【新課程対応】共通テスト漢文で安定して得点する方法!東大卒ライター監修の対策ガイド
「句法は覚えたのに本文がつかめない」「選択肢を2つまで絞れるのに間違える」そんな悩みはありませんか。共通テスト漢文は、返り点や句法などの知識に加え、人物関係や文章の流れを整理し、本文と選択肢を照合する力が必要です。
この記事では、出題傾向、覚えるべき句法・重要語句、本文の読み方、設問別の攻略法、勉強手順、残り期間別の対策まで解説します。自分のつまずきを確認し、今日から何をすべきか判断できる内容です。
なお本記事は、独自の自習術で東大へ合格し、現在はカルペ・ディエムで教育や勉強法についての講演活動を行う教育ライター・布施川天馬さんの監修のもと、共通テスト漢文の対策法をやさしく紹介します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
布施川天馬
著述家、教育ライター。東京大学文学部卒。 教育メディア「未来図」副編集長。一般財団法人「ドラゴン桜財団」評議員。 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を編み出し、一浪の末東大合格を果たす。著書に最小コストで結果を出すノウハウを体系化した『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』など。株式会社カルペ・ディエムにて、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法」などを伝える。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
目次
【新課程】共通テスト漢文の問題構成と最新動向

漢文の対策を始める前に、まずは配点や平均点、出題される問題の種類を整理しておきましょう。共通テスト漢文がどのような大問で、どこに力を入れるべきかが見えてくると、この後の勉強法にもつながりやすくなります。
共通テスト漢文の設問と、そこで問われる力を簡単にまとめると、次のようになります。
| 主な設問 | 問われる力 |
|---|---|
| 漢字の読み・意味 | 重要語句の知識、文脈判断 |
| 書き下し文 | 返り点、送り仮名、句法 |
| 傍線部解釈 | 句法、主語・目的語の把握 |
| 内容・理由説明 | 人物関係、因果関係の理解 |
| 本文全体の趣旨 | 文章構成、主張の把握 |
| 複数素材の関連づけ | 共通点・相違点の整理 |
この表からも分かる通り、共通テスト漢文は知識を問う設問と読解力を問う設問がバランスよく組み合わされています。単に句法や語句を覚えるだけでなく、それを本文の中で使いこなす力まで求められている点が特徴です。
共通テスト漢文は国語の大問5・45点
共通テスト国語は90分・200点満点で構成されており、漢文はそのうちの大問5にあたり、配点は45点です。国語全体の2割強を漢文が占めているため、この分野を後回しにしてしまうと、総合点への影響が非常に大きくなります。
漢文は対策範囲が比較的明確な分野ですが、「暗記量が少ないから簡単」と考えるのは禁物です。基礎知識を固めたうえで、人物関係や文章の展開を読み取る練習まで積んでこそ、安定した得点につながります。
なお、国語全体の時間配分の中で漢文にどれくらい時間を使うかも、あらかじめ決めておくとよいでしょう。
布施川先生のアドバイス
共通テストの国語は、漢文に限らず、一問一問の配点が非常に高いため、間違えると失点が大きいです。漢文ももちろん、200点満点のうちの45点分と大きな割合を占めており、決して軽視できません。
現代文や古文に比べて後回しにしがちかもしれませんが、出題形式や頻出句法が定まっているため、対策すれば十分に得点を伸ばせます。だからこそ、国語の点数を安定させるためにも、早いうちから対策を始めておかなければなりません。
2026年度の漢文の平均点は23.434点
2026年度(令和8年度)の共通テスト国語における大問5(漢文)は、45点満点中の平均点が23.434点、得点率は52.08%でした。設問によって正答率には大きな差があり、特に問33は正答率17.48%と低く、受験生の多くがつまずいた設問でした。
