川県の公立高校(全日制)の学年別の人数は、次のとおりです。
神奈川県の公立高校(全日制)の学年別原級留置者数(2024年度)
| 学年 | 原級留置者数 |
|---|---|
| 1年生 | 54人 |
| 2年生 | 61人 |
| 3年生 | 10人 |
| 合計 | 125人 |
1・2年生で全体の9割以上を占めています。理由別では、出席日数の不足による留年が71人で、最も多くなっています。
1年生は、中学校との授業の進み方や評価の仕方の違いに戸惑いやすい時期です。2年生になると学習内容が難しくなり、つまずきが成績に表れやすくなります。
1年生のうちから、出席状況や成績の変化に気を配っておきましょう。
参照:神奈川県教育委員会「令和6年度 公立高等学校等生徒の異動の状況」
高校と大学では留年の仕組みはどう違う?
高校と大学では、留年の仕組みに大きな違いがあります。主な違いを表にまとめました。
高校(学年制)と大学の留年の違い
| 項目 | 高校(学年制) | 大学 |
|---|---|---|
| 進級の判断 | 学年ごとに、全科目の単位と出席状況で判断 | 学年ごとの判定がない大学も多い |
| 留年の主な原因 | 欠席・欠課の多さ、成績不振 | 卒業や進級に必要な単位の不足 |
| 卒業に必要な単位 | 74単位以上の範囲で学校が定める | 大学が定める |
| 留年したときにやり直す範囲 | 原則としてその学年の授業全体 | 単位を取れなかった科目 |
| 在学できる年数の上限 | 学校の規則で決まる | 大学の規則で決まる |
高校の留年は、1つの学年をまるごとやり直す点が大学との大きな違いです。大学では、足りない単位だけを取り直せば済むケースがほとんどです。
参照:文部科学省「平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)」
大学ではどのような条件で留年する?
4年制大学では、卒業に必要な単位を4年間で修得できないと留年となり、卒業が5年目以降に延びます。
大学によっては、学年ごとに進級条件を設けている場合もあります。例えば「3年次までに一定の単位を修得しないと、ゼミや卒業研究に進めない」といった条件です。医学部や薬学部など、学年ごとに進級判定を行う学部もあります。条件は大学・学部ごとに異なるため、入学後に履修要項で確認しておきましょう。
大学で留年したときは就職や内定に影響する?
理由を説明できれば、留年が就職活動で大きく不利になるとは限りません。留学や資格取得など、目的を持った留年であれば、評価される場合もあります。
注意したいのは、内定を得た後の留年です。企業の内定は、卒業を条件としているのが一般的です。卒業できなければ、内定が取り消される可能性があります。卒業が危うい場合は、早めに大学の窓口に相談しましょう。
まとめ 留年の可能性があるときは早めに学校へ相談しよう

高校の留年は、進級に必要な出席や成績の条件を満たせないときに起こります。ただし、その基準は学校ごとに異なり、判定前であれば救済措置で回避できる場合もあります。留年が決まった後も、同じ高校での学び直しや転校など、卒業や大学進学への道は残されているのです。
「留年するかもしれない」と知らされたときに何より大切なのは、早めに動くことです。まずは担任と面談し、欠課時数や進級条件、救済措置の有無を具体的に確認しましょう。そのうえで子どもの気持ちに耳を傾け、本人と一緒に次の一歩を考えていくことが、保護者にできる一番の支えになります。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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