平均点の低さは、漢文が単純な暗記科目ではなく、知識を本文中で正しく使う力まで問われていることの表れといえるでしょう。基礎知識と解答の手順をきちんと固めておけば、平均点を上回る得点は十分に狙えます。
参考:令和8年度 問題評価・分析委員会報告書(本試験)|独立行政法人大学入試センター
布施川先生のアドバイス
一問一問の配点が高く、少ないミスでも平均点を下回りかねません。重要なのは、前半の句法などの基礎知識を問う問題で間違えないこと。ここで点数を落としてしまうと、後半の難易度の高い問題が解けなかったとき、点数が低くなってしまいます。
まずは基本事項を優先的に頭に入れて、正答率の高い問題は必ず取り切るようにしましょう。
共通テスト漢文では知識問題と読解問題の両方が出題される
共通テスト漢文で高得点を取るには、句法や語句を暗記するだけでは十分ではありません。知識を使って解く問題としては、漢字の読みや意味、返り点、書き下し文、句法を踏まえた現代語訳などが挙げられます。一方で、本文の理解が必要な問題としては、人物の発言や行動の理由、傍線部の内容説明、文章全体の趣旨、複数文章の関連づけなどがあります。
知識問題と読解問題は、句法や語句の知識を使って本文を正確に読み、その内容をもとに選択肢を判断するという一連の流れの中に組み込まれています。句法や語句を「覚える」段階と「本文の中で使う」段階の両方を意識することが、得点アップの近道です。
布施川先生のアドバイス
ある程度知識を頭に入れたら、積極的に読解に取り組みましょう。足りない知識は読解問題で間違えたところから覚えて補っていけばいいのです。そうやって効率よく知識を吸収しつつ、読解にも太刀打ちできるようにしておきましょう。
共通テスト漢文で覚えるべき返り点・句法・重要語句

「何をどこまで覚えればよいか分からない」という悩みは、漢文が伸び悩む大きな原因の一つです。ここでは、漢文読解の土台となる知識を、優先順位と覚え方まで含めて整理します。
返り点と書き下し文の基本ルールを理解する
レ点、一二点、上下点などは、漢文を日本語の語順で読むための基本ルールです。共通テスト対策としては、返り点に従って正しい順番で読めること、送り仮名を補えること、助詞や助動詞を補って書き下せること、そして書き下し文から意味をつかめることの4点を目指しましょう。
選択肢問題では読む順番だけでなく、送り仮名や助動詞が一部異なるだけで意味が変わる場合があるため、文全体を確認する姿勢が欠かせません。返り点の理解が不安な人は、過去問に進む前に短い例文で練習するのが近道です。問題なく書き下せる人は、この段階に時間をかけすぎず、次の句法や読解の練習へ進みましょう。
布施川先生のアドバイス
書き下し文は、中国の言葉を昔の日本人が日本語的に読めるように工夫したもの。つまり、意味を取るために書き下し文にしているのです。
ただルールだけを覚えて、何も考えず読む順番を追いかけるのでは、文章の中身を理解できるようにはなりません。多くの文に触れることで、書き下し文から意味を取る練習をしておきましょう。
頻出句法は例文・読み方・意味をセットで覚える
共通テスト漢文で優先したい句法は、再読文字、否定・二重否定、疑問・反語、使役、受身、比較・選択、限定・累加、仮定、願望・詠嘆です。それぞれについて、漢文表記→読み方・書き下し文→現代語訳→句法を見抜く漢字という流れで覚えることが大切です。
例えば反語であれば、「反語という名称と訳」だけでなく、どの漢字の組み合わせが出たときに反語を疑うのかまで覚えておく必要があります。参考書を眺めるだけで終わらせず、例文を見て句法名・読み方・意味を自分の言葉で再現できるかを確認しながら覚えましょう。
布施川先生のアドバイス
教科書を眺めてなんとなく覚えた気になっているのが一番危険です。どの漢字が使われているとき、どんな条件でどのような意味になるのか、例文にはどのようなものがあったか、白い紙にゼロから書き出してみましょう。
アウトプット形式でテストしてみると、自分が覚え切れていないところが明らかになり、効率的にインプットできます。
漢字の読みと意味は文中で判断できるようにする
漢文には、現代の日本語とは異なる読み方や意味で使われる漢字が数多くあります。漢文特有の読み方をする漢字、現代語とは異なる意味で使われる漢字、文脈によって読み方や意味が変わる漢字の3種類を意識して覚えることがポイントです。
単語カードのように一つの意味だけを覚えるのではなく、短い例文の中でどう使われているかを確認する覚え方が身につきやすさにつながります。同じ漢字でも、句法の一部として使われる場合と通常の語句として使われる場合があるため、前後の語句との組み合わせまで見る習慣をつけましょう。
布施川先生のアドバイス
読み方や意味が変わる漢字には、必ずしも見分け方にテクニックがあるわけではありません。最終的には文脈で見分けることになっていくでしょう。
その練習のためにも、普段から多くの文章に触れておくことが重要です。経験を積めば積むほど、そして頭の中に漢文の文章のストックが増えれば増えるほど、文脈判断の精度が高まっていきますから。
共通テスト漢文で特に覚えたい句法・重要語句
ここでは、特に重要な共通テスト漢文頻出の語句や句法を紹介します。
| 句法・語句 | ポイント |
|---|---|
| 再読文字(未・且など) | 「いまだ〜ず」「まさに〜す」などのように2度読む |
| 否定(不・非・無など) | 「〜ず」「〜なし」「〜あらず」などと読み、否定、部分否定、二重否定がある |
| 使役 | 「〜しむ」と読み、人に何かをさせる意味 |
| 受身 | 「〜る・らる」と読み、される側の視点 |
| 疑問・反語 | 「どうして」という疑問と、「いや〜ではない」の反語がある。反語は後半に主張が出やすい |
| 比較(不若など) | 「しかず」などと読み、「〜に及ばない」の意 |
| 限定・累加 | 「ただ〜のみ」などと範囲を絞る、加える働き |
| 詠嘆 | 感情の高まりを表す言い回し |
句法は基礎的なものから応用的なものまで段階があり、語句は現代語の熟語を手がかりに意味を推測できるものが多く含まれています。
布施川先生のアドバイス
句法だけを覚えようとするのではなく、例文を丸ごと暗記するのがおすすめです。使い方やニュアンスも含めて頭に入るので、定着しやすくなります。また、読解問題を解く中で、理解できなかったものや忘れていたものなどがあれば、すぐに復習しましょう。何度も繰り返し覚えようとすることが大事です。
共通テスト漢文の解き方|本文を読む5つのステップ

句法や語句を覚えても、本文をどう読み進めればよいか分からなければ、知識を得点につなげることはできません。ここでは、問題を開いてから選択肢を決めるまでの流れを、5つのステップとして整理します。
ステップ1|リード文・出典・注釈から場面をつかむ
本文を読み始める前に、まずリード文と出典、注釈を確認しましょう。ここで把握したいのは、登場人物や人物同士の関係、文章の時代や場面、これから起こる出来事の前提、文章のテーマといった情報です。
リード文や注釈は単なる補足ではなく、本文中で省略されている人物や背景を補うための重要な手がかりです。複数の文章が提示されている場合は、出典が同じか、別の人物によるものか、どのような関係にあるのかもあわせて確認しておきましょう。
布施川先生のアドバイス
リード文や出典、注釈など、どれも読み飛ばしがちでしょうが、これらは重要なヒントです。どんな背景のもと生まれた話なのか、いつの時代のものなのかが推測できるだけで、文章の理解度が段違いに深まります。
映画を途中から見始めても、登場人物がなぜ泣いているのか、なぜ怒っているのかがわからないのと同様、一部だけ抜き出された文章を読んでも、状況を正しく想像するのは難しいのです。だからこそ、少しでも情報を集めて読むことが重要になってきます。
ステップ2|設問を確認して問われる内容を把握する
本文を読む前に、設問にも軽く目を通しておきましょう。ただし、すべての選択肢を細かく読み込む必要はありません。傍線部の位置、漢字・書き下し・解釈・理由説明といった設問の種類、複数文章を参照する必要があるか、本文全体を問う問題があるかという点だけを確認します。
先に設問の種類を把握しておくことで、「人物の行動理由を意識して読む」「二つの文章の共通点を探しながら読む」など、本文を読む際の注目点が明確になります。選択肢まで先に読み込みすぎると、誤った内容に引っ張られてしまうことがあるため、この段階では設問の概要をつかむにとどめましょう。
布施川先生のアドバイス
何もわからないまま本文を読み進めるより、どんな問題を問われるのかを知った状態で読んだほうが、どこに注目したらいいかがわかりますよね。これは漢文に限った話ではありませんが、先に問題文や選択肢にざっと目を通しておくテクニックは非常に役に立ちます。
とはいえ、じっくり読んでは時間がもったいないですし、選択肢の言葉に引っ張られて、思い込みから本文を間違って読み取ってしまうかもしれません。あくまで何を聞かれているのかをざっと把握するようにしましょう。
ステップ3|人物・発言者・主語を整理しながら読む
共通テスト漢文で内容を取り違える大きな原因の一つが、主語や発言者の混同です。本文を読みながら、登場人物の名前や呼称、誰が行動したのか、誰が誰に話しているのか、発言の対象は誰か、省略された主語は誰かを整理していきましょう。
人物名に丸をつける、発言者を簡単にメモするなど、問題用紙上でそのまま実践できる方法が効果的です。すべての文を完璧な現代語訳にすることよりも、「誰が・誰に・何をして・どうなったか」を追うことが重要です。主語が省略されている場合は、直前の主語を機械的に当てはめるのではなく、人物の立場や行動、会話の流れから判断しましょう。
布施川先生のアドバイス
まず、読み進める中で、登場人物に丸印をつけていきましょう。何人がその場にいるのかを把握するのです。その上で、誰が何を話しているのか、その人の考え・主張は何なのかを把握します。
これができれば、主語が省略されていても、補うことができるでしょう。とはいえ、読解に慣れていないと難しいので、普段から漢文の読解問題に意識的に取り組む必要があります。
ステップ4|句法と接続関係から文章の流れをつかむ
覚えた句法や重要語句は、本文読解の中で役立ててこそ意味があります。特に注目したいのは、否定・二重否定、疑問・反語、使役・受身、比較・仮定、そして因果・逆接・順接を示す語句です。
句法を見つけたら現代語訳を当てはめるだけでなく、その文が前後の文章に対してどのような役割を持つかまで確認しましょう。反語であれば人物の強い否定や主張、使役であれば「誰が誰に何をさせたのか」、接続語であれば出来事の原因と結果というように、句法から文章の流れを読み取ることができます。
一文ずつ完璧に訳すことに時間をかけすぎず、状況・きっかけから人物の行動や発言、理由、結果・結論へと続く流れをつかむことを優先しましょう。
布施川先生のアドバイス
句法が「句法」として取り上げられて、私たちが勉強しなければならないのは、それが文章の流れを左右する力を持つ重要ポイントだからです。
だから、見覚えのある漢字が出てきたら、そこが文章の転換点であると考え、注意して読み進めましょう。また、句法が出てきたということは、高確率でその文についての設問が出るでしょう。その意味でも、前後の文脈を含めて正確に把握する必要があるのです。
ステップ5|選択肢を要素に分けて本文と照合する
「2択までは絞れるのに間違える」という悩みを解決する鍵が、このステップです。選択肢を一文のまま比較するのではなく、誰が、誰に・何に対して、何をした、何を述べたのか、なぜそうしたのか、どのような結果になったのか、どのような心情・評価だったのかという要素に分けましょう。
そのうえで、各要素が本文と一致しているかを一つずつ確認します。誤答選択肢では、主語や対象が違う、原因と結果が逆になっている、本文にない心情や評価が付け加えられている、一部は正しいが後半が間違っている、「必ず」「すべて」など本文より意味が強くなっている、異なる場面の情報が組み合わされているといったずれがよく見られます。
選択肢の雰囲気や印象で選ぶのではなく、本文のどこが根拠になるかを説明できる選択肢を選ぶことを徹底しましょう。
布施川先生のアドバイス
最後の二択で間違ってしまうのは、よくあることでしょう。ですが、コツを掴めば正解を見抜けるようになるはず。消去法で二択まで絞れたら、その二つの選択肢の異なる点を言語化しましょう。
異なる点のうち、どちらかが正解でどちらかが間違いなのですから、その違いをはっきりさせるのが最優先です。そして、本文から根拠を探します。正解には必ず根拠がある。時間との戦いにはなりますが、何度も本文を読み返して、根拠を探し出してください。
共通テスト漢文の設問別攻略法

前の章で紹介した5つのステップを、実際の設問ごとにどう使うかを見ていきましょう。ここでは、解き方だけでなく、注意したい誤答パターンもあわせて紹介します。
漢字の読み・意味は句法と前後の文脈から判断する
漢字問題には、知識だけで即答できるものと、前後の文脈から判断が必要なものがあります。
解答時には、漢文特有の読み方ではないか、句法を構成する漢字ではないか、複数ある意味のうち文脈に合うのはどれか、主語や目的語との関係から意味が通るかを確認しましょう。
漢字一字だけを見て現代語の意味を当てはめるのではなく、文全体に入れたときに自然な解釈になるかを確認することが大切です。
重要語句は単独で覚えるだけでなく、短い例文とセットで復習しておくと、本番でも判断しやすくなります。
布施川先生のアドバイス
漢文で使われている漢字は、現代の日本語で使われている漢字とは異なることもあります。「耳」なんてまさにそうですよね。
だから、安易に現代語に当てはめることはせず、前後の文脈から読みや意味を考える必要があります。まずは頻出漢字を見たら読み方のパターンをすべて思い浮かべるくらいまで練習しておきましょう。
その上で、どれも当てはめてみて、最もふさわしいものを選ぶのです。そう考えると、やはり問題演習が一番の近道だとわかりますね。
書き下し文は語順・送り仮名・句法を確認する
書き下し文問題では、次の3点を順番に確認します。
- 返り点に従った語順になっているか。
- 再読文字・否定・反語などの句法が反映されているか。
- 送り仮名や助詞・助動詞が正しいか。
選択肢の冒頭だけを見て判断すると、一部だけ正しい選択肢を選んでしまいがちです。
最後まで目を通し、読み方が似ていても助動詞や活用が異なることで意味が変わっていないかを確認しましょう。
語順だけでなく、文として正しく書き下されているかまで見る意識が必要です。
布施川先生のアドバイス
手っ取り早く、かつミスなく正解を選ぶためにも、選択肢どうしを見比べるようにしましょう。どこで引っかけてきているのかを見抜くのです。語順が変わっているのか、句法のルールに則っていないのか、助詞が異なるのか。
その上で、元の文を自分なりに書き下してみて、一致するものを選びましょう。そうすれば、ミスは減るはずです。
傍線部解釈は主語・目的語・句法を整理する
傍線部解釈では、句法の現代語訳をそのまま当てはめるだけでは不十分です。
主語は誰か、行動や発言の対象は誰か、省略されている語は何か、指示語は何を指しているか、どの句法が使われているか、前後の出来事とどうつながるかを整理しましょう。
誤答選択肢には、句法の訳自体は正しいものの、主語や対象だけが入れ替わっているものが多く見られます。
まず傍線部の骨格を自分なりに訳し、そのうえで選択肢と比較する流れを意識してください。
布施川先生のアドバイス
傍線部だけを見ていても、正解は見えてきません。前後の文脈から、主語は誰なのか、何を意図した文章なのかを読み取る必要があります。これも、選択肢どうしを見比べて、どこが違うのか、どこで引っかけようとしているのか、出題者の視点に立って考えてみるとどう考えればいいかが自ずと見えてくるはずです。
内容説明・理由説明は本文中の根拠まで戻る
内容説明や理由説明では、傍線部の直前直後だけで答えを決めないようにしましょう。
人物がその行動や発言に至った理由は、少し前の出来事や会話に書かれている場合があります。
出来事・前提→人物の判断→発言・行動→結果、という流れを確認しながら根拠を探しましょう。
選択肢を見る際は、原因と結果が逆になっている、別の人物の理由になっている、本文にない心情が追加されている、本文の一部を過度に一般化している、直接的な理由と背景事情が混同されているといった誤りに注意が必要です。
正解の根拠となる本文の箇所まで戻り、選択肢の各要素と照合しましょう。
布施川先生のアドバイス
上述の通り、正解には必ず根拠となる部分があります。文章によって、それが傍線部の直前にあったり、結構前まで遡らなければならなかったり、さまざまです。
とはいえ、共通テストの漢文の文章はそこまで長いわけではないので、時間内に繰り返し本文を読み返すことで、一番の根拠と言えるところを探しましょう。人物を取り違えないためには、本文を最初に読んでいる段階で、それぞれの発言や行動が誰のものなのかを適宜メモしながら進めるのが一番の対策になるでしょう。
複数文章・漢詩の問題は共通点と相違点を整理する
複数の文章や漢詩が提示された場合、すべてを一度に比較しようとせず、まずそれぞれを別々に整理しましょう。
文章ごとに、登場人物、起きた出来事、人物の考えや主張、文章の結論、共通するテーマを簡単に押さえます。
そのうえで、共通点と相違点を確認していきます。
会話文や解説文が添えられている場合は、余分な情報ではなく、本文の読み方や比較の観点を示すヒントとして活用しましょう。
漢詩については、形式や用語の暗記だけに偏らず、どのような情景が描かれているか、季節や時間帯、人物の心情、対比されているもの、本文や別の文章とのつながりまで確認することが大切です。
布施川先生のアドバイス
基本的に、共通テストでは、会話文で問題の方向性に誘導する傾向があります。読み飛ばさず、資料をどのように捉えているのか、その会話の先に何を求めているのかをメタ視点で読み取るのが正解への近道です。とはいえ、これは共通テスト特有の問題形式であるため、過去問を使って演習を積むのが大切と言えるでしょう。
共通テスト漢文の勉強法|基礎から過去問までの進め方

ここまでの内容を踏まえて、どこから勉強を始めればよいかを整理していきましょう。まずは自分のつまずきがどこにあるかを、次の表で確認してみてください。
| よくある悩み | 主な原因 | 優先する対策 |
|---|---|---|
| 書き下し文で間違える | 返り点・句法が曖昧 | 短い基礎例文に戻る |
| 句法は分かるが訳せない | 主語・目的語を捉えられていない | 人物と文の成分を整理する |
| 登場人物が分からなくなる | 発言者や呼称を追えていない | 人物ごとに印をつける |
| 内容説明で失点する | 傍線部付近しか見ていない | 発言や行動の原因まで戻る |
| 2択で間違える | 選択肢を感覚で選んでいる | 要素に分けて本文と照合する |
| 過去問を解いても伸びない | 解説を読むだけで終わっている | 失点原因を分類して記録する |
| 漢文に時間がかかる | 句法判断や根拠探しが遅い | 基礎の即答練習と大問演習を行う |
返り点と句法が不安なら短い例文から始める
返り点や基本句法が曖昧なまま共通テストの過去問に進んでも、なかなか得点は伸びません。まずは短い例文を使って、正しい順番で読めるか、書き下し文を作れるか、使われている句法を説明できるか、現代語訳ができるかを確認しましょう。
教材を次々に変える必要はなく、学校の句法集や手持ちの基礎教材を繰り返し使うだけで十分です。目標は句法名を思い出すことではなく、文章中に現れた句法を見て、読み方と意味をすぐに判断できる状態になることです。
布施川先生のアドバイス
まずは学校で配られた句法についての参考書や市販の基本教材をひたすら繰り返しましょう。2周目以降は間違えた問題に絞って3周すると、だいぶ定着するはずです。
そうしたら、市販の読解問題集に移ってください。とにかく読解の経験を積むことが重要です。始めた時期にもよりますが、2〜3冊ほどこなしたら、過去問に移ってもいいでしょう。
例文の音読で語順と句法を定着させる
音読には、漢文の語順に慣れられる、返り点の順番を定着させられる、句法の形と読み方をセットで覚えられる、書き下し文を自然な日本語として理解しやすくなるといった効果があります。
ただ声に出すだけで終わらせず、漢文表記を見ながら書き下し文を読み、現代語訳まで思い出す練習をすると効果的です。一つの例文を何十回も機械的に読むより、句法の位置や意味を意識しながら、分からなかった例文を重点的に繰り返す方が身につきやすくなります。
布施川先生のアドバイス
ただ読み上げるだけでは意味がありません。内容を理解し、それぞれの文がどのような役割を果たしているのか、なぜその訳になるのかを理解した上で、音読することで、初めて有意義なものになります。
また、書き下し文をすらすら読めるようになったら、今度は白文(返り点や送り仮名がついていない漢字だけの文)で書き下し文を思い出しながら読む練習をすると、非常に効果的です。
短文読解で人物関係と文章の流れをつかむ
句法を一通り覚えたら、すぐに長い過去問に進むのではなく、短文読解を挟むことをおすすめします。省略された主語を補う、発言者と聞き手を確認する、誰が誰に何をしたかを整理する、接続語から因果・逆接・対比を捉える、人物の行動理由を本文から探すといった練習を積んでいきましょう。
読み終わったあとに、「誰が、なぜ、何をして、どうなった話か」を一文でまとめる練習も効果的です。全文を細かく訳すだけで終わらせず、文章全体の流れを短く説明できる状態を目指しましょう。
布施川先生のアドバイス
いきなり共通テストレベルの比較的長い文章を読もうとすると、難易度が高く、挫折しやすいです。内容を追うだけでも大変なので、問題を解くまでたどり着かない可能性もあります。
そのため、徐々にレベルを上げていくことが大切です。まずは市販の漢文読解問題集を購入して、最初は短めの文章から読解の練習を重ねてみましょう。短文だからといって雑に読み流さず、省略されている主語は補うようにし、因果関係にも注意して、長文になっても太刀打ちできるように意識してください。
共通テスト形式の問題と過去問で実戦力を身につける
基礎知識と短文読解がある程度固まったら、共通テスト形式の問題に進みます。最初から時間を測る必要はなく、初期段階では時間を気にせず解き、すべての選択肢について正誤の理由を確認し、本文の根拠となる箇所に線を引きながら人物関係や文章の流れを整理しましょう。
慣れてきたら、大問単位で時間を測り、これまで紹介してきた5ステップを固定して使い、迷った問題にかかった時間も記録しながら、国語全体の中で解く順番も試してみてください。
共通テストの過去問を優先しつつ、演習量が足りない場合はセンター試験の漢文も句法・人物関係・内容理解の練習として活用できます。
ただし、センター試験だけでは複数素材などの形式を十分に練習できないため、共通テスト型の問題もあわせて取り入れましょう。時間配分の詳しい目安や国語全体の解く順番については、こちらもあわせてご覧ください。
布施川先生のアドバイス
過去問に取り組むときは、必ず時間を測ってください。基本的に時間は足りないものとして設計されているので、焦りながらでも実力を発揮できるようにならなければなりません。
ただ、時間内に解き終わらなかった分は、そのあとじっくりと時間をかけて解きましょう。共通テストの過去問はまだ多くはありません。そのため、傾向に慣れるためには、予想問題を優先的に活用しましょう。
それでもまだ余裕があったり、不安があったりする場合には、センター試験の過去問に手をつけるのもいいですが、あくまで漢文の読解練習であって、直接的な共通テスト対策にはならないので注意しましょう。
過去問は失点原因を分類して復習する
過去問は、正解数を確認して終わりにするのではなく、間違えた理由を分類することが重要です。返り点・書き下し文、句法、漢字・重要語句、主語・人物関係、傍線部の解釈、本文全体の理解、選択肢の比較、時間不足といった分類で振り返ってみましょう。
同じ内容説明問題を間違えた場合でも、本文を読めなかったのか、主語を取り違えたのか、選択肢の一部のずれを見落としたのかによって、次に行うべき対策は変わってきます。
また、不正解だった問題だけでなく、2択で迷って偶然正解した問題や、根拠を説明できなかった問題、解答に時間をかけすぎた問題も復習の対象にしましょう。復習の際は、同じ文章を全文訳し直すことに時間を使うよりも、間違いの原因となった句法・人物関係・選択肢判断を重点的に見直すことが大切です。
布施川先生のアドバイス
漢文に限った話ではないですが、どの科目にせよ、どこで間違えたのか、何が失点の原因なのかを徹底的に突き詰め、次間違えないためにはどうすればいいか、の対処法まで実行することが大切です。
このサイクルを回すことで、少しずつ点数が伸びていきます。正解していた問題にも注意しましょう。本当に自分の考え方、選び方は合っていたのか? と常に疑惑の目を持ってチェックすることで、伸び代を余すことなく見つけ出すことができます。
残り期間別|共通テスト漢文に間に合わせる勉強法
「今からでも間に合うか」と不安に感じている人に向けて、残り期間ごとに優先すべき対策を整理しました。
| 残り期間 | 優先すべき対策 |
|---|---|
| 3カ月以上 | 返り点・書き下し文の確認、頻出句法・重要語句の暗記、短文読解での人物関係整理、共通テスト形式の問題演習、過去問で見つかった弱点を基礎に戻って補強。短時間でも継続し、暗記と読解を並行するのがポイント |
| 1〜2カ月 | 再読文字・否定・疑問反語・使役・受身などの頻出句法に絞って固める、重要語句を毎日短時間で確認、共通テスト形式の問題を定期的に解く、失点原因を分類して必要な箇所だけ基礎に戻る、人物・主語・選択肢の確認手順を固定する |
| 2週間程度 | 新しい教材や細かな知識には手を広げない。これまで間違えた句法・語句の復習、過去問で迷った問題の解き直し、人物関係整理の手順再確認、選択肢を要素分解する練習、解き方や解く順番を大きく変えない |
返り点から不安な場合は、期間が短くても基礎を省略せず、最低限の知識を早めに固めてから実戦問題に進むことが大切です。直前期であっても、頻出句法や語句の知識不足を補うことで得点を伸ばせる可能性は十分にあります。一方で、短期間に大量の問題を解くだけでは改善しにくいため、間違いの原因を絞って復習する姿勢を最後まで崩さないようにしましょう。
布施川先生のアドバイス
どの時期であっても、「失点の原因を突き止めて潰す」ことが手っ取り早く成績を上げていく一番の方法です。
試験が近づいていて焦っているとは思いますが、焦ってがむしゃらに進めても、効果は出ません。時間がないからこそ、何を優先しなければならないかを考えて、取捨選択する必要があります。自分ができていないところに絞って、次につなげることを意識して、効率的に失点を抑えていきましょう。
まとめ|共通テスト漢文は基礎知識と解答手順を固めよう

共通テスト漢文で安定した得点を取るために必要なのは、暗記だけではありません。返り点と句法を固め、人物関係や文章の流れを整理しながら本文を読み、選択肢を要素ごとに分けて照合する。この手順を身につけることが得点の安定につながります。
返り点に不安があれば短い例文に戻り、本文の内容がつかめなければ短文読解で人物関係を整理し、過去問では間違いの原因を句法・読解・選択肢判断のどこにあったか分類して復習しましょう。
漢文は、今日から取り組む内容と順番さえ明確になれば、短期間でも伸ばせる科目です。まずは自分のつまずきを確認し、そこから一つずつ手順を積み重ねていきましょう。
布施川先生のアドバイス
準備や練習してきたことは、本番必ず生きてきます。時間配分や問題を解く流れ、自分なりに決めた記号。どれもが自分を支え、怖けずに戦う武器になります。
今は手持ちの武器を増やし、少しでも強くなるように磨く期間です。そして、失点をなくせるように、弱点を徹底的に潰し、防御を固める期間でもあります。
漢文は、基礎知識をしっかり抑え、効率的に読解演習をすれば、必ず成果が出る科目です。安定しづらい現代文や古文を支えるためにも、手堅く準備しておきましょう。
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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
著述家、教育ライター。東京大学文学部卒。 教育メディア「未来図」副編集長。一般財団法人「ドラゴン桜財団」評議員。 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を編み出し、一浪の末東大合格を果たす。著書に最小コストで結果を出すノウハウを体系化した『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』など。株式会社カルペ・ディエムにて、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法」などを伝える。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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